EXILEなど人気グループが所属するLDHが、格闘技に本格進出している。ジム『EX FIGHT』には一流コーチ陣が揃い、所属契約をかけたオーディション『FIGHTER BATTLE AUDITION』が進行中だ。
【視聴予約】15日(土)20時30分~ 「格闘DREAMERS#10」LDH所属を掴んだ格闘家は誰だ?
第一次オーディションのスパーリングから過酷な合宿、対外練習試合などの試練でふるいにかけられながら“LDHファイター”を目指す参加者たち。中でもひときわ存在感を発揮しているのが漆間將生(うるしましょうい)だ。
第一次オーディションではレスリングの国際大会で実績を残している中村倫也に“ケンカ”を売った漆間。すでにアマチュアでの実績もあるのだが、格闘技にのめり込む姿勢自体にインパクトがある。
「自分にはこれしかない」
そう語る漆間は、少年時代にまず独学で護身術を学び始めたという。きっかけは「DVです」。暴力を振るう父親から自分と家族を守るため、強くならなくてはいけなかった。「父親がああだから」という周囲の目をはね返すためにも強さを求めた。
「生きていくことに絶望を感じていたこともあります。でも格闘技のおかげで強くなれた」
高校生の時に地元・鹿児島のジムに通い始めるが、そこでは地下格闘技に選手を送り出していた。
「練習からしてケンカみたいなジムでした。毎日血だらけになるような。最初の試合は地下格闘技。寝技は5秒でブレイク、頭突きもヒジもあるルールです。そういう経験をしたんで、精神面は鍛えられたと思います」
後に「ちゃんとしたジム」で技術も学び、アウトサイダー、アマチュアパンクラスで結果を残す。パンクラスではプロ昇格を果たした。スポーツ推薦で進んだ高校時代はサッカー部の主将。奨学金を得て大学を卒業し、警察官になる予定だったという。しかし安定した道を捨てて格闘技を選んだ。
「格闘技をやっていると仲間、応援してくれる人が増えていって。その人たちのためにも頑張りたい、期待に応えたいって思うようになったんです」
最初は、父を見返すために結果を出したかった。しかし地元の仲間の言葉で心境が変化していく。
「お前はここでとどまる人間じゃない」
日本のトップ、さらには世界が視野に入ってくる。よりよい環境を求め、上京を決めた。そこで知ったのが、LDHが主催する『FIGHTER BATTLE AUDITION』だった。芸能事務所の格闘技オーディション。はじめは「どんなもんなんだろう」と思ったが、参加してみると中村、アマチュアボクシング高校6冠の宇佐美正パトリックなどレベルの高い選手ばかり。
「これは本気の企画なんだ、とスイッチが入りました。メンバーのレベルが高いので燃えますね。自分はアマチュアの総合で実績があるので負けられないという気持ちもあります。それで最初、倫也さんにケンカを売ったんです」
ともに試練を乗り越える中で、参加者への思いも変わってきた。最初は「仲良くなんかするかと殺気立っていた」。しかし今では「ライバルだけど仲間だって思ってます。自分の素を出せるようになりましたね。地元でも何人かにしか出さないんですけどね。練習で長く一緒にいるし、目標が一緒なので」。
上京して体調を崩したり、ホームシックのような状態にもなった。鹿児島が懐かしくなり、海が見たくなって1人で江ノ島に行った日もある。それだけに『格闘DREAMES』の仲間の存在は大きい。自分は支えられているという感覚、感謝の気持ちがより強くなったと漆間は言う。
目標は世界。しかし「今は簡単には言えない。まず日本で上を目指さないと」。『格闘DREAMES』のポイントは「誰がLDHとの契約を勝ち取るか」だ。しかしそれ以前に、参加者ひとりひとりの人生そのものに心を奪われる。
文/橋本宗洋