就活生の服装や振る舞いについて、ステレオタイプな“男性らしさ”や“女性らしさ”を押し付ける「就活セクシズム」。声を上げる若者も増えてきており、「#就活セクシズムをやめて就職活動のスタイルに多様性を保証してください!」という署名活動の発起人の一人・水野優望さんは会見で「巷にあふれる“女性らしいリクルートスーツ”をどうしても着ることができず、様々なジェンダーの表現をしていた同級生たちが一斉に男女に二元化されたスーツになっていくのを見て怖くなってしまった」と振り返った。
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元新聞記者でジェンダーの問題に詳しい近畿大学の奥田祥子教授は「今の10代は男女平等の教育を受けていることもあり、就活で初めて理不尽な出来事に直面し、“なんでこんなに…”と相談してくる学生も多い。男性の場合、スポーツをやっている男性はだいたい有利だ。面接で“スポーツをやっているか”“体力はあるか”、そして“ストレスに強いか”といったことを聞かれたという学生もいる」と話す。
「女性の場合、“仕事と家庭をどのようにして両立していきたいか”と。“先生、私は結婚したら辞めるつもりだったのに、ずっと働かないといけないというようなプレッシャーを感じた”という相談を受けたこともある。ライフスタイルの押し付けだと思うし、かわいそうだと思う。
ただ、こうした質問の背景にあるのは、“アンコンシャス・バイアス”だと思う。スポーツ経験がある人の方が商談でうまく行くかもしれない、といった意識もそうだし、中年の管理職の男性の頭の中には、“結婚したら仕事を続けるか”という質問はダメだという思いから、“女性として管理職を目指すか”という質問をしてしまう。しかし、これもある意味でステレオタイプな発言だ。“アンコンシャス・バイアス”は、もちろん私にもあるので、反省しているところだ」。
こうした問題について実業家のハヤカワ五味氏が「女性の起業家の場合、キラキラしている分、プライベートはダメであってほしい、モテないでほしい、家庭的でないタイプであってほしい、というイメージが強い。でもみんな全くそうじゃないのに」と話すと、ドワンゴ社長で慶應義塾大学特別招聘教授の夏野剛氏は「男性も同じだ。“IT起業家”と名乗る奴らはパパ活で人気があるらしいが、そういうところに本当の起業家はいないと思う。“社長らしさ”なんてものもなく、人によって経営スタイルや会社の雰囲気もバラバラだ。こんなんでよく務まるなみたいな奴が社長をやっている会社が業績良かったりする」とコメント。
その上で夏野氏は「そもそも企業次第だと思う。茶髪の銀行員は信用ないと思われるから、銀行は嫌がる。でも僕らみたいなIT系は全く問題ないし、リクルートスーツを着てこなくても、何の問題もない。むしろ体育会系はクリエイティビティがないケースが多く、大学の講義も寝てて勉強しない学生が多いからバツ。
企業に自分が合ってないと感じたのなら、入らなければいいだけ。“うちはLGBTでも歓迎ですよ”と言われて入ったらトラップされたというよりはましだろう。合っている企業がなかなか増えなくて嫌だと思うのなら、起業してもいい。もっと言えば、企業よりも就活支援をビジネスにしている人たちの方が問題ではないか。こういう格好をしろ、エントリシートはこう書け、面接ではこう答えろと、ステレオタイプを作り出している」。
奥田教授は「私も夏野さんのような会社がもっと増えていけばすごくいいと思っているし、教え子たちにも行ってもらえたらと思うが、なかなか増えない。就活生たちには、この理不尽さを繰り返さず、変えていくつもりでぜひ頑張って欲しい。何かあれば私に言って来てほしい。訴える方法もある」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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