アカデミー賞、アジア系女性監督の受賞は“多様性”を意識した結果なのか? “オスカー・ウォッチャー”の見方は
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 93回目となる米アカデミー賞の授賞式が26日に開催され、家族を失い車上生活を送る60代女性の生き様を描いた『ノマドランド』が作品賞、監督賞、主演女優賞の3部門を制覇した。

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 アカデミー賞は近年、作品賞について多様性を重視する新基準を2024年から設けると宣言。主要な配役にアジア系や黒人を入れること、出演者、制作スタッフの3割を女性、性的少数者にすることなどを求めたことも注目を集めていた。

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 今回、『ノマドランド』で監督賞を受賞したのは中国出身のクロエ・ジャオ監督。アジア人女性としては史上初の受賞だ。昨年には、韓国出身のポン・ジュノ監督の『パラサイト』が作品賞や監督賞を受賞している。

 アメリカ出身のお笑い芸人・パックンは「右利きの俳優と左利きの俳優で差別がないように、ジェンダーや人種においても公平な世の中が実現すれば、こういう制度もバカバカしいものだということになると思う。でも今は必要な策だ。それでも、トランプ前大統領の支持者たちからは大ブーイングだろう。特に労働者階級の白人男性の中には、我々が頑張って作り、支えている国なのに、堅苦しく、肩身が狭くなっている。我々は攻撃の的になる被害者で、褒められることもない。映画やNBAなども黒人ばかりだと。そういう方々は間違いなくアカデミー賞の方針に反対していると思うし、今回の授賞式についても、支持率・視聴率は低いのではないかと思う」と話す。

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 こうした見方について、映画会社に勤務する“オスカー・ウォッチャー”のMs.メラニーさんは、賞の選考・投票を行う米映画芸術科学アカデミーについて、「この新基準が設けられることによって“逆差別”が起き、白人男性が職を失うんじゃないかといった見方もあるが、対象は作品賞だけで、達成するのは難しくない。今年も、ノミネートされた8作品の中で満たしていないものはなかったはずだ。協会自体、黒人女性のシェリル・ブーン・アイザックスさんが会長を務めていた時期以降、この5年くらいで会員、特に女性・非白人を急ピッチで増やしてきた。それでもまだ白人男性が多いことには違いないが、多様化を進めてきた結果、差別は少なくなってきていると思う」と話す。

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 「それが今回のノミネートにも現れているとは思うが、コロナで映画館が閉鎖され、大規模な興行がないと回収できない、大型の作品の公開が延期されたということも大きいと思う。そういう作品は白人男性が主人公というケースが多いが、今年はそうでない配信や小さい映画館で上映されるような作家性の強い作品が多く入ってきたからだ。もちろん、アジア系へのヘイトクライムが増えているといった社会情勢がジャオ監督を応援したいという気持ちの追い風になった可能性もあるとは思う。しかし最終的に対象が絞り込まれ、どこに投票するかという段階では、やはりどの作品が優れているか、どの監督が最も良い作品を作ったかで決まるはずだ。

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 実際、『パラサイト』も本当にすばらしい作品だったからこそ、あそこまでいけたのだと思うし、『ノマドランド』も中国系の女性が監督をしていたというだけで、内容については誰もがアメリカ映画として観ることになる作品だと思う。たまたま2年連続でアジア人の監督がとったというだけで、特に多様性を意識したとか配慮したということではないと思う。アンソニー・ホプキンスが主演男優賞を受賞したのもやはり素晴らしい演技をしていると感じた人が多かったというだけで、私も“やっぱり結局は白人だ”とは思わなかった。アカデミー賞の方向によって、何か悪い影響が出るということは正直言って一つもないと思っている」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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