札幌市の動物園で、約8年間にわたって鳥の「オニオオハシ」の繁殖活動が続けられてきたが努力は実らなかった。その原因は意外なものだった。
色鮮やかなくちばしが特徴のオニオオハシ。「札幌市円山動物園」は繁殖を目指して8年前の2013年、「トト」と「ポコ」をつがいで飼育し始めた。そして2016年からは毎年、産卵が確認された。
しかし、検査をしてみると卵はいずれもふ化することのない無精卵だった。動物園はその後も努力を続けるが、ヒナは生まれない。
異変に気付いたのは2018年の繁殖期。オニオオハシは通常2つから4つの卵を生むが、巣箱からは6つの卵が見つかった。そして去年、カメラを設置し観察したところ、オスであるはずのトトが産卵しているような様子が映っていた。そこで動物園はDNA検査をしたところ、はじめて、どちらのオニオオハシもメスだとわかった。
札幌市円山動物園・飼育展示科の今井菜摘さんは「繁殖期に入ってトトがポコに餌を渡したりとか、そういう様子も観察されていたので、ペアということで繁殖に取り組んでいたという形です」と話す。
求愛行動も見られ、トトは比較的オスらしい体格だったこともあり、性別を疑うことはなかったという。動物園は今後、オニオオハシのいる国内のほかの動物園と交換を調整して繁殖を目指す予定だ。
円山動物園としては、業者からペアとして2羽を購入したこともあって性別を疑わなかった。2羽がこの動物園に来た直後は、輸送のストレスなどがあることなどからDNA鑑定をしていなかったという。
また、国内でオニオオハシを飼育している動物園は20カ所ほどと少なく、DNA鑑定をするにしても「この個体は確実にメス、あるいはオス」というサンプルが少ないそうだ。
(ABEMA/『ABEMA Morning』より)