新型コロナウイルス感染拡大防止のため、東京都が飲食店に支給する協力金100万円をだまし取ったとして、フィリピンパブを経営していた男が逮捕された。
東京・足立区の江連晃祥容疑者(49)は去年7月、都が1回目の緊急事態宣言で休業要請に応じた飲食店に向けて支給した協力金100万円をだまし取った疑いが持たれている。警視庁によると、江連容疑者は知人の男性に2つのフィリピンパブの営業許可の名義を不正に貸し出す一方で、2店舗分の協力金の申請もしていたという。店は感染対策をせずに営業を続けており、江連容疑者は「借金返済や生活費で協力金がどうしても必要だった」などと供述している。
今回の事件を取材したテレビ朝日警視庁クラブ石塚翔記者は「この店に警察が目をつけていたというよりも、繁華街での悪質な客引きの摘発がきっかけだった」と話す。
「警視庁が去年6月、足立区竹塚エリア禁止されている“つきまとい”などの悪質な客引き行為をしたとして男を現行犯逮捕した。この男が声をかけた男性客をどこの店に連れて行っていたのかを調べたところ、江連容疑者の店に行き当たったようだ。さらに警視庁が店の経営実態を調べたところ、都が休業要請をしている期間に協力金を申請しているにも関わらず店を営業していた証拠を掴んだそうだ」。
警視庁管内での、新型コロナウイルスにまつわる詐欺での立件は今回が3件目だったという。
「1件目は時短要請に応じたふりをして朝まで営業を続けていた豊島区のバー、2件目は休業要請に応じたふりをして営業をしていた新宿区歌舞伎町のキャバクラ、そして今回が3件目だ。これまでに不正請求をしたとして摘発されたのは深夜営業の店だが、警視庁としてはそれ以外にも同様の申請が行われている可能性があると見ていて、ある幹部は“素直に要請に応じて苦労している飲食店をあざ笑うかのような行為。こうした経営者の摘発に力を入れたい”と話していた。
ただ、繁華街にある飲食店は数が非常に多いので、どの店が休業要請に協力しているかを把握するのは非常に難しく、その意味では今回の摘発は偶然だったといえる。私が取材をしている中でも、休業していると言って給付金を申請しながらも、鍵をかけて営業している飲食店がいくつもあるという話を聞いた。馴染みの客と携帯番号を交換して連絡を取り合い、入店する時に鍵を開けてもらう、といったルールで営業している店もあるようだ。行政としても繁華街を回ってチェックをしてはいるが、そうした実態はなかなか掴みにくく、実態を知った人からの情報通報に頼ることが多いようだ。
自粛要請の期間が長くなる中、“悪いことをしている”と自覚しながらも止むを得ず営業を再開している店も多いと思う。しかし、“正直者がバカを見る“、というような社会であってはいけないと思う」。(ABEMA NEWS)