立ち技格闘技イベントRISEは、コロナ禍の中でも積極的に動き続けてきた。テーマは「止まらない」ことだ。
昨年7月、那須川天心をメインに無観客大会を開催すると、10月、11月、今年2月とビッグマッチを開催。5月15日の大田区総合体育館『RISE on ABEMA』も発表となった。
寺山日葵vsAKARIの女子タイトルマッチ、志朗vs大崎一貴の階級を超えたトップ対決など、今回も力の入ったカードが並ぶ。その中で異彩を放つのが、実験的に行なわれるオープンフィンガーグローブ着用の試合だ。
「こんな時期でも何か挑戦したい」
そう語ったのは伊藤隆代表。その闘いがどう変わるのか注目される。しかも、この実験マッチで組まれたのは山口裕人vs松本芳道、山口侑馬vsYA-MANの2試合。いずれも好戦的なファイターで、伊藤代表によると「オープンフィンガーグローブで試合をやろうと思った時に、最初に頭に浮かんだ」のがこのメンバーだという。より端的に言うなら“喧嘩上等”タイプの選手たちだ。
4月15日の記者会見。山口裕人と松本は、登壇すると睨み合いを展開し、お互い殺気立つ中で乱闘に。掴み合いどころか手も足も出る大荒れに。いったんはスタッフに制止されたものの、着席しようとしたところでまた乱闘。さらに侑馬とYA-MANも一尺即発の状態。スタッフが先回りして制したものの、会見場は異様な空気となった。
裕人と松本は昨年7月にも対戦し、裕人がKO勝ち。松本は当然、リベンジに燃えているが、裕人としては「オープンフィンガーなのはいいけど、なんで相手が松本やねん。(前回)すぐ倒したのに」という不満がある。
「試合を受けてくれたことに感謝してる」という松本だが、その一方で「お前のしゃくれたアゴをオープンフィンガーグローブ(のパンチ)で直してやる」と挑発。
侑馬と対戦するYA-MANも挑発的だった。「自分はキック始めてまだ5年。そんな相手に負けたら引退したほうがいい」。侑馬は「このルール面白いやんとなるような、これから流行るような試合を」と今後についても意欲的だ。また選手たちが口々に「オープンフィンガーグローブの試合はケンカに近い」と語っており、そういう面でも燃えるものがあるようだ。
オープンフィンガーグローブはボクシンググローブに比べ小さく、薄いためグローブの厚み(大きさ)を使ったブロッキングができない。それだけに打ち合いの危険度も違ってくるし、MMAとキックボクシングでは距離感も変わる。
ではRISEルールでオープンフィンガーグローブの闘いをやるとどうなるのか。一発のヒットが即、命取りになる危険な攻防が展開される可能性もある。
伊藤代表によると、今回はあくまで実験的な試合。しかし回を重ね、機運が高まればランキング・王座制定の可能性もあるという。
SNSでは「自分もやってみたい」という選手も。やはりファイターとしては「このグローブで殴り合ったらどうなるのか」には興味があるのだろう。もちろんそれはファンも同じだろう。オープンフィンガーグローブマッチがRISEの新規軸として定着するか。5.15大田区での4人の闘いに期待されるのは、起爆剤としての激しい闘いだ。