「長期的に見れば敗北か」東京五輪、開催も“無観客” 問われる菅政権の責任
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 1都3県で「無観客」開催が決まった東京五輪。サッカー、マラソン、競歩が行われる北海道でも、観客は収容人数の50%以下(もしくは1万人以内)で開催が検討されている。また、北海道で行われるサッカー、福島の野球・ソフトボールも急きょ無観客に。宮城・茨城で行われるサッカー、静岡の自転車競技は、基準内の有観客かつ学校連携観戦のみ実施の予定だという。

【映像】「ワクチンも含めて五輪以外すべて後回し」問われる菅政権の責任

【1都3県で無観客開催が決定した主な種目】

東京・・・開会式、閉会式、陸上、水泳、柔道、バドミントン、など

神奈川・・・セーリング、サッカー、野球、ソフトボール

千葉・・・テコンドー、レスリング、フェンシング、サーフィン

埼玉・・・バスケットボール、ゴルフ、サッカー

 8日、組織委員会の橋本会長は「感染状況が日々変わっていき、国、東京都の感染状況を見ながらなかなか決められなかった」とコメント。また、東京都の小池知事は同日の記者会見で「国の非常に強い危機意識を都としても共有し、人流の抑制、基本的な感染防止対策の徹底について、より実効性のある、一層強力な措置を講じていく」と述べ、「都民の命・健康を守る3つの柱」を徹底するとした。

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 この状況について、来月18日に『ニュースの未来』(光文社新書)を上梓するノンフィクションライターの石戸諭氏は「サッカーで例えるなら『1対0で菅総理の勝利』だ」と見解を示す。

「今回、菅総理は『なんとしても東京五輪を開催したい』の“一点”だけは貫いた。開催か中止かという議論が専門家も含めて開催するのならばどのような条件で、というフレームに乗せていき、議論を封じるかのように緊急事態宣言まで出して、開催するという意味での勝利だ。この事実を重く受け止める必要がある。有観客ならば、菅総理の完勝だったが、短期的な目標では勝利した。『東京で五輪を開催するなら無観客』とした専門家の提言も踏まえている」(石戸諭氏・以下同)

「長期的に見れば敗北か」東京五輪、開催も“無観客” 問われる菅政権の責任
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 その上で、石戸氏は東京五輪と同じように1年延期されたサッカーの2020年欧州選手権に言及。現在ロンドンでは、有観客で大会が開催されている。

「現状、東京都では新型コロナのワクチン接種率がまだまだ低い。今、サッカーの2020年欧州選手権(ユーロ2020)がロンドンで開催されているが、かつてのように有観客かつマスクを外し、大声をあげながら観戦している。それがいいのかどうかはまた別の議論になるが、東京五輪は有観客で開催できなかった。その大きな理由はワクチン接種が遅れているからだ。今後、菅政権の責任が問われると思う」

 8日の会見で「東京五輪はテレビを通じて世界で約40億人が視聴する」と試算を示し、「新型コロナウイルスという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が一つになれること、そして人類の努力と叡智によって難局を乗り越えていけることを東京から発信したい」と述べた菅総理。菅総理の言動に石戸氏は「五輪開催以外のことがすべて後回しになっている」と指摘する。

「ワクチン接種率をこれからどのように上げていくのか。短期集中のはずが2ヶ月もだらだらと続けた3度目の緊急事態宣言が明けてみんな喜んでいたところで、また緊急事態宣言が出た。酒類などを提供する業者は苦しいと思う。しかも、今回の緊急事態宣言は“予防”的に出されたものだ。五輪の開催に関しては『何がなんでもやるんだ』と菅総理の目的は分かったが、ワクチンも含めて、他のことがすべて後回しになっている。短期的には菅政権が勝利していても、長期的には敗北という道もある」

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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