気候変動問題、G7の共同声明に批判も CO2直接空気回収を研究するCRRA機構長・村木風海氏「具体性は弱いが、世界では明るい動きも」
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 13日に閉幕したG7サミット。気候変動に関して、温暖化対策に向けた資金支援として先進国からの年間1000億ドルの拠出目標の確認(2009年に合意するも未達)、温室効果ガス削減対策のない石炭火力発電への新たな支援をしないことなどが、共同声明として発表された。

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 一方で、石炭火力発電所の廃止や電気自動車へのシフトなど温室効果ガス削減に向けた具体的な措置は提示されず、環境団体からは批判の声もあがっているという。こうした批判について、気候変動を止める研究から人類の火星移住を実現する研究までを一貫して行う研究機関、CRRA(シーラ:一般社団法人炭素回収技術研究機構)機構長の村木風海(かずみ)氏は次のように話す。

 「電気自動車や水素自動車などの新しい乗り物に移り変わっていくことというのは、車自体から二酸化炭素が出てこないように移り変わらなければいけないと。ただ電気自動車が使う電気がどこから来ているかというと、例えば日本では火力発電が多く、(電気自動)車を動かすための電気を発電する過程でたくさんの二酸化炭素を出す。バッテリーなどのリチウムも採掘する時にものすごくエネルギーがかかり、いろいろな研究では“日本で電気自動車を買ってから廃車するまでは何km走っても、ガソリン車よりも二酸化炭素を今のところ多く出してしまう”というデータがあったりする。水素自動車の水素も、水を電気分解して作っているものはごく少数で、多くは例えばアメリカやカナダの油田産出物を分解し製造した水素。これは産出物の分解時に二酸化炭素が出る上、この水素を船ではるばる日本に運んで来るのでさらに二酸化炭素が出る。電気自動車や水素自動車をすぐに導入すればいいという話は、欧米ではそうだが、日本ではまず発電そのものから見直さければいけないという現状がある」

気候変動問題、G7の共同声明に批判も CO2直接空気回収を研究するCRRA機構長・村木風海氏「具体性は弱いが、世界では明るい動きも」
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 物やサービスについて始めから終わりまでのすべてを考える「ライフサイクルアセスメント」に各国が取り組む一方で、電力状況が異なるために世界で今すぐ統一して進めることは難しいという。

 「ただ僕自身は、日本でも発電を見直して火力発電などを廃止し、最終的には電気自動車や水素自動車が本当の意味で“エコ”になった方がいいなと思うので、もっと具体的な目標を盛り込んでもらえるとうれしい。僕の研究では、空気中から二酸化炭素を直接集めて、そこから石油の代わりになる燃料を合成するということに成功した。電気(自動車)といった何かの技術だけを一方的に研究するのではなく、いろいろな方法で二酸化炭素をプラマイゼロにしていくような取り組みをすることが大切になると思う」

 とはいえ、前向きな動きも広がっているということだ。

 「MOBI(Mobility Open Blockchain Initiative)という、世界中の車メーカーやネット関連の企業が集まった団体がある。そこで来年までに、電気自動車をつくる時にライフサイクルアセスメントを考えるルールで決まったと。海外のメーカーだとフォードやGM、ヒュンダイ、BMW、日本のメーカーだとホンダなども入っている。ヨーロッパでは2024年までにすべての電気自動車で出る二酸化炭素をモニターして、2027年までに上限のルールを決めるような動きも広がっているので、電気自動車が本当の意味でエコになる未来のために世界が合意して動き始めた」

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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