「“自公で過半数”を実現できなかったことは謙虚に受け止めさせていただきたい」。自民党が第一党に返り咲いた東京都議会選挙の投開票から一夜明けた5日朝、記者団にそう述べた菅総理。自民党は最多の33議席、公明党も全勝し23議席を獲得したものの、目標としていた自公での過半数は確保できず、一方で苦戦が予想されていた都民ファーストの会は議席を減らしてはいるものの、自民党に次ぐ31議席を獲得している。

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 5日夜の『ABEMA Prime』に出演した元産経新聞政治部長で政治ジャーナリストの石橋文登氏は「メディアには告示前の“極秘”の各種世論調査の数字が入っていたが、“自民党55議席”とか“都民ファースト1桁”といった数字だったので、“それはないだろう”と言われていた。一つには緊急事態宣言が解除された後、じわじわと新型コロナウイルスの新規感染者数が増えていたこと。もう一つは、ワクチン接種がなかなか進まない。この2つによって、内閣支持率、与党支持率が下がって野党支持率、さらになぜか小池さんの支持率も上がっていた。

 告示後すぐの頃は“小池さんが都民ファーストを全面的に応援したら、みんな討ち死にして知事を辞めなきゃいけなくなるんじゃないの”という状況もあったが、なぜか体調を壊されて入院された。そして追い風になってきたら、ゴホンゴホンと言いながら出てきた。不思議だなと思う(笑)。過労というのは嘘だと言う気はないが、全面的に都民ファを応援し、前回のように自民党との全面戦争をすれば、後で非常に辛い立場に追い込まれると考えたと思うし、むしろ自民党とは手打ちにして、都議会で与党になってくれないと政権を回せないという危機感はあったと思う。

 そして五輪だ。立憲民主党、共産党が主張していた開催中止と、与党が主張していた“やる”という二つの軸があったが、告示後に“開催はする。ただ、観客を入れるか、無観客にするか”という話になると、真ん中にいた都民ファーストが突然スーッと上がってきた。いろんな意味で小池さんはツイていたと思う。そもそも非常に機を見るに敏な人だが、コロナでは政府・与党と共謀共同正犯みたいなところがあったのに、五輪の中止論が収まってきて、都民ファーストに非常に勢いが出てきた。流れが変わり、運を引き寄せたことも大きいと思う。本人もそこまでは読んでなかったと思うが」と分析する。

 今後の国政を占うともいわれる都議選。石橋氏は秋の衆院選について、次のような見方を示す。

 「都民ファーストに、かつての希望の党のような形で国政に打って出るほどの勢いはない。一方で、安倍政権の時に比べて自民党には消極的支持も多く、崩れやすくなっている。安倍さんはある意味で個性的な人で、左の1割を挑発して彼らに罵倒させることで、右の3割を岩のようにガッチリ固める。これが“安倍マジック”だ。しかし菅さんはそこまでやらないので、どうも緩くなってきている。

 今回の都議選でも、出口調査の結果などを見ると自民党から都民ファーストに流れた票がずいぶん多い。加えて、立憲民主党と共産党の選挙協力がかなりうまくいっている。例えば菅直人さんの地盤である武蔵野市(1人区)では共産党が候補を下ろすことで立憲民主党の候補が取った。これが今後かなり進めば、自民党は次の衆院選では思ったほど勝てない可能性がある。

 こういう“弱含み”なところに、小池さんが出てくると思う。例えば東京10区(練馬区と豊島区)。隣の9区では、議員辞職した菅原一秀さんが公民権停止になったので、空いちゃった。これはチャンスだということで出てくれば、無所属でも通るだろう。自民と公明と都民ファーストの“三つ巴”の調整が必要な都政は面倒臭いし、“最後の勝負”として出てくるのではないか。ただし、自民党から出ると可能性ないだろう。二階さんとの関係はあるものの、なんと言っても菅さんとの関係が悪いし、自民から出すという判断はしないはずだ。さらに言えば、実は二階さんよりも力がある安倍さんも絶対に“ノー”だ」。

 ネットの選挙特番に出演していたカンニング竹山は「これが結果で、民意だ。それ以上のものはない。ただ、よく“雨も降っていたし、投票したのは高齢の人ばかりだから”という見方もあるが、僕はネットを見て興味を持って投票に行った30~50代も意外と増えてきているんじゃないかと思う。今後はここから票を獲るにはどうするのか、そこをもっと各党ともにやらなければならないんじゃないか」とコメント。

 TOKYO MXの投開票特番に出演していたジャーナリストの堀潤氏は「当選した候補者たちに重点的に聞いたのは、掲げた公約をどうやって達成するのかということだった。例えば自民党は都民税を20%減税、都民ファーストの場合は給付金を訴えたが、自公は過半数が取れず、都ファは議席を減らした。共産党もオリンピック中止を訴えていたが、IOC対して具体的にどう働きかけるのか。どれも“こうやる”という話が出てこない。そんなダメな選挙でいいのかと思う。

 “小池さんが終盤出てきたことで辛くも議席を伸ばした、さすが”などと言っている場合ではないし、そういう“小池劇場”の中に我々は留まってはいけない。本来の政治を取り戻すためにも、公約をどうするのか、淡々と詰めていかなければならない。共産の選挙協力についても、立憲の枝野さんは政権奪取後に共産を閣内に入れるのかどうか、そういうことをきちんと説明して選挙戦を戦わなければ不誠実ではないか。いつも“後のことは後のことで”と置きっぱなし。それで民主党政権の二の舞になってしまうのは、支持者にとっても嫌だと思う」と苦言を呈した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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