映画『ゾッキ』『裏ゾッキ』の交互上映トークイベント「秘密の集会 今こそ愛だ」が5月19日、東京・渋谷にあるミニシアター・アップリンク渋谷で行われ、『ゾッキ』の中の一編『Winter Love』監督の山田孝之と出演者の柳ゆり菜、そして『ゾッキ』の中の一編『伴くん』監督の齊藤工が参加した。
映画監督としても一観客としても同劇場に思い入れのある齊藤監督。この日が閉館前夜ということもあり「この劇場でしか観られなかった作品、そして出会うことができなかったクリエイターがいました。グザヴィエ・ドラン監督など、この劇場で映画が公開されたからこそ、その先が開けて行った多くのフィルムメーカーも沢山見てきました。明日でアップリンク渋谷は一旦閉館となりますが、またいつか戻ってきてほしいと思います」とエール。そして「…星野源さん、おめでとうございます!」と、女優・新垣結衣との結婚が発表された歌手で俳優の星野源を祝福していた。
『Winter Love』で関西弁のコンビニの女を演じた柳は、山田監督とは旧知の仲だという。それだけに山田監督は「数カットの登場ですが、原作を読んでゆり菜のことがすぐに思い浮かんだ。原作の当該シーンの画像をスクショして『これやって』と送りました。松田龍平さん、ピエール瀧さんと同じくらい、早い段階でオファーしました」とキャスティング時を回想。当の柳は「男と女が眺め合っているほぼセリフのない漫画のコマの画像が送られてきて『これがゆり菜だ』と。私としては『どこが!?』状態でした」と驚きがあったようだ。
しかも大阪出身の柳に合わせて、原作とは違う関西弁キャラに変更。その改変に柳は「(山田監督には)関西弁でいつも口悪く喋っているような印象を持たれているので、その流れでかな?と思った」と自虐も、山田監督の現場について「映画監督という幕を張ることなく、山田孝之そのままでいてくれた。現場全体を把握しながら作品のことを伝えてくれて、一緒にお芝居を作っていった感じでした」と居心地の良さを強調。山田監督も「コンビニのシーンは齊藤工監督とミックスするシーンだったので自分も凄く楽しんだ」と充実ぶりを口にしていた。
この日のイベントでは音声SNSのClubhouseから急遽、『伴くん』出演者でお笑いコンビ・コウテイの九条ジョー(伴くん)が参加。昨晩のイベントで共演者の木竜麻生に告白し、「ソーシャルディスタンスで!」とやんわりフラれた九条。傷心ゆえに「大阪帰りの新幹線が9時間に感じた」と体内時計も狂ったようだが、柳から「ファンです!」と好意を寄せられると、面識のない柳に対して愛の告白を始めた。しかし木竜同様、柳からも「ソーシャルディスタンスで!」と断られ、二夜連続の撃沈となった。
最後に齊藤監督は、座席の間隔をあけた映画館の空席分の代金を山田監督がはじめしゃちょー名義で購入するというコラボ動画での取り組みに触れて「コロナ禍で大変なときにアイデアで乗り越えて行こうとする画期的な工夫。こんな時にこそエンターテインメントの良識は進化していくんだと思った」と感動し「映画公開後の山田監督の数々のアプローチには大きな勇気をもらいました。これからも仲間たちとともに『ゾッキ』という船で今の時代を航海していきたい」と力強く宣言していた。
竹中直人、山田孝之、齊藤工が共同監督を務めた映画『ゾッキ』の舞台裏に迫ったドキュメンタリー映画『裏ゾッキ』が5月14日(金)から公開中。
(c)2020「ゾッキ」製作委員会