12日、日本政府はインドなど3カ国に滞在していた外国人の入国について、日本の在留資格を持っていても原則拒否することを決めた。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻なインドで今何が起きているのか。
インドの感染状況について、テレビ朝日バンコク支局の白川昌見支局長は「13日に発表された最新の感染者数は一日で36万2727人。連日40万人を超えていたのに比べると少し少ないが、依然としてすごい数の人が感染している。死者も増えていて、一日で4120人。12日の発表は4205人で過去最多を更新したが、連日4000人を超える死者が出ている」と説明。累計の感染者数は2360万人、死者は25万8317人にも上る。
亡くなる人が多く、遺体の火葬も追いついていない状況だという。「ガンジス川流域のある村では、遺体100体が流れ着いて地元の人がパニックになっているという、信じられないような情報も入ってきている」。
なぜ、インドで感染が爆発的に広がったのか。WHOは10日、インド型の変異ウイルスについて「世界的に懸念すべき変異株」に分類した。その特徴として、地元の人々からは「若い人にもかかりやすい」「重症化しやすい」「とにかく感染力が強い」といった声があがっているという。
白川支局長は、感染拡大には2つの理由があるとし、「ひとつは“油断”。一日の感染者数は昨年9月の10万人をピークにどんどん減っていき、今年の2月には1万人を切るところまでいった。『もう大丈夫なのではないか』『集団免疫ができているのではないか』という噂もあって、あまりマスクをしなくなっていたようだ。3月4月はヒンズー教の大きな祭りがいくつもあって、これの開催もすべて許可されてしまった。宗教行事ということで、マスクをせずに集団で蜜になる状況が各地で起こったと言われている。もうひとつの大きな理由は、変異株。感染力が強いと言われているので、どんどん拡大し、今の感染爆発になっているのではないか」との見方を示した。
医療体制はひっ迫し、病院の受け入れ先が見つからずに車の中で治療を受ける人や、そのまま亡くなる人がいるという。また、医療用酸素が足りないために、入院した数十人が亡くなってしまったケースも。さらに、カースト制の名残がある地域では、医療を受けられる順番に差が出てきているという。
頼みの綱になるのがワクチンだ。インドは“ワクチン製造大国”と言われ、4月末までに新型コロナワクチン6600万回分を海外に輸出しているが、国内の感染爆発によりストップした。白川支局長は「国内のワクチン接種が追いつかずに争奪戦のようになっている。この混乱に拍車をかけているのが、接種対象を45歳以上としていたのを、5月1日から18歳以上に拡大したこと。これによって、ワクチンを打たなければならない人が6億人になった。当然、それだけのワクチンは自国だけでは回らないということで、1日の予約接種開始の日にはシステムがパンクしたり、病院に並んでも受けられなかったり、乱闘騒ぎが起きたりした。これを受けてインド政府はロシア製ワクチンの輸入を決めたということで、海外からの輸入にも踏み切る状況になっている」と懸念を示した。
(ABEMANEWSより)