先週7日、政府は東京都、大阪府、京都府、兵庫県の4都府県に11日までを期限として出されている緊急事態宣言について、感染が急拡大している愛知県と福岡県も対象に加えたうえで、31日まで期限を延長することを決定した。その後に開かれた記者会見で、菅総理に対して記者団から東京五輪・パラリンピックについて「開催できるのか、開催していいのか。国民の間にも、アスリートの間にも不安や疑念が広がっている。どのような感染状況になってもIOCが中止を判断しない限り、日本政府として開催に向けた取り組みを続けるという立場は変わらないのか。国民の命とくらしを守ることと、五輪・パラリンピック開催の両立は可能なのか」という質問が飛ぶと、菅総理は「対策を徹底することで国民の命や健康を守り、安全安心の大会を実現することは可能」などと応じた。
この菅総理の「安全安心」発言について、元厚労省官僚で元衆議院議員の豊田真由子氏が言及。「安全安心というのは、『安全安心』と偉い人が言ったから、私たちが安全安心だと思うわけではない。それはファクトの数字の話だ」と述べ、具体的なデータや解決策が示されないままに菅総理が「安全安心」と発言したことに疑問を呈した。
現下の感染状況を受け、国民の間に東京五輪の開催を疑問視する声が広がっていることを受けた豊田氏は「反対には理由がある。この感染状況を見て、(ウイルスを)持ち込まれて、持ち帰って国内外に感染が拡大していくという懸念。もう一つは、五輪をやることで医療体制や検疫や検査に負荷がかかり、そのしわ寄せが国民に来るのではないかという懸念がある」と述べると「それに対して、こう解決すると示されていないことが反対が大きくなっていく理由だ」と指摘。
さらに医療提供体制についても「これだけひっ迫と言っておきながら、看護師を500人、医師を200人用意しましょう。30か所の指定病院を作りましょう。(入院や療養を)待っている方がいっぱいいる中で、選手に何かあったら、そっちを優先することに国民からしたら合理的な理由がない」と一刀両断した。
その一方、かつてオリンピック・パラリンピック政務官を務めた経験から諸事情や関係者の頑張りについては理解を示したうえで「国民の不安を解決できるようなことを示していないという状況でこうなる(反対や延期の声が大きくなる)のは仕方がない」と繰り返した。
「コロナが大変だから、コロナが落ち着いたら、もう一度立候補するところから始めますということを言えば、拍手喝さいする人は多いはず」「上手に政治利用できないものか」
豊田氏の話に対して、そんな意見も聞かれた。これに対して豊田氏は「日本からそう言ったら、おそらく未来永劫、日本にオリンピック・パラリンピックは来ない。日本政府の人は自分から逃げたということは言えない。IOCにしてみれば放映権料が一番大事。ある意味、無観客でも全然いい。来る選手や国が減っても、過去にモントリオールやモスクワ、ロサンゼルスなどでも、半分くらいの国しか来ないということもあった。もはや、やれれば何でもいいという感じだろう。誰かのせいに皆がしたい状況になっている。日本が『やらない』と言えば、全部の責任が日本になってしまう」と応じた。
「誰か骨のある政治家はいないのか?」
お笑いタレントの千原ジュニアが問いかけると、豊田氏は「いるわけない。いたら(感染拡大が始まって)1年4カ月経って、このような状況にはなっていない」ときっぱり。「安全安心というのは、『安全安心』と偉い人が言ったから、私たちが安全安心だと思うわけではない。それはファクトの数字の話だ」と私見を述べた。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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