水が激しく落ち、水しぶきが上がる滝。自然の迫力を感じられるが、これは1枚の写真を元にした“作られた動画”だ。
【映像】動画…じゃない! まるで本物の映像のような“写真”(比較画像あり)
アメリカ・ワシントン大学の研究チームが発表した、写真から映像を作り出す技術。研究チームは、ディープラーニングを活用し、滝や川、海などの「水の動き」に関する大量の動画をコンピューターに読み込ませ、水がどのように動くのか学ばせたという。そして、写真が撮られたとき、どのように水が動いていたのかを予測。フレームごとにピクセル単位で補完し、本物の映像のようなアニメーションを作り出している。
Google、Facebook、Amazonなど、名だたる企業から支援を受けて行われた今回の研究。この技術を活用することによって、滝や川など、水の動きのほか、雲や煙、火の写真などの映像化が可能になる。しかし、水の中にある物体が、どのように歪んで見えるかなどの予測はとても難しく、今後の課題は「光の反射を予測すること」だという。
「わたしたちが滝を見るときには、水がどのような動きをするかわかっています。火や煙についても同じことが言えます。これらの動きは物理的な法則に従っていて、画像には物事がどのように動くかを示す手がかりがあります」(研究者のコメント)
研究チームは、髪が風に揺れる様子など、さまざまな分野にこの研究を応用したいとしている。
IT起業家の関口舞氏は「子ども時代の写真や、観光地で撮った写真など、後から『動画を撮っておけば良かった』と後悔するケースもある。とても素晴らしい技術だと思う」とコメント。その上で、技術が悪用される可能性に言及する。
「過去には、アメリカのオバマ元大統領が言っていないことを本当に言ったかのように見せる“ディープフェイク動画”がネットで問題になった。同じように、ディープラーニングでAIが学習した映像や音声を使って、子どもを偽装誘拐するといった事件が起きかねない。SNSにアップされた子どもの動画から音声等の情報をAIに学習させ、本人の声に似せて『ママ助けてー!』と叫ばれたら、本物だと信じる親もいるだろう。動画や写真などが悪用されないためにも、SNSにアップする内容はより慎重にならないといけない時代になってきている」
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