男性も子育てのための休みを取りやすくする「改正育児・介護休業法」が、3日の衆議院本会議で可決され、成立した。
世界的に見れば、日本の育休にかかる給付制度は「世界一の水準」とも言われる中で、男性の育休はどう変わっていくのか。テレビ朝日社会部・厚労省担当の岩本京子記者が解説する。
Q.改正内容のポイントは?
ポイントは大きく5つで、「生後8週間以内に4週間までの男性版育休を新設」「男女ともに通常の育休が2回まで分割可能に」「パートなど有期雇用で『1年以上勤務』の取得要件撤廃」「企業に産休・育休の取得意向確認を義務化」「従業員1000人以上の企業に取得率公表を義務化」。今回の改正は平成29年以来で、政府は少子化大綱で2025年までに男性の育休取得率30%を目指していて、その中で法律改正の必要性が出てきた。
Q.男性の育休取得の実態は?
2019年の取得率は7.48%と目標値に比べてかなり低く、取得期間も8割が1カ月未満と、国内では男性の育休の取得が進んでいない状況。一方で、給付制度としてはユニセフから「日本は世界一の水準だ」と言われているくらい高い。育休中も社会保険料が免除になったり、賃金の8割が補償されたりする。
ではなぜ低いのかというと、日本では企業における人手不足があるほか、家事や育児の分担意識が根強く、古い意識のまま来てしまったことが考えられる。女性の社会進出は進んできたと思うが、いまだに出産を期に5割の女性が退職をしているというデータもあり、こうしたこともまだまだ課題として残っていると思う。
育休中に賃金の8割が補償されるなど、制度としてしっかりしていることがなかなか届いていないために、男性が育休を取るという思考に至らない部分もあるのでは。
Q.4年で7.48%→30%に引き上げられる?
正規雇用だけでなく非正規も積極的に使えることや、中小企業でも取りやすいように企業側が積極的に呼びかけていくことが必要。ただメールで「育休を取りましょう」と一斉に送るのではなく、個別に周知するような個人単位での働きかけが必要だと思う。
これまでの厚労省の審議会でも、なぜ日本で育休の取得が進まないのかということが議論されてきたが、調査では「自分のキャリアに響きそう」「職場にそのような雰囲気がない」ために言い出しにくいという理由が多数を占めていた。
今回の改正で2回に分けて取得できるようになったので、最初は短く取ってみて、大丈夫そうだと思ったらより長く取ることもできるので、少しは活用しやすくなると思う。
Q.「1年以上勤務」の取得要件撤廃といえど、有期雇用では「戻ってこられない」という不安もあるのでは?
法律が制定されても、雇用の形態によって格差が残るようでは意味がないと思う。まずは国から業界団体への働きかけを何度も要請するとか、大企業に限っては育休の取得率を公表するという義務付けもされたので、4年で30%まで上げるのはかなり高い目標に見えるが、どこまで引き上げられるかが課題だと思う。
(ABEMA NEWSより)