白く透き通ったヒラメのお造り。その身はずっしりと重く、つやつやに輝いている。養殖ヒラメで全国一の生産量を誇る大分県。佐伯市蒲江にある東和水産の養殖場の中には、一面緑色のライトで照らされている場所がある。
「大きな変化は“エサ食いがよくなった”。これは極端に違います」(東和水産・阪本龍也さん)
通常の水槽とLEDを当てた水槽でヒラメの行動を観察した映像を見ると、LEDを当てた水槽の方が活発に動いているのがわかる。大分県農林水産研究指導センターの内海訓弘さんは「緑色のLEDの光を浴びたヒラメはよく泳ぎ回るんですけど、それで食欲も増進されてエサをよく食べるということで大きくなっています」と話す。
同センターでは4年ほどからヒラメの研究に力を入れていて、LEDを当てたヒラメがより早く成長することを確認した。なぜLEDを当てるだけで成長が促されるのか。魚類のホルモンを専門に研究している北里大学海洋生命科学部の高橋明義教授によると、「赤と緑と青、それぞれ光を当てたらどうなるだろうというところから始まりました。そうしたら、『カレイ』と『ヒラメ』の成長に緑の光が一番よく効くということがわかってきた。ただし、なぜ緑の光でエサを食べる量が増え、成長が促進するかという科学的な仕組みはまだ全くわからない」という。
データでは実証されているものの、その効果の要因はまだ研究中だという。大分県農林水産研究指導センターの内海さんは「LEDを照射することで養殖期間が短縮すると思うので、コストの削減にはつながるのかなと思います。ほかの魚種でもそういった成長促進効果があるのか、それ以外にどんな効果があるのか調べていきたいと思っています」と意欲を示した。
養殖業界の革命的な発見。今後のヒラメの生産拡大が期待される。
(ABEMA/『ABEMA Morning』より)