「選択的夫婦別姓の方が憲法にストレートに適合すると思う」最高裁の判断を受け、弁護団の事務局長を務める野口敏彦弁護士

 「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」

 この民法(750条)の規定や戸籍法の規定が、法の下の平等(14条)、さらに婚姻における男女の平等(24条)を定めた憲法に違反しているのではないかー。都内に住む3組の事実婚カップルが起こしたこの訴えに対し、最高裁は23日、「合憲」との判断を示した。

・【映像】別姓に向け事実婚を選んだ当事者に聞く

「選択的夫婦別姓の方が憲法にストレートに適合すると思う」最高裁の判断を受け、弁護団の事務局長を務める野口敏彦弁護士

 最高裁は2015年にも「夫婦が同姓であることは社会的に根付いている」などとして合憲の判断を示していたが、今回の特別抗告審でもこれを踏襲する形となった。原告団の榊原富士子弁護士は会見で「期待をしていたが、残念ながら違憲という結論には至らなかった。2015年から6年近くたって世論も相当変わっているので、大変残念だ」とコメント。

■「選択的夫婦別姓の方が憲法にストレートに適合する」

「選択的夫婦別姓の方が憲法にストレートに適合すると思う」最高裁の判断を受け、弁護団の事務局長を務める野口敏彦弁護士

 同日夜の『ABEMA Prime』に出演した、弁護団の事務局長も務める野口敏彦弁護士も「こちらとしても、前回と同じことをしても勝てないことが分かっていたので、同性婚を望む人は結婚できるのに、別姓婚を望む人は結婚できないというところに“信条”による差別がある、つまり憲法14条に違反していると主張した。しかし、“それは憲法上の主張ではない”という、全く意味のわからない判断がなされた上、理由の記載も全くなかった。最高裁がどのような考えでこの主張を排斥したのかが全く見えず、非常に問題のある判決だ」と指摘する。

「選択的夫婦別姓の方が憲法にストレートに適合すると思う」最高裁の判断を受け、弁護団の事務局長を務める野口敏彦弁護士

 判決の中で最高裁は、現行法が憲法に適合しているかどうかの判断と、どのような制度を採るのが政策として妥当なのかについては次元が異なる問題だと指摘。一方、15人の裁判官のうち、「違憲」と判断した4人の裁判官の中には、「夫婦同氏制の例外を許さないことの合理性を説明できないこと、現実に女性に対し不利益を与えており、法が夫婦別氏の選択肢を設けていないことは婚姻の自由を不合理に制約する点で、憲法24条に違反する」(三浦守裁判官)との個別意見もあった。

「選択的夫婦別姓の方が憲法にストレートに適合すると思う」最高裁の判断を受け、弁護団の事務局長を務める野口敏彦弁護士

 野口弁護士は「2015年の判決の中では、現行憲法上、選択的夫婦別姓制度が認められないというものではないと言い切ってくれているし、国会が認めてくれればオッケーだ。むしろ選択的夫婦別姓の方が男女同等の権利と書いてある憲法にストレートに適合すると思う。だからそこは立法政策の問題として、国会でよく考えてくださいという判断になっているということだ。

「選択的夫婦別姓の方が憲法にストレートに適合すると思う」最高裁の判断を受け、弁護団の事務局長を務める野口敏彦弁護士

 ただし国会の裁量、立法政策にも限界があるし、現実に別氏婚の選択肢を求める方々が結婚制度から排除されてしまっている。そうした点にもしっかりと踏み込んで判断していただきたかったが、今回の多数の意見はそうではなかった。わずか1ページで、事情は変わっているものの、2015年の判断を変更すべきものと認められないという、はっきりいってそれだけの内容だった」と話した。

■「何が進んでいるとか遅れているとか、そういう議論ではだめだ」

「選択的夫婦別姓の方が憲法にストレートに適合すると思う」最高裁の判断を受け、弁護団の事務局長を務める野口敏彦弁護士

 選択的夫婦別姓をめぐっては、与党・自民党内でも意見が割れている。稲田朋美衆院議員が「イデオロギーの問題ではなくて、不利益を被っている人がいることを解消できるかという問題だ」と述べているのに対し、高市早苗衆院議員は「選択制だからいいじゃないかという声も聞くことがあるが、選択制だからこそ、世の中の制度に統一性がなくなる」と訴えている。

「選択的夫婦別姓の方が憲法にストレートに適合すると思う」最高裁の判断を受け、弁護団の事務局長を務める野口敏彦弁護士

 元経産官僚の宇佐美典也氏は「なぜ日本人がこれだけ同姓にこだわるかといえば、ほとんどの国民にとって名字が公式になったのが1871年と、つい最近のことだからだ。むしろ歴史が浅いからこそ、家族を象徴するものとして大事にしているのだと思う。一方、昔から名字があった韓国や中国では、結婚を通してどんどん名字の種類が減っていき、日本に比べればアイデンティティも薄くなっているのだと思う」との見方を示す。

 その上で宇佐美氏は「そもそも戸籍自体に別姓を入れてはいけないという絶対の法制上の理由はないのに、正しい家族を表すものだという、どこか“信仰”のようなところがある。しかしそうした個人の信条を無理やり変えさせることはできないわけで、夫婦別姓に反対するのは、頭の古い遅れた人だ、間違った認識を持った人だ、人権意識が低い人だと批判してしまうのは、お互いにとって良くない」と指摘する。

「選択的夫婦別姓の方が憲法にストレートに適合すると思う」最高裁の判断を受け、弁護団の事務局長を務める野口敏彦弁護士

 「何が正しいとか間違っているとか、何が進んでいるとか遅れているとか、そういうことではないと思う。民主主義社会で法治国家なのだから、みんなで議論して合意できる着地点、制度を見つけていくことが必要だと思う。今は夫婦別姓に強く反対する人もいるし、少なくとも制度が合憲だと認められた以上、実現のためには別の方法を考えなければならない。

 たとえば歴史を遡ると、日本でも1898年~1914年の間、家単位の身分登録制度と個人単位の身分登録制度が併存していた。しかし家前提の制度として戸籍を作ってきたために、個人単位の方は廃れてしまった。逆に個人単位の登録制度を復活させれば、戸籍上の問題は発生しないわけだし、過去にも存在したから別姓反対派にも提案しやすいと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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