億単位の賠償請求も…「ファスト映画」全国初の逮捕者 捜査協力した弁護士が語る法的問題点
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 宮城県警は23日、映画を無断で短く編集した「ファスト映画」をYouTube上に公開したとして男女3人を逮捕した。宮城県警によると、ファスト映画の投稿による逮捕は全国初だという。

【映像】「ファスト映画」で逮捕された男女3人(連行の様子)

 男女3人は去年6月から7月にかけて著作権者の許諾を得ずに映画『冷たい熱帯魚』や『悪の教典』など、5つの作品のファスト映画をYouTube上で公開した著作権法違反の疑いが持たれている。警察は容疑者らが広告収入目的で投稿していたとして、実態の解明を進めている。

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 映画の映像や静止画を違法に使用し、字幕やナレーションなどをつけてストーリーを説明するファスト映画。およそ10分といった短時間で内容が分かるため、ファスト映画と呼ばれている。

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した知的財産に詳しい弁護士・中島博之さんは、ファスト映画について「映画で使われた映像や画像をそのまま使うのは、著作権上の複製権侵害に当たる」と話す。また、2時間ほどの映画を無断で約10分に編集している点にも問題があるといい、これは翻案権や同一性保持権の侵害になるという。さらに、著作物を違法にインターネット上にダウンロードする行為は、公衆送信権の違反に該当する。

 中島さんは、過去には海賊版の漫画ビューアサイト『漫画村』運営者の特定も行い、今回のファスト映画の案件にも捜査協力している。今回のファスト映画では「具体的には映画会社の代理人として、情報開示のための裁判手続きを行った。摘発するために、被疑者情報の取得や警察などと協力して動いた」と語った。

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 『漫画村』の元運営者には懲役3年の実刑判決が出たが、ファスト映画の場合はどの程度の罪に問われるものなのだろうか。

「まず、前提として著作権法違反の場合は10年以下の懲役か、1000万円以下の罰金、またはその両方が課せられる。『漫画村』は組織犯罪処罰法と著作権法違反を組み合わせての判決になった。今回のファスト映画は被疑事実として、著作権の侵害になる。おそらく、執行猶予がついた懲役刑、または罰金といった刑になると思う。これに『ペナルティとしては甘いのでは?』と思われる人もいるかもしれないが、民事でも億単位の損害賠償請求を行う予定だ」

 ファスト映画をアップロードする際、広告収入を得ていない場合は罪に問われないのだろうか。この疑問に中島さんは「著作物を違法にアップロードや複製すること自体が違法」と断言。「広告収入は罪を重くする要素にはなるが、広告収入を得ていないからと言って罪にならないわけではない」と語った。その上で、YouTubeといったプラットフォーム側についても「権利者からの通報を無視してアップロードされた動画を放置した場合、責任が問われるケースもあるだろう」と述べた。

ABEMA『ABEMAヒルズ』より)

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