アメリカでは、アジア系の住民を狙った憎悪犯罪(=ヘイトクライム)が今年に入って急増している。その背景には何があるのか、ANNロサンゼルス支局の国吉伸洋支局長が伝える。
アジア系を狙ったヘイトクライムが増えた背景について、国吉支局長はアメリカが「多民族国家」であることをあげる。
「アメリカはいろいろな民族や人種を受け入れてきた寛容な国であると同時に、建国以来、人種差別の歴史でもある。黒人やヒスパニック、アジア系に対して、いつの時代もどんな場所でも差別が起きていた。アジア系に対するアメリカ人のイメージは“文句を言わない”“おとなしい”というのが定番で、もうひとつあるのが“事業で成功している”“経済的に豊かな人が多い”というもの。そういった人に対する妬みや嫉妬からくる差別の意識が昔から根強くあって、それが表には出てきていなかったが、顕在化するきっかけを作ったのがトランプ前大統領の『チャイナウイルス』発言だと言われている。あの発言から全米各地でヘイトクライムが増えた」
以前は白人による犯行が多かったが、最近の傾向としては黒人やヒスパニックといった人によるものが増えているという。「この近くの日本料理店で去年ヘイトクライムがあって、ガラスが割られたり日本人のマネージャーが追いかけられたりしたが、この時の容疑者はヒスパニック系の若者だった。中南米の人たちは日本にいいイメージを持っている人が非常に多く、そういった人たちがヘイトクライムに参加しているということが我々住民にとってはショック」。
国吉支局長も取材を通して差別を感じることがあるそうで、「殴られたとか攻撃されたという経験はないが、取材に行った時に『国に帰れ』『すぐ帰ってくれ』と言われたことはあるし、日本人のクルーで行くと『アジア系か?じゃあ中には入れない』と取材拒否にあうケースが非常に多い。本当は住みやすい場所だが、前に比べたら住みにくくはなっている」と明かした。
一方で、新型コロナウイルスが原因となっている部分もあるとし、「収束してくればアジアンヘイトクライムも収まってくるのではないかと前向きに考えたい」とした。
(ABEMA NEWSより)