“脱ブラックボックス”巨大ITのネット広告も規制対象に…アプリクリエイター・関口舞氏「無自覚に個人情報が取られている」
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(3枚)

 2022年度以降に適用される巨大IT企業規制法について、インターネット広告も対象になることが分かった。

【映像】「巨大IT企業規制法」ネット広告も規制対象に アプリクリエイターが解説

 先月27日「政府が大枠を示し、事業者の創意工夫を生かすことにより、事業者と政府がそれぞれ役割を担う共同規制のアプローチが重要」と発言した加藤官房長官。巨大IT企業を規制する法律では、出店者との取引条件の開示を義務付けるなど、運営状況を年度ごとに政府に報告することを求めている。

 政府はこれまで、オンラインモールとアプリストアを対象としてきたが、デジタル市場への規制のあり方を検討する会議で「インターネット広告も追加する」と決定。巨大IT企業による市場の寡占化やブラックボックス化、データの囲い込みが懸念され、ネット広告をめぐっては公平、透明性をどのように保つのか課題になっている。また、「ターゲティング広告」といった、ネットの検索結果に基づく広告などにも、適切なプライバシーへの配慮が求められている。

“脱ブラックボックス”巨大ITのネット広告も規制対象に…アプリクリエイター・関口舞氏「無自覚に個人情報が取られている」
拡大する

 この政府の方針に、梶山経産大臣は「デジタル広告は中小企業による販路拡大や良質なコンテンツの提供に寄与するなど、我が国の産業や国民生活にとって極めて重要なもの」とした上で「大規模なプラットホーム事業者がルールやシステムを突然勝手に変更することの懸念も課題として指摘をされている。経済産業省としては本日の最終報告を踏まえて、デジタルプラットフォーム取引透明化法について、対象の拡大に向けた法制的な検討を進めたい」と述べた。

 プラットフォーマー側の一方的なルール変更によって、広告が掲載されないなどの不利益を生じさせないためにも、法改正が急がれている巨大IT企業への規制。シェアの大きいGoogleやYahoo!、Facebookが対象になるとみられ、2022年度以降に適用される見通しだ。

■ ネット広告の「イラッとさせる」手法 一時的なストレスでクリックを誘発?


 近年、話題になっているネットの個人情報保護の問題。アプリクリエイターの関口舞氏は「自分がどのページから来たか。それ以外にも年齢や性別情報など、無自覚にたくさんの個人情報が取られている」と話す。

「無自覚に取られた個人情報が勝手に使われてしまう。これをどのように制限したらいいのか、今まで非常に不透明だった。(巨大IT企業規制法は)それを透明化するための法律だろう」(以下、関口氏)

“脱ブラックボックス”巨大ITのネット広告も規制対象に…アプリクリエイター・関口舞氏「無自覚に個人情報が取られている」
拡大する

 また、ネット広告のシステムは、ユーザーの行動情報を把握・保存するためのトラッキング技術が使われている。中には、ユーザーが不快な気分になる広告も存在し、関口氏も「職場の女性同士の揉め事や、夫婦関係の破綻で不倫が……っていう広告は、ユーザーとしても嫌な気分になる」とコメント。

 一方で、わざとマイナスな気持ちにさせる広告について、関口氏は「人間の性質を利用したもの」と、よく使われている見せ方だと明かす。

「人間はごく短期間で解決するストレスを“快楽”と認識してしまう。だから一度嫌な情報を見たことで『すっきりしたい』と思う気持ちが働き、広告をクリックしてしまう。ゲームアプリの広告などでも使われていて、失敗した状態のゲームを見せた方が、ダウンロード数が多い結果もある」

 ネット広告が気になる人はどのような対策を行えばいいのだろうか。関口氏はネット検索などで使うブラウザアプリに言及する。

「ブラウザは個人で選べる。スマートフォンであれば『Firefox Focus』などのブラウザアプリは、広告を含めたトラッキング防止機能がある。『Firefox Focus』は開発会社も『私達は誰もがオンライン生活を自分自身でコントロールできるべき』と理念を明かしていて、自動でトラッキング広告を消してくれる。今後、ユーザーである私たちが個人情報にしっかり向き合っている会社を選んで、正しい競争が行われるようになったら、他の会社も『うちも個人情報の取り扱いはちゃんとしよう』と続いていくのではないかと思う」

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

【映像】巨大IT企業規制 ネット広告も対象に
【映像】巨大IT企業規制 ネット広告も対象に
この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(3枚)