小学生がゲームで国際交流!『マイクラ』を知らない英語教師が“教育界のノーベル賞”に選出された理由
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 匿名掲示板「2ちゃんねる」の開設者として知られるひろゆき氏が先月、児童養護施設にパソコンを無料配布するプロジェクトを立ち上げ、話題になった。

【映像】ひろゆき氏が子どもに勧める“4つのゲーム”(20分ごろ~)

 後日、配布するパソコンの詳細を自身のTwitterで公開し、そのスペックの高さに注目が集まった。ゲームから学習に繋げ、将来のきっかけ作りにしてほしいという。

小学生がゲームで国際交流!『マイクラ』を知らない英語教師が“教育界のノーベル賞”に選出された理由
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 はたして教育にゲームは必要なのだろうか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、“教育界のノーベル賞”「Global Teacher Prize 2019 Top10」に選出された立命館小学校教諭の正頭英和氏とともに考えた。

 「マインクラフト」というゲームを使って英語の授業をしたという正頭氏。「Global Teacher Prize 2019 Top10」に選出された理由について正頭氏は「まだそのときはゲームを使って海外交流をすることがまだ目新しかった。そこまで定着していなかった時期に『面白い教育をしている』と高評価をいただいたのかなと思っている」と明かす。

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 ロボットを用いて授業を行ったり、1年生から週1回のプログラミングの科目があったりと、新しい教育の取り組みを模索しているという立命館小学校。正頭氏はマインクラフトをどのように英語の授業に使ったのだろうか。

「マインクラフトは簡単に言うと、おもちゃのレゴブロックをバーチャル空間でやるようなゲーム。元々僕は英語の教師なので海外交流はずっと授業の一環でやっていた。授業で海外交流ができるだけでもすごいと思っていたが、あるとき、生徒が『つまらない』と僕に言ってきた。要は海外交流するが、交流する中身が全然なかった。立命館小学校は京都にある学校だから『京都にある文化を紹介しよう』というテーマで、京都の文化を調べて発表していた。交流先の海外の学校も向こうの文化を発表するが、なかなかお互いに興味が持てなかった。決められた台詞は全部英語で言えるが、質疑応答の時間になった瞬間『質問は?』と聞いても、お互いシーンとしてしまった」

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 授業がつまらないことに気付いた正頭氏は「世界共通で何か楽しめるコンテンツがないか」と探した。調べるうちにマインクラフトに出会い、生徒にヒアリングしたところ「授業でマイクラできるの!」とかなり喜んだという。

 京都にある立命館小学校は、京都の中心にあり、公共交通機関を使えば、30分程度で京都の世界遺産を巡ることも可能だ。正頭氏はこれをベースに国際交流をしようと思い立った。

「そもそも僕はマインクラフトを知らず、全くできなかった。だから、授業をするときに、子どもたちがマインクラフトをできることが条件だった。聞いたら子どもたちのうち、半分はできて、半分は『マイクラって何?』という子どもたちだった。6個の班を作って、班は『ごめんね、そこだけは正頭先生に決めさせて』と子どもたちにお願いをして、マインクラフトができる子とできない子をうまくミックスした。班の中で教え合いが生まれていくような設計にして、各班で1個ずつ6個の世界遺産を作ることにした」

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 正頭氏の説明を聞いていたひろゆき氏は「ちゃんとみんなで協力するのか。『お前は全部土台だけやっておけよ』と、ひたすら土台を作らされる係ができてしまうのでは?」と質問。正頭氏は「それはない」と否定する。

「でもうまい子と下手な子がいるので、そこでコミュニケーションが生まれる。そのコミュニケーションの言語を『英語にしてごらん』と言って、マインクラフトをお互いにしゃべりながらつくる。すると、子どもたちは失敗するのも、英語を恥ずかしがるのもどうでもよくなる。『英語を話すのが恥ずかしい』と言っていた子も、横の友達から『どうでも言いから早く言って。じゃないと制作が進まない』と言われる。それによって、失敗を恐れず英語を使うようになった。マインクラフトを通じて、子ども同士が良さを認め合い、楽しみながら、建物を作っていった」

 完成したマインクラフトは、交流先の外国の子どもたちに「これが清水寺だよ」とマインクラフト上で見せたという。

「だが、見せるだけだとわからない。例えば金閣寺を見せたときに『なぜ金色なのか?』と外国の子どもたちは疑問に思う。だから観光ガイドが必要だ。子どもたちが24時間体制でやるのは無理だから、そこはロボットに任せようとなった。マインクラフトの中にはエージェントというロボットがあって、このロボットはプログラミングで組むことができる。プログラムを組んでそのロボットに話しかければ、ロボットが観光客ガイドをしてくれるようになる」

 使っていたマインクラフトは設定の関係で日本語のみだったが、エージェントは英語しか話せず、日本語を台詞で表示する機能がなかった。これに正頭氏は「元々観光ガイドは英語でやるつもりだったから、ちょうど良かった」と語る。また、ロボットに組み込むためのプログラミングの授業も組み込んでいたという。

小学生がゲームで国際交流!『マイクラ』を知らない英語教師が“教育界のノーベル賞”に選出された理由
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 授業の流れを聞いたひろゆき氏は「エージェントのプログラムはけっこう高度だと思う。小学生はわかるのだろうか」と疑問を投げかける。正頭氏は「エージェントのコードは言語を打つわけではない」とした上で「ブロック型のいわゆるスクラッチ、ブロックで積み上げていくようなものだ。立命館小学校はロボティクス科という特殊な授業があって、1年生から週1回だがプログラミングの授業がある。6年生ぐらいになると難しい言語は使えなくても、ある程度ブロック型のものを『こうやりたい』と思ったら試行錯誤しながら組むことはできる」と答えた。

 まだまだ新しいゲームを使った教育。立命館小学校に続き、授業にゲームを導入する他の学校が現れるかもしれない。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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