イギリスでは、1月から続いていたロックダウンが今月19日から、ほぼ全面的に解除されることになった。しかし、感染者は1日2万人台と再び急増している。

【映像】英・ロンドンの街の様子

 なぜ今規制を解除するのか。ANNロンドン支局の山上暢記者が現地から伝える。

 感染拡大中の規制解除について、山上記者は死者の数が少ないことをあげ、「7日の新規感染者数は3万2548人で、2万人超えは10日連続となった。ただ、7日の死者の数は33人で、それまでは1桁台か多くても20人台が続いていた。やはりワクチン接種の効果が表れはじめて、感染する人が増えても重症化、死亡するリスクが抑えられてきている」と説明。ジョンソン首相は「コロナと共生する。ともに生きていく」と明言し、山上記者は「新たなフェーズに入ったと言えると思う」との見方を示す。

 また、経済界からのプレッシャーもあるという。もともと、このロックダウンは先月20日に解除されるはずだったが、インド由来の「デルタ型」のまん延で4週間延長された。そのタイミングでナイトクラブなどの営業も再開されるはずだったが、感染第1波の時から1年4カ月にもわたって営業ができていないこともあり、関係者やオーナーから不満の声があがっていた。

 とはいえ、先月15日時点の感染者数は7673人で、今はその時の4倍近くになっている。感染者数が増えている背景として山上記者は「インド由来のデルタ株、感染の中心となっているのは若い人たちで、最新の統計を調べたところ大体60%が20代以下。20代以下へのワクチン接種が始まったのは先月18日からだった。まだ20代以下へのワクチン接種が進み始めた段階で、それらの世代への効果が見られるのはもう少ししてからになる。もう1つが検査体制で、実はイギリスでは、イギリス由来のアルファ型が見つかって以来、ホットスポットとなった地域の人は全員PCRを受ける体制になっていて、インド由来のデルタ型に対してもそういう体制をとっている。必然的に検査数が多くなっていて、今月5日のPCR検査の数は約32万件。同じ日の日本は約5万8000件で、この違いからもこれだけの数は出るのかなと思う」との見方を示した。

 イギリスのワクチン接種率は、対象となっている18歳以上のうち、1回目を終えているのが86.4%、2回目を終えた人が64.3%で、成人の3人に2人は接種を終えている。さらに、3回目の“ブースター接種”も調整が進んでいるという。「早ければ9月から始める方向で調整が進んでいる。対象は基本的に50代以上の方、50代以下は基礎疾患があったりして重症化リスクが高い人。というのも、冬になるとインフルエンザの季節になり、新型コロナと2つ共存してしまうと病床のひっ迫など医療崩壊への懸念も高まってくる。去年は冬の間、厳しいロックダウンを行っていたこともあってインフルエンザの感染まん延は防げたが、今年はロックダウンを解除して経済や街が日常に戻っていくと感染症へのリスクは高まってくるので、病床や医療崩壊を未然に防ごうとしている」。

 現在ヨーロッパでは、サッカー欧州選手権(EURO)が開催されており、ロンドンのウェンブリー・スタジアムでは、準決勝は最大収容人数9万人の75%まで観客を入れ、6万人以上が観戦したという。

 会場の感染対策はどうなっているのか。山上記者は「日本の人は信じられないという感想が近いかもしれないが、感染対策はとられている。陰性証明もしくは2回ワクチン接種を完了した証明を見せないと入場できない。また、ウィンブルドン選手権では、試合を見る時にマスクを着用しなくていいが、スタジアムに入る時はマスクをつけることになっている。日本からすると緩いという感染対策かもしれないが、陰性や2回のワクチン接種をしっかり証明するということがとられている」と説明。一方で、「人による部分も多く、しっかりチェックをして見る人もいれば、QRコードやチケットの紙だけを見る人もいるようで、いわゆるザルのような状況も見えている。安全安心に開催するためには、そういったチェックも怠らないことが運営側として必要だと思う」と懸念を示した。

(ABEMA/『倍速ニュース』より)

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