臨床心理士が警鐘を鳴らす“ワクチン狂騒曲”…明石家さんま「ワクチン打たない」発言も物議
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 新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化する中、お笑いタレント・明石家さんまさんの発言に注目が集まっている。

 明石家さんは15日、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で新型コロナウイルスのワクチンについて「誰かに(ワクチンを)回してあげたい。俺は打たないから」と、接種しない意向を明らかにした。この発言を受けて、ネットでは「他人に感染させないためにワクチンは必要」「接種するかどうかは本人の自由」など、物議を醸している。

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 明星大学心理学部准教授で臨床心理士の藤井靖氏は「いわばワクチン狂騒曲のような形で『できるだけ早く多くの人がワクチンを打たなきゃいけない』『それがいま一番やるべきことだ』と、囚われるように集中しすぎてしまうと別の問題が出てくる。その一つは“価値基準の混濁”だ」と話す。

「世間的に好感度が高い明石家さんまさんでも、ワクチンについては『この発言はいいの?』といった旨の声がネットに寄せられた。本来、ワクチンを打つかどうかは個人の自由。確かにワクチンはコロナ対策の中核の一つだが、それを強いるかのような態度や姿勢は、何が正しくて何が間違っているのかが一時的に分かりにくくなっている状態ともいえる」(以下、藤井靖氏)

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 政府は新型コロナ感染の収束と発症後の重症化を防ぐ目的から、ワクチン接種への協力を国民に呼びかけているが、最終的に接種するかどうかは国民各自の判断に委ねられている。

 藤井氏は、議論の背景にある問題について「明確に安心できる結論が得られず、我慢する期間が長くなればなるほど人間は“答え”を求める気持ちが強くなる」と指摘。

「いつ新型コロナが収束するのか。または第5波、第6波といった波がくるのか。未来は誰にも分からない。その中で『新型コロナは人口を削減する生物兵器』『ワクチンでマイクロチップを埋め込もうとしている』といった非現実的な陰謀論が起こり、一つの答えとしてごく一部の人に受け入れられてしまう。そこにネットが介在すると、被暗示性が高い人など一定数の人は振り回されてしまう。上述した価値基準の混濁もある中で、安易に根拠がないものに結果を求めてしまうと、最終的には自分が苦しんだり、集団としてよくない方向に行ってしまったり、余計に混乱することにつながる。不安を感じている人は多いし、“答え”を求める心理は分かるが、全員が同じタイミングで安心できる状況になるわけではない。もうしばらくは不透明な状況を受け入れながら、各自のレベルで情報の取捨選択を続けていかなければいけない」

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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