中国で静かな反乱? “仕事したくない&車も家もいらない&恋愛・結婚に興味なし”の若者、「タンピン族」が急増
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 中国でここ2カ月、若者の間で急速に広まった言葉があるという。それは「タンピン(※)族」。「タンピン」とはもともと「寝そべる」という意味だが、それが転じて「欲張らない」「頑張らない」「競争しない」という意味で使われるようになった。具体的には、「仕事をしたくない」「車も家もいらない」「恋愛・結婚に興味がない」若者たちのことを指す。

※タンピン…タンは身へんに尚、ピンは平

【映像】「タンピン族」を表す投稿動画(3:23~)

 中国版のTikTokで「タンピン」と検索すると、アカウント名に「タンピン」が入ったユーザーがずらっと並ぶ。中国の若者の間では、知らない人はいない言葉なのだ。背景には何があるのか。ANN中国総局長の千々岩森生総局長(以下、千々岩総局長)が現地から伝える。

 中国国内ではこの「タンピン」に批判的な声もあるというが、批判した有名なキャスターが逆に若者からの反論を浴びるなど、社会問題になりつつあるという。

中国で静かな反乱? “仕事したくない&車も家もいらない&恋愛・結婚に興味なし”の若者、「タンピン族」が急増

 「タンピン」が広まったきっかけは、4月17日にSNSに投稿された「タンピンは正義だ」とする文章と、男性がベッドに寝そべる写真。あくまでも一般人の投稿だったが、「いつも周りと比べられる」「上の世代の価値観がプレッシャーだ」「こういうのはおかしい」といった内容が共感を呼び、一気に広まった。

 千々岩総局長が実際に話を聞いた、「タンピン族」を自称する27歳の男性。「残業は絶対にしない。仕事が終わったらすぐ帰る」「そもそも仕事にも興味がない」と話し、「タンピン族」が増えた理由については「いい生活のためにこれまで頑張ってきたが、自分たちで努力しても天井がある、先が見えないというのがひとつ。また、多くの子どもが一人っ子で、両親・祖父母からのプレッシャーを一身に受けるのが嫌で寝そべりたい」と明かしたという。

 これまで経済大国への階段を上ってきたことへの、若者の“静かな反乱”。こうした事態に、政府系のメディアは「タンピンは恥だ」「若者は奮闘せよ」とこぞって批判した。中国では来週、今年最大の政治イベント「共産党100周年」が開催される。国内外に今の中国を大きくアピールする大会が繰り広げられるが、そうした愛国ムード、国威発揚ムードに水を差しかねない。

中国で静かな反乱? “仕事したくない&車も家もいらない&恋愛・結婚に興味なし”の若者、「タンピン族」が急増

 急速に進む少子高齢化に危機感を抱く中国政府は、30年以上続けてきた「一人っ子政策」をやめ、2016年から「二人っ子政策」を導入。それでも出生数が減っていることから、5月に「三人っ子政策」の方針を示した。

 中国は今、欧米諸国と激しく対立しているが、千々岩総局長はそうした海外との対立よりも国内環境の方が大きな問題だとの見方を示した。

 「中国政府がよく使う『奮闘』『正能量』という言葉がある。『奮闘』は日本の奮闘と同じような意味で、『正能量』というのは、直訳すれば『プラスのエネルギー』という意味で、今の中国では何でも前向きに捉えてガンガン進んでいくという感じで使われている。こうした国民を煽るような言葉がメディアで散々繰り返されている中で、「タンピン=寝そべる」という新たな若者文化が広がるという、逆説的な現象が起こっているのは興味深い。街中でインタビューすると全員が『タンピン』という言葉を知っていて、賛成か反対かは五分五分だが、反対の人も『気持ちはわかる』と。

 少子高齢化で10年後、30年後はなかなか難しくなるというのは中国政府もわかっていて、だからこそ一人っ子政策から二人っ子政策、三人っ子政策まで打ち出した。ただ、それでも少子高齢化は止まらないと見られている。中国で暮らしていると、政府が思い描くような強国路線や愛国主義が、狙い通りには進まない雰囲気を感じる。中国は欧米との対立が問題になっているが、正直なところ、中国の30年後、50年後を考えれば、外国との対立よりも、国内の少子化や若者の雰囲気の変化の方が、よほど大きな問題だ」

ABEMA NEWS)

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