「SNSでリンチを受ける懸念があるのに」誓約書に違反した悪質な入国者は“氏名公表”も?弁護士と考える水際対策と法的根拠
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 都内で初のクラスターが確認されるなど、国内での感染拡大が懸念されるインド型変異ウイルス。そこで政府はインドなど6カ国からの入国者を対象にした“水際対策”の強化を発表。全ての入国者に対して求めている14日間の待機期間のうち、国が指定する宿泊施設での待機期間を6日間から10日間に延長する。

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 しかし、こうした水際対策については懸念も残る。政府は現在、待機に加えてスマートフォンアプリによる位置情報や体調の報告などを求めているが、実際には連絡が取れなくなるケースが相次いでおり、厚労省によれば報告の必要があるおよそ2万2000人のうち、多い日で100人と連絡がつかないという。そこで検討が始まったのが、連絡の取れない人のうち“悪質”と判断したケースについて、指名をネット上で公表するという対策だ。

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 政府のコロナ対策について法的観点から問題点を指摘してきた楊井人文弁護士は「現状では水際対策が強化されているとはいえないと思う」と指摘する。

 「最近アメリカから帰国した人によると、“ワクチンを2回接種していて陰性証明書もあるので誓約書には従わない”と主張したところ、“それなら検疫法に基づいて停留措置が取られますよ”と言われ、しかも“誓約書にサインをしたらホテルから出ていってもいい”“14日間は“自宅待機”ということで家にいてください”と言われたらしい。つまり、誓約書にサインさせるための手段として停留が運用されているということだ。しかもサインをして誓約書の通り14日間は自宅で待機をし、アプリもインストールして報告もしていたが、連絡は一切来なかったそうだ。“結局なんだったのだろう”と言っていた。

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 現場ではこのように形式的にサインさせることが目的化していることもあって、今後はきちんと連絡を取り、連絡がつかない人については公表しようということなのだろうが、本当に実効性があるのだろうか。また、そもそも誓約書についても、きちんと法的に整備されないまま運用されているのが実情だ。こういうことを国会で議論してもらわないといけないし、もしルールに違反して不利益な処分を受けてしまった場合に争える仕組みも担保しないまま、なあなあでやってしまうというのは非常に良くない。

 官房長官は“氏名の公表に法的根拠は必要ない”と明言してしまったが、もし公表されたとしたら、SNS上のリンチなどバッシングを受けたり、ネット上に名前が残り続けたりするすることが十分に予見される。そういうような不利益を与える可能性がある以上、手続きの整備をしながらやっていくことが必要だ」と訴えた。

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 リディラバ代表の安部敏樹氏は「政治家が各論の話について、“法的根拠を作るためにも国会で議論をして立法しましょう”と訴えるのが、はっきり言って損な役回りになってしまっている。権力を行使する以上は必ずやらなきゃいけないことなのに、やってもメディアはちゃんと報じてくれないし、それどころか意味のわからない批判までされてしまうから、メリットがない、リスクを取りたくないと考える。その結果として"曖昧にしておこう"となってしまう。これが誰のせいかといえば、メディアと国民がそういう政治家たちを育てて来なかったからだ」と指摘した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

スタジオでの議論の様子
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