“繰り上がり”のメインイベントだが、そこに意味を感じる者も多いのではないか。

 5月16日に無観客試合として行なわれるRISEのビッグイベント『RISE on ABEMA』。選手の欠場、試合中止によって、寺山日葵 vs AKARIのRISE QUEENミニフライ級タイトルマッチがメインイベントになった。

 RISEの伊藤隆代表は「繰り上がりですが今のRISE女子の流れ、勢いを感じます」と言う。女子の試合がメインイベントになるのは今年のRISEでは3回目。女子のレベルが上がり、注目度を高めている現状あっての今回なのだ。しかもこの『RISE on ABEMA』はビッグマッチ。後楽園ホールでの女子大会もプランされているというだけに、寺山vs AKARIへの期待は大きい。

 17歳、女子高生ファイターとしても注目されるAKARIはデビュー7連勝でタイトル挑戦を決めた。前回、3月大会ではトーナメント優勝。勢いに乗っての王座戦だ。

「小さい頃からRISE QUEENに憧れてきて、その憧れの赤いベルトを明日、やっと巻くことができます。やってきたことを出せば勝てる。どの選手にも負けない練習をしてきたつもりです。メインだからといって、やることは変わらない。私らしくやりたいことをやります、ワガママな試合をします」

 大会前日の記者会見、AKARIのコメントからは強い決意が感じられた。かつてのRISE女子の代名詞、師匠である神村エリカと二人三脚のキャリア。“正統後継者”としての道を進んできた。だからこそベルトへの想いは強く、チャンピオンに対して「器じゃない」といった強い言葉も放っている。この会見では「今のチャンピオンとは違う風の吹かせ方をしたい」と戴冠後の抱負も。一方、カード決定時点から余裕を感じさせるのがチャンピオンの寺山だ。

「自分らしい試合をしっかりして、ジムにベルトを持ち帰りたいと思います」

 AKARIからの“舌戦”にはあえて乗らず。あくまで自分らしく、チャンピオンとしての闘いを貫くと語った。「今回勝てば上のレベルに行ける」とも。

 2019年下半期から負けなし、9連勝。昨年は他団体の王者も参戦するハイレベルなトーナメントを制した。今年に入ると、その時点で最も勢いのあった田渕涼香に完勝。厳しい相手との試合を乗り越える度に自信をつけているのが分かる。今大会、同門の風音が相手選手の欠場で試合中止となり「ショックを受けていたのを見ているので。風音のぶんまで頑張りたい」と仲間への気遣いも見せた。

 そんな寺山のこの日の衣装は赤一色。髪の差し色に赤を入れており、それに合わせたという。と同時にベルトの色とも合っており、チャンピオンカラーでのコーディネートとも言える。AKARIが憧れてきた「赤いベルト」の王者であること、その威厳を無言でアピールしているようにも見えた。

 タイトルマッチは5ラウンドであり、スタミナやペース配分もポイントになるこの一戦。挑戦者は気合い充分、一方のチャンピオンは貫禄をつけつつある。好対照な女子立ち技トップ争いは、両者のここまでの闘いぶりを見る限り、メインにふさわしいものになるはずだ。

文/橋本宗洋

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