政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長が2日の衆院厚生労働委員会で「このパンデミックの状況でやるというのは普通はないわけで、やるということであれば開催の規模をできるだけ小さくして、管理の体制をできるだけ強化するというのはオリンピックを主催する人の義務だ」と指摘したことが注目を集めている。
大会組織委員会の参与も務める慶應義塾大学特別招聘教授でドワンゴ社長の夏野剛氏は「日本ではメディアを中心に反対反対、中止中止と騒いでいるけれど、客観的に見ると、感染者数も少なくなってきている。また、ワクチンがものすごく打たれ始めているので、世界の動きからしてもここでやめるという話は逆に理解されない可能性も出てきている」と指摘。

一方、キャスターの安藤優子氏は「尾身さんの発言を聞いていると、“やっちゃならない”と思ってるというのがひしひしと伝わってくる。夏野さんがおっしゃるように、感染者数など合理的なところから判断するのが一番正しいとは思うが、感情論としては“え?オリンピック、本当にやるんですか?”というような懐疑的な気分があるし、IOCの人たちの物の言い方がものすごく刺激して、盛り下がっていることも事実じゃないか。それを科学的根拠に基づく懇切丁寧な説明でどこまで盛り上げていけるかどうかだと思う。
また、ジャーナリストの端くれとして思うのは、私たちは決してお行儀のいい人種ではないということ。他と同じことをしていたらスクープなんて取れないわけで、群れから飛び出して、他に先駆けて何かをしてやろうというところがある。そういう特性を持った人たちが海外からも含めて何千人と集まった時に、行動を抑制するためにグリップを効かせることができるのかどうか。もし緊急事態宣言の期間が明けていたらお酒も提供されているだろうし、夜も遅くまでやっているわけだ。“いや~中継終わったよ。行こうか”みたいにして、六本木などの夜の街に繰り出すことだって容易に想像できる。そこに対して、“あなた、オリンピック関係ですか?どこの外国人ですか?”なんて聞けるのか。“貴族”と呼ばれているIOCの人たちも超高級ホテルで飲めや歌えやになるんじゃないか」と懸念を示した。
夏野氏は「どこも報道しないが、実は3月11日の前後に仙台の感染者数が増えた。これは取材との因果関係があるんじゃないかと思う。選手は絶対に気をつけるし、選手村でお酒をOKにしたのも外に出さないためだ。しかしメディアはやりたい放題になる可能性がある」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)