大友花恋、本気の読書愛を語る「本を読むと、学校とお仕事の境界線が溶けていく」

 優しく柔らかな語り口で書かれる大友花恋さんの言葉たち。それにはこれまで読んできた本の影響が大きいそうです。好きな本、好きな作家、本を読む時のシチュエーション。大友さんの本気の読書愛に迫りました。

湊かなえさん、住野よるさん、有川浩さん、西加奈子さん、江國香織さん……

本がとにかく好きで、好きな作家さんは本当にたくさんいます!湊かなえさん、住野よるさん、有川浩さん、西加奈子さん、江國香織さん……。本屋さんに行ったら、真っ先に好きな作家さんの棚にいって新刊をチェックするようにしています。中学生の時は湊かなえさん、高校生の時は西加奈子さん、高校を卒業した後は江國香織さんを一番読んでいました。

大友花恋、本気の読書愛を語る「本を読むと、学校とお仕事の境界線が溶けていく」

湊かなえさんは点と点が最後に繋がる部分に痺れまして。休み時間によく読んでいたので、最後まであとちょっとの所で授業がはじまってしまうと、本当に気になって……!大変でした。

西加奈子さんは本から感じるエネルギーに惹かれました。私は高校生の時、すごく不安で、モヤモヤした気持ちをずっと抱えていました。そんな不安をガサッとつかまえてどこかに持って行ってくれるようなパワーに、「こういう小説があったのか!」ってすごく衝撃を受けたんですよね。最初に読んだのが『サラバ』だったのですが、西さんの描く女性が好きなんです。「自分はこうはなれないな」と思いつつ、「それでもいいんだよな」って思える、肯定的な気持ちになれるのが西さんの作品の魅力かなと思っています。

「恋愛してみたいな~」って思って手にとったのが江國さんの作品で。思っていた恋愛とは種類が違ったものの「憧れの恋」という感じで引き込まれました。高校卒業後、一番恋に興味があった時ですね!(笑)。江國さんの本はとにかく言葉が綺麗で。物語なのでストーリーも素敵なのですが、「文字自体を見ている楽しさ」みたいなものを感じました。言葉って大切にしたらこんなにもキラキラしてくれるんだって。私もブログや雑誌の連載(『ハナコイノベル』)で小説を書かせていただいているので、言葉の使い方、並べ方をこだわる様になりました。

読書をすると、学校と仕事の境界線が溶けていく

読書は、電車の中が一番進みます。なんでしょうね、あの揺れとか 他に人がいる感じとか。電車を降りてもまだ読んでいたくて、電車のホームのベンチ座って読み続けることもあります(笑)。お家で読む時は静かすぎると集中出来ないのでうすーく音楽をかけて。

実家が群馬県で、学生時代はお仕事で東京に出てくる時に電車の中で宿題をしたり本を読むのがルーティンでした。電車の中で本を読むことで、学校の自分とお仕事の自分の境界線が溶けていく様な感じがあって。在来線で通っていたので、片道2時間くらいあったので、学生時代は本当によく本を読んでいましたね。

大友花恋、本気の読書愛を語る「本を読むと、学校とお仕事の境界線が溶けていく」

「SF」は「すこしふしぎ」の略

今まで出会った本の中で、お気に入りの「言葉」や「表現」……。たくさんあるので難しいですね、家の本棚が見たい!(笑)。『凍りのクジラ』(辻本美月著)という小説の中に、主人公が『ドラえもん』がすごく好きで「SFの定義」の話が出てくるんです。これは、辻村先生ではなくて、藤子・F・不二雄先生のお話を引用していると思うのですが「SFはフィクションのFとかではなくて“すこしふしぎ”の略なんだ」という言葉があったんですね。私も『ドラえもん』は好きでアニメもよく観ていたのですが「SF=すこしふしぎ」という言葉は『凍りのクジラ』で初めて目にして。「そっか、すこしふしぎなだけなんだ!」と、それをきっかけにSFの本が読める様になったんです。これまで現実的なお話ばかり読んでいたけど、自分の中で作っていた本へのストッパーを外してくれたんですね。日常にある、ちょっとしたモヤってしたことも、全部「すこしふしぎ」の一部にすることができて、今でも大切な本です。

大友花恋、本気の読書愛を語る「本を読むと、学校とお仕事の境界線が溶けていく」

声に出して読みながら執筆する

雑誌『Seventeen』では短編小説「ハナコイノベル」を執筆させてもらっています。すごく楽しいです。「ハナコイノベル」は写真と文章で構成されているので、どんな写真を撮ろうか考えてから文章を書くことが多いです。写真の内容が決まったら、撮影の前日くらいに1時間くらいで書き終えてしまうのですが、思いつくまでの1ヶ月は色々考えながら暮らしています。

スマートフォンのメモに書きためていくことが多いです。これまでの連載のメモは全部残っています。本を読む時は電車の中がお気に入りですが、文章を書く時はお家で、今っぽくいうと、エモい音楽をかけています。歌詞は入っていなくて、ピアノの音だけとか、とか。読者の子が読みやすいんじゃないかということで1500文字くらいにまとめているのですが、つい長くなってしまうので削るのが大変です。

大友花恋、本気の読書愛を語る「本を読むと、学校とお仕事の境界線が溶けていく」

“すこしふしぎ”を知る前はSF作品を読めなかった私みたいに、ジャンルが偏って欲しくないなと思っていて、色々なタイプの話を書くようにしています。ブログやSNSを投稿する前は、声に出して読むことです。声に出して読んだ時に、心地良いかどうか。畳み掛ける様な言葉になっていないかとか、口に出して読むとイメージがつきやすいです。読んでくださる方も、たまに声にだして読んでみると面白いかもしれないので、ぜひ試してみてください!

本の中で、過去にも未来にも行った。魔法も使えた

私にとって「本」とは、色々な世界を見せてくれるものです。今の状況だとなかなか旅行に行ったり、非日常を感じることって難しいと思います。でも、私は昔から本の中で色々な場所に行きましたし、過去にも未来にも行ったし、魔法も使えたんです。

私は、頭の中がパンクしそうな時に本を読みたくなります。ものを考える前に「よし、一回本を読もう!」って。例えば台本を読んでいて、自分と役が行ったり来たりしている時も、本を読むとリセットできるので、私にとって本とは今までもこれからもそういう存在だと思います。

<取材・文=中村梢/編集=Ameba編集部/撮影=オカダマコト>

丸山礼×大友花恋×西野七瀬『グータンヌーボ2』
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