『酒癖50』小出恵介が無意識のうちに小林勇貴監督に与えたインスピレーション きっかけは”もの凄く怖い”ZOOM背景

 水と油の関係性かと思いきや、一寸の隙もない絶妙なタッグだった。鈴木おさむ脚本によるABEMAオリジナルの連続ドラマ『酒癖50』(7月15日木曜夜10時放送スタート)は、小出恵介連続ドラマ4年ぶりの復帰作として話題だが、アウトロー系作品で才気を放つ若手監督・小林勇貴が演出を務めるという点も大きなトピックスだ。地元・静岡時代は『ROOKIES』の集団幻覚にあったという小林監督と、そんな小林監督を「誰よりも一番エネルギッシュ」と評する小出の対談が実現。自粛期間中に小林監督がドはまりした映画『暴動島根刑務所』(1975)の話題が飛び出すなど、二人の息の合ったコンビぶりにも注目だ。

【予告映像】『酒癖50』

小林勇貴監督、初対面の小出恵介から受けたインスピレーション「酒野の事務所のイメージにピッタリ!」

『酒癖50』小出恵介が無意識のうちに小林勇貴監督に与えたインスピレーション きっかけは”もの凄く怖い”ZOOM背景

 『酒癖50』は、酒によってあぶり出される人間の弱さや愚かさを描くオムニバスドラマ。酒の問題を抱える参加者を解決に導いていこうとする謎多き主人公・酒野を小出が演じる。浅香航大、前野朋哉、犬飼貴丈、村上純(しずる)ら各話に登場するメインキャラクターたちが、酒を原因とした修羅地獄に落ちていく。

 地元・静岡県富士宮市に住む不良たちの地獄道をパワフルに活写した自主映画『孤高の遠吠』以降、人間の愚かな業を好んで取り上げてきた小林監督。今回のドラマは、まさにうってつけの企画といえる。「お酒がテーマであると聞いて、私は『やったぞ!ドラッグムービーが作れるぞ!』と大興奮。プロデューサーからは『違うよ!』とクギを打たれましたが、お酒はあくまでキーワード。お酒自体の怖さではなく、お酒を通して炙り出される人間の怖さや愚かさを描くことができれば面白くなると確信しました」と水を得た魚状態に。

 しかも主演は『ROOKIES』『JIN-仁-』などで一世を風靡した小出恵介だ。「地元・静岡のヤンキー連中は、野球もやっていないのに全員が自分自身を『ROOKIES』だと思い込んでいた時代がありました。僕もその『ROOKIES』集団幻覚の中にいたボンクラ。そんな自分が小出さんと一緒に仕事ができるなんて…。人生の奇妙さを感じました」とやる気は一段と高まった。

『酒癖50』小出恵介が無意識のうちに小林勇貴監督に与えたインスピレーション きっかけは”もの凄く怖い”ZOOM背景

 ともに初顔合わせ。小出は事前リサーチのために『全員死刑』を視聴したというが「小林監督ってどんな人なんだ!?とかなりドキドキした」と作風ゆえに構えるところもあった。それは小林監督も同じ。初対面はご時世ゆえにオンラインで行われたが「小出さんのZOOMの背景画像が収容所のような設定になっていて、もの凄く怖かった」と予想外の画像設定に怯えていたのだ。

 小出曰くその背景は「NYの演技スクールでたまたま使用していた、1920年代の田舎の病室の画像。モノクロだったので確かに異様だった」と笑うが、小林監督は「病室の画像だからなのか、背景には沢山のベッドが置いてあり、奥行きも広く見えた。その前で笑顔の小出恵介さん。誰だってビビりますよね!?」と縮み上がってしまったという。

 しかしその背景画像が『酒癖50』に多大なるインスピレーションを与えることになる。小出が「小林監督はその背景にとても興味を持たれて、『いいですね!酒野の事務所のイメージにピッタリです!』と仰っていました」と振り返ると、小林監督も「背景画像はシンメトリーで、そんな空間の中に小出さん扮する酒野が佇み、淡々とお酒の問題点について説明していたら怖いだろうし、視聴者も引き込まれるはず。小出さんにはファーストコンタクトから色々なインパクトをいただきました」と驚愕から一転、上々の滑り出しと相成った。

