“ブラジルのエジル”とも称される、左利きの司令塔が輝きを放った。フランスリーグのリヨンに所属する23歳、ルーカス・パケタはコパ・アメリカ2021のグループリーグ最終戦に先発出場した。
今大会、ブラジルはすでに3連勝でグループ首位通過を決めていた。決勝トーナメントに向けてチッチ監督はネイマール、カゼミロといった主力選手を温存。コロンビア戦からスタメン10人を入れ替えてエクアドル戦に臨んだ。
ネイマール不在のチームを牽引したのが、2列目の右サイドで出場した17番、パケタだった。パケタは180センチと大柄ながらも、柔らかいボールタッチとアイデアにあふれたパスを得意とする技巧派のレフティだ。
まずは13分、1人でドリブルで持ち込んで左足から挨拶がわりのミドルシュートを放つ。19分にはフットサル選手のようなスーパーテクニックが飛び出す。
ゴールまで30メートルほどの位置でパスを受ける。左足の足の裏でボールをコントロールし、相手DFの足を止めると、すかさず左足のアウトで相手ディフェンスの背後にループパス。
パケタが出した浮き球はGKとDFの間のスペースに落とされる。オフサイドラインをかいくぐってFWのガブリエウ・バルボーザが抜け出してシュートを放つが、惜しくもGKがに阻まれた。
足の裏でのボールコントロール、アウトサイドでのループパスというプレーは、サッカーよりもコートが狭く、スペースが少ないフットサルでよく見られるテクニックだ。空間と時間を操ったパケタのプレーは、ウルグアイでのプレー経験を持つ解説者の松原良香氏も絶賛した。
後半に入っても、65分に左サイドから途中出場のヴィニシウスにピンポイントクロスを上げるなど、終始ブラジルの攻撃をリードしたパケタ。結果こそ引き分けだったが、主力メンバーが温存される中でブラジルの攻撃を引っ張った。
7月3日から準々決勝が行われるコパ・アメリカ。新司令塔パケタの活躍が、ブラジル連覇の鍵を握るかもしれない。
文・渡邉知晃