カンニング竹山が涙「学校で見せてはダメなのか?」 自身の出産映像を無加工で放送した山本カヨさんに聞く
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 出産の映像は、教育現場では見せるべきではないのだろうか。去年秋、兵庫県の県立高校で行われた保健の授業で、男性教師が妻の出産を撮影した映像を流したところ、女子生徒の1人が気分が悪くなって倒れてしまい、その様子を見た別の女子生徒2人も体調を崩してしまったという。男性教師は「身近な生きた教材を使うことで、より伝わることがあると思った」と話し、以後、生徒に映像を見せることはしていないという。

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 県教育委によれば、映像は女性の頭側から撮影されていたため下半身は映っておらず、1人目の女子生徒は机に伏せて音声を聴いていただけだったという。担当者は「視聴の前に見たくない生徒への配慮が欠けていたことが問題だった。ただ、指導から逸脱はしていない」として、男性教師の処分は検討していないとしている。

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 福岡県を拠点に活動するタレントの山本カヨさんは1993年、リポーターを務めていた深夜番組『ドォーモ』(九州朝日放送)で「山本かよの妊娠日記スペシャル」と題し、出産の様子を撮影した映像を加工を施さず放送した。当時、子どもが産道を通って産まれてくるシーンについては制作部内でもカットすべきか議論がなされたというが、“厳粛な事実“としてオンエアされたという。

 「宮沢りえさんのヘアヌード写真集が出版されたり、“芸術”であればOKではないか、といった議論がされたりしていた時期だ。また、厚生省がエイズについてのパンフレットを出した時期でもあり、コンドームを製造している企業が啓発のためのトークショーのスポンサーになったりもしていた。私はそういう取材もしていたし、ちょうど自分が妊娠したので、単純に真実を伝えることで、みんなが何かを感じられたらいいなと考えた。ストレートに言って良いのか分からないが、性体験をしていない子たちも、いずれは性体験をする。その時に、気持ちいいということだけではなく、子どもが生まれるためのことでもあるんだよということも思い出してほしかった」。

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 番組では臨時に電話を10台設置し、視聴者からの意見を受け付けた。「テレビでそこまで放送していいのか」という批判的なものもあったが、「女性の素晴らしさ、凄さに感動した」という肯定的なものが多かったという。九州朝日放送では後に10回分の放送を4回に分け再放送、さらに70分番組に再構成、日本民間放送連盟賞のテレビ娯楽賞部門で最優秀賞を受賞することになる。

 「私としては良かれと思ってやったことだし、“いずれ経験することで、こういう思いをしてでも産みたいと思った時が本当の愛かもしれないね”ということは言わせてもらっていた。300件ほどあった電話の中には、確かに“気持ち悪かった”とか“吐き気がした”といった批判的なものもあったが、初めて生まれてくるシーンを見てビックリしながらも感動したよ、という感想が多かったような気がする。その後、再放送したり、他局から放送したいと言われりした時にOKしたのは、学校で見た高校生からもらった感想文に勇気をもらったからだ。そこにも“気持ち悪かった”という意見もあった。

 一方で、“僕は生まれてすぐにお母さんを亡くしました。現在、おじさん、おばさんに育てられています。16年間生きていく中で嫌なこととか困ったことがあったら、どうしてお母さん一緒に天国へ連れて行ってくれなかったの?って、お母さんのことを恨んでいました。でもこの出産シーンを見て、心の底から僕を生んでくれてありがとう、と叫びました。今までおじさん、おばさんと呼んでいたけど、今日からお父さん、お母さんと呼べそうです。カヨさん、僕に勇気を与えてくれてありがとうございます”というものもあった。やはりこういう映像は“きっかけ”だし、賛否両論があっていい」。

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 福岡県出身のカンニング竹山は「僕はカヨさんの番組を見て育った世代。出産の番組が放送された時は東京に出てきていたが、地元の友達も話題にしていたし、20、21歳くらいの血気盛んな時だったので、自分が見ていたタレントさんの出産シーンということで、正直言って興味本位で見た。けど、そういうことじゃなかった。命ってすごいなぁって。本当に泣いちゃった。思い出しても泣くくらい。だからこういう議論になるのがすごく悔しい。そうやって我々は生まれてきたわけで、今後もそうやって生まれてくるわけで。命の誕生の瞬間だし、思春期だし、気分は悪くなるだろう、でも、目を背けてはいけないことは世の中いっぱいある。今回のことを受けて、“ごめんね”で終わってはいけない。気持ち悪くなる子がいるから、もう見せてはダメ、という議論にしてはいけないと思う」と涙ぐむ。

カンニング竹山が涙「学校で見せてはダメなのか?」 自身の出産映像を無加工で放送した山本カヨさんに聞く
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 一方、「BlackDiamond」のあおちゃんぺは「私は映画でもグロい系、血が出る系は苦手で、一切見られない。嫌になったという生徒も、そういう感性の子だったんじゃないかと思った。テレビ番組なら見る・見ないは自分で決められるが、学校はそうじゃない。今、まるで見せるのが普通じゃないかという空気になっているが、それでは教室と同じだ。そんなことは無いと思うし、見たくない生徒は退出できても良かったはずだ。だからといって、別に命を軽く考えているということにはならないし、私も出産の映像を見たことはなくても、少しずつ触れてきて、知識としてどういうことかは知っている」と訴えた。

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 山本さんは「あれから30年経つが、“コンプライアンス”という言葉も出てきたので、賞を取った、本を出した、ということで呼んでも良いということになったこともあれば、やっぱり“そんなものを見せた人は学校に呼んじゃダメだ”と講演をキャンセルされたこともあった。やはり学校現場で先生たちが見せる機会も減ってきていると思うが、今回のことについても、先生たちが対応について考えていなかったからこんなふうになっちゃったのかもしれないし、“嫌だ“と言った娘さんにはお母さんが向き合って“でも、こうやってあなたを生んだんだよ”という話をしてくれたらいいな、ともと思う。

 今も性交渉の低年齢化の問題や、10代の中絶の問題もある。また、家庭環境の違いもあるだろうが、そういうことを経験する子もいれば、経験しないまま大人になる子に二極化しているとも思う。そして、不妊に悩む方も多い時代。子どもたちに話すときはそういう話もさせてもらうようにしているが、やはり地上波で放送した人としては、“最初で最後の人“になってしまった。テレビ局がやろうと思えば、今もやれると思う」と話した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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