厳しい電力需給見通し 夏は「ここ数年で最も厳しい」、冬は東京で“足りなくなる”恐れも
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 来年2月に東京都の電力供給量が足りなくなる。そんな見通しを受けて25日、経済産業省で有識者が集まる総合資源エネルギー調査会が開かれた。

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 この会議で何が話し合われたのか、また人々の生活にどのような影響があるのか。テレビ朝日経済部・経産省担当の中村友美記者が解説する。

 電力の最大需要に対して供給力がどれだけあるのかを示す「予備率」。来年2月の東京の見通し(ピーク時)は、供給力5314万kwに対し最大需要は5332万kwで、予備率は「-0.3%」となっている。予備率はピーク時でも3%は必要とされているが、東京は足りなくなることが想定されている。

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 なぜここまで需給が厳しくなっているのか。中村記者は「最近の脱炭素の流れや電力自由化による大手電力の体力の低下によって、古くなった火力発電所が相次いで休止・廃止されていることにある。日本のエネルギーの76%を今も火力に頼っていて、そのうちの32%は石炭。経産省によると、去年から今年にかけてだけでも石炭やLNG(液化天然ガス)が廃止されて、火力発電が830万kw減、原発で8基分減ったとされている。電力会社が予想していたよりも原発の再稼働が進んでいない状況や、地球温暖化で冷房需要が増えるなども影響している」と説明する。

 7月の見通しを見てみても、北海道の予備率は16.2%と余裕があるものの、それ以外の地域は軒並み3.7%で、梶山経産大臣も「ここ数年で最も厳しい」と話している。

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 電力の需要量としては夏の方が多いが、なぜ冬にひっ迫してしまうのか。関係してくるのが太陽光発電による押し上げ分だ、夏は日差しが強いため太陽光の発電量が増えるが、冬の日差しでは発電量が減るために火力発電で積み増さなければならず、一方で火力発電所は減ってきているためにひっ迫してしまう。今年は特に厳しい状況で、経産省の会議では「『省エネの取り組みが例年以上に重要』というメッセージを出す方向で進めることになった」とという。

 冬の見通しに関しては、休止している火力発電所をもう一度動かせないか、企業が持つ発電所を動かしたらどれだけの電力になるのかなどを検討し、秋にもう一度需給が見直されるということだ。

 では、供給量を増やした場合の負担は利用者に返ってくるのか。中村記者は「この電力をどう確保するかについて、基本的には電力会社が負担する形になってきそうだ。それは巡り巡って、電気を小売りする会社に負担が回り、最終的には私たちの電気料金に跳ね返ってくる可能性はないとは言い切れない」との見方を示した。

ABEMA NEWSより)

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