24日のABEMA『NewsBAR橋下』に小泉進次郎環境大臣が出演。初対談となる橋下徹氏と福島第一原子力発電所の処理水の問題について議論した。
・【映像】小泉環境相、NEWS23の「“46”という数字がおぼろげながら浮かんできたんです」発言を説明
橋下:これから小泉さんが気候変動の問題に取り組む上では、自動車業界、場合によっては鉄鋼業界や電力業界ともバトルをしないといけないくなるかもしれない。それでも本気でやると腹をくくったからこそ、舵を切られたんだと思う。処理水の問題についても“海洋放出しかないんだ”ということであれば、福島の漁業の皆さんからの反発を食らってでも、説明してやっていかなければならない。
よく番組で「悪口」を言わせてもらったのが、例えばノドグロの話(去年9月、海洋放出の問題について問われ)をしたこと。“46%のシルエットが見えてきた”という話じゃないが、あれもそういうメッセージじゃなかったんじゃないかと思う。原田前大臣が“海洋放出しかない”と言ったことについて、後任大臣として謝罪したのもそうだが、風評被害を無くすよう努力するけれども、海洋放出は必要なんじゃないかということを言ってほしかった。
小泉:海洋放出を否定していたわけではない。ただ、あれは経産省の小委員会の中で方式を決定していない段階だった。そのタイミングでは。同じ閣内で所管じゃない環境大臣が“方式はこれだ”いや、それは福島の皆さんに申し訳ない”と言ってしまえば、政府はまとまらない。
橋下:確かに、決まってないことを所管外の大臣が言うのは難しいと思う。ただ、あのときのメッセージ出し方は、“福島の皆さんが納得しないことはやりませんよ”、つまり海洋放出の否定のように聞こえてしまった。そのようにして福島の皆さんの機嫌を取るようなことをやるのは政治家として違うと思う。そうではなく、“申し訳ないけれど、海洋放出になる可能性もあれば、そうじゃない場合もある”というような、ニュートラルな姿勢で臨むべきだったのではないか。
小泉:やはり決定前も決定後も、福島の皆さんの理解を得るための活動が不可欠。今も福島の漁業関係者の皆さんは反対。だから“これで決めましたから、2年経ったら流します”じゃなくて、ここから新たに理解や信頼を得る、そのスタートだ。まさに橋下さんが言われたことについても、これからがまさに行動する時だと思っている。
橋下:これから色々な検証をしていくと思うし、放出するかどうか経済産業省の所管かもしれないが、安全基準などについては環境省が乗り出すことも可能だと思うし、すべては国民の熱烈な支持を受けている小泉さん次第で決まると思う。トリチウムについて飲料水の基準の7分の1にするなどの方針を政府が出してはいるが、国内外に向けて“これは安全なんだ”という小泉さんのメッセージは強力だ。そして若手のリーダーたちで福島に出向いて、きちっと処理をした水をみんなで一緒に飲むくらいのパフォーマンスをやってもいいと思う。僕は民間人だから無責任に好き勝手なことを言っているだけだが、その時は一緒に行きたい。小泉さんも僕も子どもがいるし、自分の体を害するわけにはいかないが、大丈夫だということが科学的に裏付けられた段階で、福島の皆さんの感情に訴えることも必要だと思う。
小泉:福島県知事、双葉町長、大熊町長も含め、科学的に安全なものを海洋放出することについてはご理解を頂いているが、やはり多くの皆さんに理解してもらうためには、信頼性と客観性と透明性だ。そこに対して環境省としては海洋放出の前後でモニタリングし、データを国内外に公開をしていく。さらに規制庁、東京電力でも分析をする。それでも残念ながら信じられないという声もあると思うので、IAEAも含め、分析をしたものを比較・評価してもらう。そこまでやる。そのうえで本当にご理解いただけるか、ということだ。
橋下:ALPSで除去するトリチウム以外の物質についてはどうなのかなど、難しい理屈があるかもわからないが、それらの物質も除去できて、飲むことができるんだ、ということになれば、役に立つかはわからないが僕だって飲むし、小泉さんや鈴木英敬さん(三重県知事)、吉村さん(大阪府知事)たちで福島に行って、みんなで飲んで、安全を確認してもらうっていうのが一番わかりやすい。
小泉:でも橋下さん、飲んでも納得しない人っているじゃないですか。
橋下:一部はいるし、“お前ら安全って言うけど、飲めるのか?飲んでみろ”って言われた時にこっちが飲めないと。やっぱり言葉で言うよりも納得してくれる人の数も多くなると思う。
小泉:国会の中でもいろんな意見があって、国会でも“安全なら、逆にモニタリングすらやらなくていいじゃないか”という声すらある。しかし、それは違うと思う。橋下さんのように、飲むのが一番わかりやすいという人もいれば、飲む・飲まないという話自体がダメなんだ、という人もいるいずれにして、反対している現場のみなさんに説明しなければいけない。
橋下:論理的な説明で全員を納得させるのはほぼ不可能。例えば岩手県の瓦礫を大阪で引き受けたときは本当に大変で、いくら説明しても感情的にダメと言ったらダメ。最後は松井さんに“瓦礫を食べてくれ”って言った。それは断られちゃったんだけど、やっぱり最後は論理的な説明を超えた、感情に訴えかけるメッセージ、体感というところが必要だと思う。そこは小泉さんに期待しています。
小泉:何かやるときは橋下さんをお誘いして。
橋下:僕はそれくらいしかできないから。安全だって言うなら、飲みますよ。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)