ミャンマー代表のサッカー選手、ピエ・リヤン・アウン選手が16日、帰国を拒否した。ピエ・リヤン・アウン選手は、先月千葉市で行われたサッカー・ワールドカップ(W杯)予選試合に参加。2次予選で日本と対戦した際、国歌斉唱時にミャンマー国軍への抗議を示す“3本指”を掲げていた。
【映像】デモ隊が“3本指”を掲げて行進する様子(ミャンマー現地)
ミャンマー国内では、クーデターを起こしたミャンマー国軍への抗議が相次いでいる。デモの参加者は抗議を示す“3本指”を掲げて民主化を訴えているが、弾圧は激化。男女問わず、子供にまで国軍の残虐行為が及んでいる。
共同通信などによると、ピエ・リヤン・アウン選手は16日に他の選手たちと関西空港から帰国の途につく予定だったが、帰国すれば「命の保証がない」と自身の意思で帰国を拒否。ピエ・リヤン・アウン選手は難民申請を行う予定で、今後しばらくは日本に滞在すると明かしている。
ピエ・リヤン・アウン選手の行動について、ニュース解説YouTuberの石田健氏は「政治的な行動をして『スポーツの大会に水をささないでくれ』と思う人もいるかもしれない」と前置きした上で「しかし、世界的な舞台だからこそ、国を追われるリスクがあっても声を上げる必要があった。ピエ・リヤン・アウン選手の行動がニュースになることで、日本でもミャンマーが置かれた今の状況を思い出した人がいる。これがポイントだ」と語る。
来月からは東京五輪・パラリンピックも始まり、世界中のスポーツ選手が日本にやってくる。日本の現状に石田氏は「日本は“難民問題”を十分に考えていない」と指摘する。
「今回の東京五輪ではリオ五輪のときと同じように、中東・アフリカなどの難民で結成された“難民選手団”も参加する。東京五輪をきっかけに来日して、ピエ・リヤン・アウン選手のように難民申請をする可能性もある。ただ、日本の難民認定率は諸外国と比べて著しく低い。改めて日本の立ち位置、現状を考える必要がある」
また、スポーツに政治問題を持ち込む是非について、石田氏は「まず五輪自体が、政治的なもの」と回答。「五輪で自分の国を応援する人も多いが、中には難民で自分の国がない人、応援する国がない人がいる。スポーツと一緒に政治の問題も考えていくべきだ」と述べた。
ピエ・リヤン・アウン選手の帰国拒否によって、改めて報道されたミャンマーの不透明な情勢。加藤勝信官房長官は17日、記者会見で「本人の意向を伺いながら適切に対応を図りたい」とコメント。「緊急避難措置として在留継続を望むミャンマー人に在留延長を認めている」と説明した。
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