LGBTなど性的少数者への理解を促進するための法案について、議論を続けている自民党。
焦点となっているのは「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」という文言だ。一部の議員からは「行き過ぎた差別禁止の政治運動につながる」といった異論が出ていて、27日朝から始まった政調審議会は紛糾し、夜になってようやく了承された。
政調審議会が紛糾したことについて、テレビ朝日政治部の車田慶介記者は「異例といっていい」と話す。
「朝からの審議会も長時間にわたり、そこで承認されるかと思ったら休憩を挟んだ。政調審議会が途中で休憩になるというのはあまり聞いたことがない」
法案に「差別禁止」を規定するよう野党側が強く求め、与野党協議の結果、「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」という文言が追加された。しかし、この文言をめぐって自民党内でも意見が分かれ、反対派からは「差別を理由とした政治運動が起きかねない」「差別を理由に裁判が起きて社会が混乱する」といった意見が出ているという。
LGBT理解増進法案は、部会ときのう行われた政調審議会を経て、きょう午後に自民党の幹部が加わった最高意思決定機関である総務会で審議される。しかし、ここで了承されたとしても今国会での成立は見通せない状況だという。
「総務会で認められて正式に党としての法案になった後、さらに国会で審議しないといけないが、国会の会期である6月16日まで1カ月を切っていて、そもそも審議時間の確保がかなり難しい。これ以外にも重要な法案の審議が行われているので、物理的に時間がない状況だ。ある自民党幹部は『この法案は次の国会でもいい』と話していて、今国会での成立は厳しいと思う」