「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性
番組をみる »

 去年8月、日本陸連に対し、複数の現役女子アスリートから「競技中に撮影された写真が卑猥な言葉とともにSNSに投稿された」との訴えがあったことを機に対策が急がれる“性的画像”の問題。

・【映像】東京オリパラ “性的画像” 撮影禁止に 元五輪アスリートが受けた苦悩とは

「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性

 事態を重く見た日本オリンピック委員会(JOC)なども共同声明を発表、このほど東京オリンピック・パラリンピックの競技会場内における禁止行為に「性的ハラスメント目的の疑いがある、選手の写真や映像の撮影」が追加されることとなった。

 すでに各種スポーツ団体や大会主催者の中には、メディアが撮影した画像をチェックするといった対策に乗り出しているところもあるが、スポーツライターの酒井政人氏は、アスリートを守るためとはいえ、会場内での撮影を全面禁止にすることは難しいと話す。

「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性

 「一つには、ファンが来なくなってしまうということがあるからだ。これまで、良くも悪くも女性アスリートのプレーシーンがメディアに出ることでファンが来るという循環があったが、撮影を禁止してしまえば、PRそのものが難しくなる競技も出てくる」。

 21日の『ABEMA Prime』では、女性アスリートをめぐるこうした問題について、元バドミントン日本代表の潮田玲子さん、元アーティスティックスイミング日本代表の石黒由美子さん、そしてフリーアナウンサーの宇垣美里さんをゲストに議論した。

■「止められる術もないので、泣き寝入りするしかない」

「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性

 性的画像の問題は今に始まったことではない。学生スポーツの経験がある女性たちからは、「YouTubeで友達の名前を検索すると、良くない角度から撮影された映像が出てきた」(20代、陸上経験10年)、「スカートがめくれている状態の、ちょっとキワキワの写真がネットにアップされていることがある」(20代、テニス経験15年)といった声も聞こえてくる。

「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性

 石黒さんが現役時代を振り返り、「“芸術スポーツ”というだけあって、性的な部分が出てしまうような衣装・メイクは禁止されている。それでも、アーティスティックスイミングという競技である以上、やはり多くの人に見てもらいたいと思って頑張っている。思い出としても残したいし、撮影禁止になるのはすごく寂しい。ここが本当に難しい。周りには悲しい思いをした選手もいたが、出てしまったものを止める術もないので、泣き寝入りするしかなかった」と明かすと、潮田さんもメディアのカメラに悩まされた経験を語った。

「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性

 「SNSにアップされただけでなく、週刊誌に切り取られたくないような角度の写真を撮られてしまったこともある。覚えているのは、試合中、コートサイドに置いたラケットを拾おうとすると、集まったメディアの方からバシャバシャと音がした。“胸元を撮られたかも”と気になって協会に相談をした結果、メディアからはより遠い逆サイドに荷物を置くようにしてくださった。そうすると、今度はお尻の側を狙われていると感じるようになった。

 試合中にそういうことを気にしなくてはいけないのは、すごくストレスだ。そして、載ったものは絶対に見たくない。でも、載っているということが耳に入ってくる。“そこは見ないで”と思っていたが、なかなか声に出すことは難しかったし、ただただ一人傷ついていた、というのが現実だ。今でこそ被害を訴える声が上がり、JOCなどが規定として入れてくださったので、悪いことだという認識もされるだろうし、撮影も難しくなるはず。でも、今もなくなってはないと思う」。

■「“そういう格好をしてるからじゃないか”と言われた」

「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性

 女性アスリートを悩ませるのは、性的画像の問題だけではない。

 「私たちの場合、一般開放しているプールの傍で練習をすることもあったので、そこに水泳の練習を装って見に来る人がいた。“あの人いつも見ている”と気づいて監督やコーチ、プールのスタッフさんたちが警戒するようになったが、最終的には駅にまで付いてくるようになってしまったので、さすがにコーチが声を掛けて注意した。ただ、そうなるまでは“気持ち悪い”と感じてはいても、なかなか言えないところもあって、“警戒しておく”ということくらいしかできなかった」と石黒さん。

