磯村勇斗、“いいね!”数には縛られない「自分にストレスなくやることの方が大切」SNS社会に警笛を鳴らすオムニバスドラマに主演

 フォロワー数やいいね!の数がステータスの一つとされる現代SNS社会。世界との繋がりや広がりが増えた一方で、炎上や誹謗中傷が日常茶飯事となり「SNS疲れ」なる新語も生まれている。そんなSNSを取り巻く闇をテーマにしたABEMAオリジナルのオムニバスドラマ『箱庭のレミング』が現在配信中だ。ストーリーテラーとオムニバスの一編『Not Famous』(7月8日、22時より配信)の主演を務めるのは、SNSフォロワー総数150万人超を誇る俳優の磯村勇斗。“SNSの闇”とは無縁そうな人気俳優が、なぜSNS社会に警鐘を鳴らす本作への出演を引き受けたのか。しかも「僕は正直、数字に関心がなくて…」と意味深なことも口にする。SNSに対する磯村のスタンスをじっくり聞いた。

 ドラマ全体の総指揮を務めるのは、映画『新聞記者』『ヤクザと家族 The Family』で知られる藤井道人監督。「過剰な承認欲求」「間違った正義感」「ネットストーキング」などSNSならではの社会問題を全4話で訴えるスリラーで、各話主演に見上愛、岡山天音、須賀健太ら若手実力派が顔を揃えた。ストーリーテラーでもある磯村は最終章となる『Not Famous』で、視聴数にアイデンティティを求めるがゆえに破滅に向かう底辺ライブ配信主・加茂虹生を演じる。

▶予告:磯村勇斗主演『Not Famous』

 「自分が動画制作をするのであれば、こういう内容をやりたいと思っていたものの先を越された感じがしました。生配信中に何かアクシデントが起こるというストーリーには興味があったので、脚本を読んで“これは面白いぞ!”と。虹生は強すぎる承認欲求から攻めの姿勢にならざるを得ないという心境ですが、僕自身にも他人がやっていないようなところを攻めたいという気持ちがある。虹生がどんな人物なのか、イメージしやすかった」と共感を示す。

磯村勇斗、“いいね!”数には縛られない「自分にストレスなくやることの方が大切」SNS社会に警笛を鳴らすオムニバスドラマに主演

Not Famous』でユーチューバーを演じる磯村勇斗

 藤井監督とは『ヤクザと家族 The Family』に続いてのタッグ。短いスパンでの再会も嬉しいが、何よりも描こうとするテーマに心惹かれた。「SNSは確かに便利です。しかしそれも使い方次第。ここ1年半くらいSNSでの誹謗中傷や事件などがあったりして、問題点も表面化しています。本来は素晴らしいツールのはずなのに、ちょっと危険かなと。世界と繋がっていると言いながらも、それはとても小さな世界になっているような気もして」とSNSを取り巻く環境への警鐘は磯村も思うところだった。

 とはいえ自身もSNSフォロワー総数は150万人超を誇る。SNSに翻弄されてはいないのか。「SNSをやっておきながら申し訳ない話かもしれませんが、いいね!とかフォロワー数とか、僕は正直、数字に関心がなくて…。数字が多いと言われても僕は全く気にしないというか、世間では数字の大小がステータスのように扱われますが、僕はそこに左右されるのではなく、自分にストレスなくやることの方が今は大切だと思っています」と適度な距離感と冷静さを重点に置いている。

磯村勇斗、“いいね!”数には縛られない「自分にストレスなくやることの方が大切」SNS社会に警笛を鳴らすオムニバスドラマに主演

 活躍の場の広がりも冷静になる理由の一つに当たるのかもしれない。SNSスタートは17歳からと早いが「最初は学校の友達同士の小さなコミュニティでしたが、この業界に入って徐々に注目され始めるとリスクも生まれてくるわけです。ちょっとした言葉のニュアンスの捉え方で誤解が広まってしまうなど、自由なようでどこか不自由」とジレンマを感じることも。ゆえにSNSを通して発言している俳優にはリスペクトがある。「俺は俺!という覚悟を感じます。自由に発言が出来ている方は凄い」と唸る。

 エゴサーチも必要最低限にとどめるように心掛けている。「作品が公開された際にはエゴサーチをして調べることもありますが、基本的にはしません。僕のことを周りがどう思っているのかはそれぞれの自由ですから。各々が感じてくれることを感じてくれればいいだけだと思っています」と様々な意見に左右されずに自分で自分を信じることも大切なことだ。

磯村勇斗、“いいね!”数には縛られない「自分にストレスなくやることの方が大切」SNS社会に警笛を鳴らすオムニバスドラマに主演

 コロナ禍の自粛をきっかけに、動画配信に取り組む俳優も増えた。映画監督としての才も持つ磯村にその興味はないのか。「自分の監督した作品だけをUPするようなチャンネルを立ち上げるのは面白いのかもしれない」と興味はあるようだが「磯村勇斗としての素で何かをやるのは違うのかなと思います。これは僕の変なプライドなのかもしれませんが、芝居で魅せていきたいという気持ちの方が強い。“磯村勇斗チャンネル”を立ち上げたら、周りからも『俳優一筋でやれよ!』と叱咤されそうだし、自分に負けた気にもなりそう」と苦笑い。しかしその言葉には磯村の俳優としての誇りが滲んでもいる。

 でもYouTubeを見るのは結構好き。「人気YouTuberのチャンネルはもちろんのこと、ゲーム配信動画や都市伝説系動画とか。無名のYouTuberの動画も見たりします。それが今回の虹生の役作りに活きたりもして」と本作に大いに役立ったようだ。「SNSは今の時代当たり前にあるもので、もしかしたら家族や恋人よりも長く付き合っているかもしれない。それだけ浸透しているものですが、使い方次第で良くもなるし、悪くもなる。このドラマが皆さんにとってSNSとのあり方を考える一助になれば」とよりよいSNS社会の実現を期待している。

磯村勇斗、“いいね!”数には縛られない「自分にストレスなくやることの方が大切」SNS社会に警笛を鳴らすオムニバスドラマに主演
磯村勇斗、“いいね!”数には縛られない「自分にストレスなくやることの方が大切」SNS社会に警笛を鳴らすオムニバスドラマに主演

 『箱庭のレミング』第4部:「Not Famous」は7月8日(木)22時より配信。

テキスト・取材:石井隼人

撮影:Mayuko Yamaguchi

磯村勇斗主演『Not Famous』予告
磯村勇斗主演『Not Famous』予告