新型コロナウイルス対策の「家賃支援給付金」約550万円を詐取したとして経済産業省のキャリア官僚、桜井真容疑者(28)と新井雄太郎容疑者(28)が逮捕された。
【映像】高校の同級生だった桜井容疑者と新井容疑者(逮捕現場の様子)
2019年11月、桜井容疑者は新井容疑者と「新桜商事」を設立。もともと2人は高校の同級生で、同じフロアで勤務していた。新桜商事に稼働実績はなく、事実上ペーパーカンパニーと化していたが、今回の給付金詐欺に利用。詐取金の大半は桜井容疑者の口座に入金され、高級時計などを購入した際のクレジットカードの支払いに充てられていた。
28日、記者会見した梶山弘志経済産業大臣は「誠に遺憾。深くおわび申し上げる」と陳謝。また、捜査で全容解明をした上で「厳正に対処する」としている。
■ “官僚”が抱える問題点「政策が成功しても何も言われない。失敗すれば大きく叩かれる」
この事件に、ニュース解説YouTuberの石田健氏は「政策を作る側の人たちが、こういった行為をするのは決して許されないこと」とコメント。その上で現在の官僚が抱える問題点に言及する。
「『給料が安い』と言ってしまうと語弊があるが『ハードな仕事に見合った給与ではない』という声をよく聞く。平均年収は30代で約600~700万円だと言われていて、残業代なども適切に支払われていなかった問題もある。やはり同世代の優秀な人たちと比べて、仕事が忙しいわりには十分な給料がもらえていないとずっと指摘されてきた」
▲ニュース解説YouTuberで「The HEADLINE」編集長の石田健氏
桜井容疑者は高級外車を複数台所有していて、外車以外にも腕時計といった複数のブランド品を所有し、自宅マンションの家賃は1カ月分の給与額を超えていた。不正受給した給付金は桜井容疑者のこういった“派手な私生活”に使われていたとみられる。経済的な対価として報われない鬱憤(うっぷん)が、今回の詐欺行為に走らせてしまったのだろうか。
石田氏はキャリア官僚の“職務”について「成功が『当たり前だよね』で、政策が成功しても何も言われない。しかし、失敗すれば、国民に大きく叩かれる。これが今の官僚の在り方になってしまっている」と指摘する。
「仕事で成果を出しても、自分の名前が報じられることはない。金銭的に官僚になるメリットはほとんどなく、政治家をサポートする人のような見え方になっている。一方で、日本の政策の官僚によって作られていて、官僚になれば国の政策に携われる。そういった面では意義ややりがいが大きい仕事。しかし、それが経済的な対価として報われなかったり、職務が称賛されなかったりして、どうしても現状に疑問を持つ人が出てきてしまうのだろう」
桜井容疑者らが搾取した家賃支援給付金は、新型コロナで苦境に立たされた中小企業主らに用意されたもの。本来であれば、新型コロナで苦しい事業者に使われなくてはならない。石田氏は「どんな理由があったとしても政策を作る側の人間のこういった行為は許されるべきではないが、同時に官僚の在り方も真剣に考える必要がある」と語り、現在の官僚体制に警鐘を鳴らした。
この記事の画像一覧



