「30人に1人」感染症予防の糸口に? コロナ重症化のリスク高める“体細胞モザイク”今後の可能性
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 今月、理化学研究所などの共同研究チームが、新型コロナ重症化のリスクを高める「体細胞モザイク」の研究結果を発表した。

 理化学研究所などは、生まれながらのDNA配列を持つ体細胞と、後天的に変異した体細胞が混じった状態(モザイク)である「体細胞モザイク」を解析。体細胞モザイクを持つ人の特徴を明らかにした。

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 およそ30人に1人の割合が持ち、新型コロナウイルスなどの感染症を重症化させるリスクが高い体細胞モザイク。理化学研究所などの発表によると、コロナ患者が体細胞モザイクを持つ割合は、軽症患者が5.8%(16人に1人)、中等症患者が13.9%(7人に1人)、重症患者が16.9%(6人に1人)だった。また、体細胞モザイクを持っている割合は、若者よりも高齢者が高いという。

 この研究結果に日本初の個人向け大規模遺伝子検査・解析サービスを手がけるGenequest(ジーンクエスト)の代表取締役・高橋祥子氏は「興味深い着眼点だ」と語る。

「30人に1人」感染症予防の糸口に? コロナ重症化のリスク高める“体細胞モザイク”今後の可能性
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「普段、人間の細胞が分裂する際、細胞は同じDNA配列を持つ細胞をつくる。その中に、コピーミスなどで少し変異が入って、違う配列の細胞を作ってしまうことがある。通常は排除されていくが、まれに残ってしまい、その細胞が入り交じった状態を“体細胞モザイク”と言われる。理化学研究所は、体細胞モザイクと白血球異常の関連性など、免疫系疾患との関わりについて研究している。その中で『感染症の新型コロナとも関係があるのではないか?』と、コロナ患者の体細胞モザイクの割合を分析した結果、関係していたことがわかった。着眼点として興味深く、新しい知見として評価されると思う」(以下、高橋祥子氏)

 また、体細胞モザイクができる原理について、高橋氏は「細胞分裂時に変異した細胞(コピーミスの細胞)が生まれ、それが交じることによって体細胞モザイクが生まれる。変異した細胞が蓄積してできる“がん細胞”と同じ原理だ」と説明。その上で、研究によって見えた今後の可能性に言及する。

「免疫系と関連性を持つ体細胞モザイクは、紫外線などが与える身体のストレスや老化・加齢系の疾患とも関係している可能性が指摘されている。今回の研究をきっかけに、体細胞モザイクの蓄積を予防するような対策が見つかるかもしれない」

 変異型ウイルスの蔓延など、いまだ世界中で猛威を奮っている新型コロナ。近い将来、研究が進むことによって、新しい感染症を防ぐための糸口になるか。期待が高まっている。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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