小林勇貴監督のパッションが引き出した小出恵介の新たな顔

『酒癖50』小出恵介が無意識のうちに小林勇貴監督に与えたインスピレーション きっかけは”もの凄く怖い”ZOOM背景

 作品の方向性として小林監督がイメージしたのは、イギリス製作の風刺的なSFアンソロジードラマ『ブラック・ミラー』。しかし撮影現場ではイマジネーションが飛躍。小出は「小林監督は、僕に聞こえるか聞こえないかくらいの声量でコアな映画のワードをポロッと言う。ある時に小林監督が『これはセイジュンだ…』とつぶやいていたので、僕が『鈴木清順監督のことですか?』と聞き返すと、何故か無言でニヤリ。その表情を見た時に、だいぶ作品に入り込んでいるな、だいぶ高ぶっているなと思った。監督からは一ミリの不安も感じず、誰よりもエネルギッシュ。常にキラキラした瞳と不敵な笑みを浮かべていました」と撮影現場の躍動感を思い出す。

 そのパッションは現場全体を包んでいたようで、小林監督も「カメラマンの方が『この構図はまさにターミネーター2のサラ・コナーが捕まっている時のようだ!』と急に言い出したりして。それに対して僕も『なるほど!』と感激」と活気あふれる撮影となった。

 モノ作りの喜びと創意工夫に溢れた時間。小出は「いい現象というか、僕自身も小林監督をもっとノセていきたいと思っていました。小林監督はビジョンが明確で、そのビジョンを共有したいと思わせてくれる頼もしさがありました」と全幅の信頼を寄せる。小林監督も4年ぶりの復帰という小出に、ブランクもサビも感じず「前半の酒野はストーリーテラーとして物語を動かしていく存在ですが、黒幕ではないわけです。人の人生の分岐点に偶然居合わせた男である一方で、物語を大きく動かしていく存在でもある。その絶妙な立ち位置を小出さんは見事に表現してくれました。小出さんの存在感と説得力は一見の価値があります」と賞嘆する。

『酒癖50』小出恵介が無意識のうちに小林勇貴監督に与えたインスピレーション きっかけは”もの凄く怖い”ZOOM背景

 これまでの小出には等身大の青年や好青年役のイメージが強かった。『酒癖50』ではクールかつダーティーな雰囲気を身にまとい、ときに凄まじい感情の発露もある。自粛期間中に松方弘樹主演の映画『暴動島根刑務所』に感銘を受けたという小林監督は「あるシーンの撮影中に、小出さんが現場を和ませようと『うおー!』と檻を激しく揺さぶり暴れるような仕草をしたことがありました。スタッフたちは笑ったのですが、私だけ小出さんの感情の発露に夢中になってしまいました」と小出のふとした瞬間に何か繋がるものを感じたという。小出も「小林監督からは潜在的に禍々しいものを求める渇望を感じます。その野望を開放する機会がもしあれば、面白いものが生れる気がする」と再タッグの機会に期待する。初対面の瞬間が「収容所のような設定」というのも暗示的。『暴動島根刑務所』を彷彿とさせる令和プリズンものがこの二人の座組で生まれるのか!?まずはその萌芽となりえる『酒癖50』を楽しみたい。

『酒癖50』小出恵介が無意識のうちに小林勇貴監督に与えたインスピレーション きっかけは”もの凄く怖い”ZOOM背景
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『酒癖50』小出恵介が無意識のうちに小林勇貴監督に与えたインスピレーション きっかけは”もの凄く怖い”ZOOM背景
『酒癖50』小出恵介が無意識のうちに小林勇貴監督に与えたインスピレーション きっかけは”もの凄く怖い”ZOOM背景

取材・文:石井隼人

写真:You Ishii

【特報第1弾】新ドラマ「酒癖50」7/15スタート
【特報第1弾】新ドラマ「酒癖50」7/15スタート
酒癖50 - 本編 (ドラマ) | 無料動画・見逃し配信を見るなら | ABEMA
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