「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性

 潮田さんも「女子アスリートであれば“強く、美しく”ということをテーマに努力すると思うし、自分が鍛えた肉体美を見せたい、という思いでやっている部分もあるので、一つの魅力に捉えていただいて、健全な、純粋な気持ちで応援していただけると嬉しい、ただ、みんながみんなそういうふうに思っているわけではないし、セクシャルなものとして切り取るのは、やっぱりちょっと違うと感じる。

 私の場合、“そういう格好をしてるからじゃないか”と言われたことがあった。北京オリンピックの時、日本代表は初めてノースリーブのワンピース型のウェアで出場した。すると、“そういう、撮られやすい格好をして出場しているそっちにも問題がある”ということを投げかけられ、ショックを受けた。機能性もあるし、魅力が全くないような格好をしていて応援してくれるか?ということもある。ということもある。その意味では、ウェアも競技の魅力と切っても来れない関係にある。そこでアスリートを責めるのは絶対おかしい」と訴えた。

■「男女の力の不均衡、絶対に意識すべきだ」

「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性

 2人の話を受け、進行を務めたテレビ朝日の渡辺瑠海アナウンサー(入社2年目)は「女性アナウンサーも性的画像の撮影対象にされることがあるので、私にとっても他人事ではない部分もある。個人の意見として聞いてもらいたいが、そういう売り方をしたい人がいればそれでもいいが、アナウンサーという職業で一括りにするのではなくて、いち個人として捉えていただきたいと思う。

「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性

 例えばこのテレビ朝日けやき坂スタジオはガラス張りなので外から見えるし、撮られていると感じる時もある。もちろん番組や私のファンとして撮りに来てくださる方もいると思うが、潮田さんが仰ったように、集中したい時には、そういった方々にまで怪訝な感じになってしまう部分もなくはないので、とても難しいと感じている。特にアスリートの場合、“競技が美しいと思ったので撮っただけだ”という言い逃れもできてしまう」と複雑な胸中を明かした。

「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性

 アナウンサーの先輩である宇垣さんも、「一般の方の場合も、どういう気持ちでいらっしゃっているのかわからないので、やっぱり警戒することしかできないし、それがファンの方、本当に好きでいてくださる人との距離を遠ざけてしまうことにもつながってしまうのが難しい。ただ、特に男性の方に急に来られると、構えてしまう部分がどうしてもあると思う。男性は女性に来られて喜べるのかもしれないが、女性の場合、瞬間的に恐怖を感じてしまう。そういう気持ちは皆さんもお持ちだと思うし、男女に力の不均衡があるということは絶対に意識すべきだ」とコメント。

「そういう格好をしてるからだと言われた」…潮田玲子、石黒由美子、宇垣美里が語る、女性アスリートとメディア、ファンの関係性

 また、「“そんな服を着ていたからだ”というのは、痴漢の言い訳と一緒だ。でも、それってこっちの勝手だし、痴漢をする方が絶対に悪い。写真については撮影をやめさせるというよりは、出すことを止めるしかないと思うが、雑誌に対しては注意をしても、また別のフリーのカメラマンの方が新しく入ってくるだけで、それこそいたちごっこだ。

 私も雑誌の表紙に名前が載っていて、見てみると“あらあら、すごいタイミングで撮ったわね”という写真だった経験が山ほどある。“自分の仕事はこういうことではない”と思う一方で、“表に出る仕事だから”とも言われる。アスリートの方々も、そういうものを背負わされていると思う。日本にはそういう点を軽んじる風潮があるし、それどころか、大企業の名前で出版までされてしまう。なぜ無くならないんだろう」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

東京オリパラ〝性的画像〟撮影禁止に 元五輪アスリートが受けた苦悩とは
東京オリパラ〝性的画像〟撮影禁止に 元五輪アスリートが受けた苦悩とは
学生アスリートのライブ配信に性的なコメント 法的規制が困難な中、ネットユーザーの心に“抑止力”を育てるには
学生アスリートのライブ配信に性的なコメント 法的規制が困難な中、ネットユーザーの心に“抑止力”を育てるには
ビーチバレー坂口佳穂選手「諦めもあったのでびっくりした」 アスリートの“性的画像”拡散問題で対策へ
ビーチバレー坂口佳穂選手「諦めもあったのでびっくりした」 アスリートの“性的画像”拡散問題で対策へ