映画『るろうに剣心 最終章 The Final』が4月23日に、映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』が6月4日に公開された。
今までの『るろうに剣心』シリーズでは、薫や仲間たちとの出会いをきっかけに少しずつ新しい時代に適応していき、ようやく人斬り時代の記憶から解き放たれた穏やかな日常を送っていく剣心の姿が描かれている。しかし、『The Beginning』で描かれる剣心は、動乱の幕末、新しい時代の到来を目指す維新勢力の1人。倒幕を目指す長州藩の桂小五郎により、与えられた役目を全うするために剣を振るい、幕末の京都を震撼させた“人斬り抜刀斎”として、多くの命を殺めており、今までの「おろ?」と言う“流浪人”のイメージとは全く異なり、暗殺者として世に知られる存在だ。世間から恐れられる剣心だったが、人を斬り、その返り血を浴びる度に心を痛め、虚無にとらわれ、絶望と孤独を深めていく。そんな、人を斬ることしか知らなかった剣心が謎の女性・雪代巴と出会い、無垢な自分自身を少しずつ取り戻しながら、人の生きる道、そして幸せとは何かに目覚めていく姿が描かれている。一方の巴も、復讐のために剣心に近づいたものの、誰もが平和に暮らせる新時代のためひたすらに剣を振り続ける剣心に、次第に惹かれ始めてしまう。「感情を押し殺して生きてきた2つの孤独な魂が、まるで運命に引き寄せられたかのように出会い、そして大きな時代の濁流の中に身を投じていく物語」と大友監督が語るように、『The Beginning』は剣心と巴の二人の紡ぐドラマが丁寧に描かれており、今までの活気溢れる明治の新時代を描いてきたシリーズとは一線を画す物語になっている。
大友監督は『The Beginning』の演出について、「劇的なこのドラマの行く末を魅力的に描き切るためには、2人の生活の中に潜んでいる些細な、そして豊かなディテールを何よりも大事に描写していかなければいけません。それゆえ、2人のシーンに関しては、過剰な演出はできるだけ避けて、シンプルに2人が生活を共にするたことで生まれる感情がナチュラルに浮きあがってくるような、そんな演出を心がけて撮影に挑みました」と、今までのシリーズ作品とは異なるアプローチでの撮影だったことを明かし、「クライマックスのアクションはもちろんですが、『The Final』とは違った抑制された演出を心がけながら、大スクリーンでこそ映える映画の持つ様々な可能性を信じて撮影をしました」と剣心と巴の微妙な心情の変化は劇場の大スクリーンで感じ取ってほしいとコメント。剣心を演じた佐藤健も、「『The Beginning』はドラマを見て欲しいです。全体的に表情などで芝居するのはやめて、佇まいや後ろ姿で漂う空気感で表現出来たらいいな、と芝居のアプローチをしました」と今までの『るろうに剣心』シリーズとは異なったアプローチで撮影に挑んでいること明かした一方で、「やっぱり剣心の過去──なぜ十字傷がついたのか、その秘密についてのエピソードは僕自身もすごく好きなエピソードですし、今までの1,2,3を演じてきた時も、その秘密(=剣心が背負っているもの)を、つねに心に秘めながら演じてきたので、それを大切に描きたかった。剣心にとって間違いなく一番重要なエピソード」と『The Beginning』で描かれる物語がこれまでのシリーズの剣心を演じるうえでの核になっていたとコメント。
この10年、主演の佐藤健が、心に秘め続けてきた剣心と巴とのドラマが描かれ、すべての謎が明らかになる『The Beginning』。なぜ、剣心は愛する妻であった巴を斬殺してしまったのか。その結末は多くの人の心を揺さぶる。シリーズ集大成にして『るろうに剣心』の原点が描かれる本作をぜひ大きなスクリーンで見届けていただきたい。
映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』ストーリー
動乱の幕末。緋村剣心は、倒幕派・長州藩のリーダー桂小五郎のもと暗殺者として暗躍。血も涙もない最強の人斬り・緋村抜刀斎(ひむらばっとうさい)と恐れられていた。ある夜、緋村は助けた若い女・雪代巴(ゆきしろともえ)に人斬りの現場を見られ、口封じのため側に置くことに。その後、幕府の追手から逃れるため巴とともに農村へと身を隠すが、そこで、人を斬ることの正義に迷い、本当の幸せを見出していく。 しかし、ある日突然、巴は姿を消してしまう。彼女には、剣心に近づく別の目的があったのだ。後を追う剣心だったが、そこにはある陰謀と、数々の罠が仕掛けられていた――。<十字傷>に秘められた真実が、今、明らかになる。
(c)和月伸宏/ 集英社2020 (c)映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」製作委員会