熱海・土石流災害「想定外ではない。起こり得る場所で発生した」専門家が指摘 「前兆現象に頼るのは危険。地質より地形に注目を」
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 3日、静岡県熱海市の北側に位置する伊豆山地区で大規模な土石流災害が発生。家屋や電柱などを巻き込んだ大量の土砂は約2キロにわたって流れ落ち、その一部は相模湾にまで達した。熱海市危機対策本部によると、被害に遭った家屋は100~300世帯におよび、甚大な被害を受けた熱海市、平塚市には警戒レベル5の避難指示が発令された。現在も懸命の救助作業が続いている。

【映像】「起こるべくして起きた土石流」のナゼ?

 静岡大学防災総合センター副センター長の牛山素行教授は、今回の土石流が発生した要因について「何が原因かを明確に言うのは難しい」としながらも「基本的には多くの大量の雨が降ったということ。ただ、雨の激しさも難しく、短時間に激しく降る雨、長時間にわたって降る雨など色々ある。今回の場合は短時間の雨はそんなに降らなかったが、それに対して72時間、48時間など降る雨が多かった。ただ、それにしても、今まで日本で降ったことの無い雨なのか、この地域で何十年も降っていない雨なのかといえばそこまでの量ではない。危険性を判断するのは難しい降り方だった」と今回の土石流の予測が困難だったと指摘する。

 熱海は山と海が近く、勾配の急な地形をしているが、そのことについて牛山氏は「土砂災害というのは検討がつかないところで発生するものではなく、基本的に起こり得るところで発生する。この場所も地図などで見ると、明らかに土石流、またはそれと同じような現象を繰り返し、繰り返し発生してこの場所が形成されてきた地形になっている。実際に今回土石流が流れた場所もすべて土砂災害警戒地域で、ハザードマップ上で危険性が示された場所になっている」と述べると「よく想定外という言葉があるが、決して想定外の現象ではない。起こりうることが、起こりうる場所で発生してしまった。ただ、いつ起こる、規模はどれくらいなのかは予測が難しい」と話す。

熱海・土石流災害「想定外ではない。起こり得る場所で発生した」専門家が指摘 「前兆現象に頼るのは危険。地質より地形に注目を」

 今回の被害地域について、地形的な特徴に加え、地質的にも災害が起こりやすい場所なのか。そのことについて牛山氏は「地質を気にされる方はよくいる。専門的に言えば細かい地質の違いはないわけではないが、社会的な情報として受け止める時に『地質が緩いから土砂災害に注意だ』『頑丈な山だから崩れない』など、そこまでの違いはない。地質より地形に注目することが土砂災害を考える上では有効だ」との考えを示すと、その理由については「その地形が明らかに過去、繰り返し土砂災害を起こしてきた地形であれば今後も起こり得る。そういった情報をハザードマップなどで確認することはある程度できる。こういった情報の重要性を改めて感じさせた事例だ」と続けた。

 土石流については、細かい石や濁った水などが出るなどの“予兆”について聞くことがある。しかし、牛山氏は「土砂災害の前兆現象として、石がゴロゴロ流れる、川の水が濁るなどの話もある。それらは嘘ではないが、頼ってしまうのは良くない。土石流の速度は非常に早く。今回の土石流もおよそ時速40キロくらい。前兆現象を確認してから自分のところに土石流が到着するのは、条件によっても異なるが、おそらく秒単位しか残されていない。仮に前兆のようなものを確認したら、一刻を争って少しでも高いところに(避難すべき)。前兆現象なんかに頼ってはいけない」と述べ、前兆現象に頼ることの危険性についても指摘しすると、様々な気象情報に注視し、危険な場所はどこなのか。それらをあらかじめ確認しておくことが何よりも重要とも語った。

熱海・土石流災害「想定外ではない。起こり得る場所で発生した」専門家が指摘 「前兆現象に頼るのは危険。地質より地形に注目を」

 そのうえで「こうした危険箇所は特殊ではなく、全国に多数危険な場所はある。今回は土砂についてだが、当然洪水の危険性もある。雨が降れば洪水と土砂災害はセット。「自分がいるところは何となく大丈夫」と思い込むのではなく、ハザードマップなどで自分がいるところの危険性を確認することがまず重要。そこから先に何をするのかは人それぞれ。仕事先も含めた身の回り、自分の生活圏を改めて確認しておくといい」と話し、自然災害と向き合う第一歩について述べた。

 また今回の災害発生時、自治体の避難勧告や指示のタイミングに関することも言われているが、牛山氏の認識は「かなり難しかった」である。その理由については「気象庁が市町村単位で土砂災害警戒情報を出す。今年から“キキクル”という愛称がついた危険度分布もある。これを見ると、どの辺が土砂災害の危険性が高まっているかがわかる。今回も土砂災害警戒情報が出て、キキクルの色も濃くなっていた。『避難すればよかった』と後からは言えるが、今回は長くダラダラ降る雨だった。実質、丸2日くらい危険性が高い状態が続いていた。瞬間的に強く降ることが予想されていれば、さらに注意を強くとなったかもしれないが、そういう降り方ではなかった。映像を見ると何かできたのでは? と思うが、実際できることがあったかと言えば、かなり難しかった。今回の災害は、直前にどう対応するか。行政はもちろん、私たち住民にとっても非常に難しい状況だった」と語った。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)

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