6月14日からブラジルで開幕した「コパ・アメリカ2021」は準決勝までの全試合を終え、残すは決勝のみとなった。7月11日の日本時間9時にキックオフされる決勝のカードはアルゼンチンvsブラジル。南米の2強が順当に勝ち上がった。
【視聴する】7月11日8時から放送 コパ・アメリカ2021決勝「アルゼンチンvsブラジル」
アルゼンチンは2大会ぶりの決勝であり、ここ7大会で5度目の決勝進出となった。メッシはアルゼンチン代表としての初タイトル、コパ・アメリカでは1993年以来の優勝を目指す。
今大会では、初戦のチリ戦こそ引き分けスタートとなったが、その後3連勝しグループステージを3勝1分で危なげなく1位突破を決めた。
準々決勝ではエクアドルを相手に圧倒的な強さを見せつけ3−0で快勝。続く準決勝のコロンビア戦では、7分に抜け出したメッシからの折り返しをラウタロ・ディアスが決めて先制するも、61分にコロンビアのルイス・ディアスに同点ゴールを奪われてしまい、勝負の行方はPK戦へ。アルゼンチンGKのエミリアーノ・マルティネスがPKを3本ストップする活躍を見せ、決勝へと駒を進めた。
アルゼンチンの攻撃を牽引するメッシは、グループリーグ最終戦での圧巻の2ゴール1アシストの活躍を含む大会通算4得点を挙げて、現在暫定ながら大会得点王となっている。
とは言え、メッシが欲しいのは個人タイトルではなくチームとしてのタイトルだ。今大会への強い意気込みが伺える象徴的なシーンが、準決勝のPK戦の際に見られた。
普段は冷静沈着なメッシだが、味方選手がPKを決めるたびに大きなガッツポーズで喜んでいた。コロンビアの選手がPKを外した後は、「今すぐ踊れ! 踊れよ、さあ!」と挑発して副審に止められる場面も。どうしても南米王者になりたいという気持ちがあふれてしまったのだろう。
一方、連覇を狙うネイマール率いるブラジルは、2大会連続の決勝進出を果たした。自国開催で記念すべきコパ・アメリカ通算10回目の優勝を目指す。グループステージ3連勝で1試合を残してグループステージ突破を決め、最終戦は主力選手を温存。この試合こそ引き分けたが、3勝1分で1位突破を決めた。
準々決勝のチリ戦は、先制点直後にガブリエル・ジェズスを一発退場で欠くアクシデントに見舞われたが、この1点を守りきり1-0で勝利した。続く準決勝は、グループステージでも対戦したペルーとの再戦となった。
ペルー戦でネイマールが圧巻のプレーを見せる。ペナルティーエリアに侵入したネイマールはディフェンス3人に囲まれながらも、巧みなボールコントロールで翻弄し、最後は1人の股を抜いて突破する。そこからの折り返しのパスをルーカス・パケタが合わせてゴールを決めて、1-0で勝利し決勝進出を決めた。
準決勝ではお互いに貴重なゴールをアシストした、ブラジルのネイマールとアルゼンチンのメッシ。
バルセロナで共にプレーしていた南米の2大スターは、今もなお“相思相愛”の関係だ。
米スポーツチャンネル『ESPN』で、メッシのパリ・サンジェルマン加入について問われたネイマールは、「僕が何より望むのは、またメッシとプレーすることだ。またピッチで彼を楽しませられることだよ」と答えている。一方のメッシもネイマールのバルサ復帰報道があった際に「もちろん一緒にプレーできれば嬉しいけど、バルサに連れ戻すには、彼はあまりに高すぎるよ……」とコメント。
2017年にネイマールがパリ・サンジェルマンに移籍したことにより、チームメートではなくなった今もなお、互いに一緒にプレーすることを望んでいる。
2人の初対決は2011年12月に日本で開催されたFIFAクラブワールドカップ決勝。当時、ブラジルのサントスに所属していたネイマールだったが、決勝ではメッシのいるバルセロナに0-4で惨敗。試合後、メッシから「早くヨーロッパに来たほうがいい」と言われたことでバルセロナに移籍し、欧州に戦いの場を移した。
2人の初対戦から10年という月日が流れた今。南米だけでなく、世界のサッカー界をリードしてきた相思相愛の2人が、「コパ・アメリカ2021」決勝の舞台であいまみえる。どちらが母国を優勝に導くのか。意地とプライドがぶつかる90分が始まる。
文・渡邉知晃