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 時代劇オタクの高校3年生・ハダシが、仲間を巻き込み時代劇制作に奮闘するSF青春映画『サマーフィルムにのって』が8月6日に全国公開される。元乃木坂46伊藤万理華がハダシ役で主演を務め、金子大地は未来からやってきた謎の青年・太郎を演じる。

 本作で長編デビューを果たす監督の松本壮史は、ドラマ「ガールはフレンド」に続き、再び伊藤と組んだ。脚本は「ガールはフレンド」「腐女子、うっかりゲイに告る。」も手がけた劇団ロロ主宰・三浦直之が、松本とともに担当した。ABEMATIMESでは、映画公開を記念し、伊藤と金子にインタビュー。本作では何かに熱中する学生たちの眩しい姿が描かれているが、2人に“青春時代に何かに没頭した経験”について聞くと、それぞれの個性的な部分が浮かび上がってきた。

伊藤万理華、歴史オタクのハダシとは「共通点が多かった」

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――本作のオファーが届いた時の気持ちを教えてください。

伊藤:私は「やっと松本(壮史)さんと三浦(直之)さんが映画を撮る!」という気持ちでした。というのも、お二人が作ったドラマに一度出演したことがあるんですけど、その時に「映画を撮りたい」というお話を聞いていたんです。自分が主演というのは不安でしたけど、それよりも最初はすごくうれしい!という気持ちが勝りました。

金子:僕も三浦さんの作品に出演したことがあって、三浦さんが書く作品なら絶対に面白いと思っていたので、ものすごく楽しみでした。

――役作りで苦労したところはありましたか?

金子:僕が演じた凛太郎は少し変わった役なので…(笑)。でも何というか、どこかで人間味が出ればいいなとは思っていました。特に“未来人だからこうしよう”というのを、具体的に考えずに演じました。

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――伊藤さんは時代劇の話になるとつい熱くなってしまうハダシ役でした。多趣味で有名ですが伊藤さんですが、好きなものを熱く語ってしまう気持ちは理解出来たのではないでしょうか?

伊藤:すごく気持ちがわかります。ハダシは「座頭市」だったり「勝新太郎」のことになると、話が止まらなくなるんですけど、私もお洋服だったり、絵だったり、好きなものが多いタイプ。映画ももちろんですが多趣味です。その上、収集癖もすごいから、劇中に登場するハダシの秘密基地の「ワゴン車」の雰囲気とか“わかるな~”と思っていました。自分の好きなもので周りを埋め尽くしたいタイプなので、そういう意味でハダシとは共通点が多かったから、あまり役作りというのは意識していませんでした。

――金子さんは何かについて熱く語ってしまうことはありますか?

金子:僕はまったくないんです。なので、この作品に登場する“何かに熱中している高校生”はすごくイケてると感じました。羨ましいです。

学生時代はバスケをずっとやっていたので、それくらいですね。あと、今はコロナの影響でなかなか行けないですが、サウナが好きです。

――サウナはどういったところが好きなんですか?

金子:ただじっとしているだけで、汗が出てきて、何も考えなくていい空間が気持ち良いんです。頭を空っぽに出来るというか。友達とサウナに行くのが好きですね。

――伊藤さんが今、熱中していることは?

伊藤:ずっと好きなのはやっぱりお洋服です。“これを着たい”という思いももちろんあるけれど、その服の背景を調べたり、デザイナーさんのことを調べたり、そういうのを続けているので、どんどん知識が増えていきます。それが面白いんです。そのほかにも、絵を描くのが好きだし、漫画を読むのも好きだし、映画鑑賞だったり、石も好き。

金子:石?

伊藤:うん、石。一つのことにハマると、その後しばらく抜け出せないんです。

金子大地、武士の姿にプレッシャー

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――劇中、お2人の殺陣(たて)シーンはすごく迫力がありましたけど、稽古期間はどのくらいでしたか?

金子:3日間くらい?

伊藤:えっ、もっとしたよ。私だけ(笑)? 正確には覚えていないけど、本読みの後にすぐ稽古に取り掛かりました。

金子:あー、してたね!

伊藤:結構、稽古が大変で手にマメが出来ました。ただ、相手が男性なので、それに負けない様にしないと説得力が生まれないので、そこは悩みました。手加減されても、それはそれでめっちゃ悔しいから、なんとか画になるように稽古に励んでいました。

――実際に伊藤さんとの本番のシーンはいかがでしたか?

金子:ものすごく迫力がありました。本気で来てくれるので、僕もすごくやりやすかったです。

伊藤:良かった。

――金子さんは劇中で武士の格好をするシーンがありましたが、あの時のお気持ちは?

金子:あんまり自分的にはしっくりこなかったんですよ。

――そうなんですか? すごく似合っていましたけど。

金子:いやいや、全然です。「もっと頑張らないと」と思いました。やっぱり勝新さんとか、すごくかっこいいですよね。ハダシは勝新が好きで、そんなハダシが凛太郎を主演に選ぶので、そういう意味でもプレッシャーはありました。

伊藤:えー? めちゃくちゃ格好良かったですけどね。私はハダシとして凛太郎を見たときに、「今、映画を撮りたい!」とめっちゃ思っていました。

金子:本当に…?(笑)

伊藤:本当に思ってた。それくらい凛太郎の姿は理想的だったし、存在感がありました。

金子:そう言っていただけるとうれしいです。

伊藤万理華「“好きになることは無駄にはならない”ということを伝えたい」

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――同世代の共演者が多い撮影現場だったと思いますが、どんな雰囲気でしたか?

金子:明るかったですね。

伊藤:うん、明るかった。ダディボーイ役の板橋駿谷さんがムードメーカーになってくださって、そこから連鎖するようにみんなが仲良くなれた感じはあります。感謝しかないですね。

――現場の雰囲気を上手くリードしてくれたというか。

伊藤:最初の本読みの段階から“みんな笑ってもいいんだよ”という雰囲気を作り上げてくれたんです。

金子:良い意味でずっとふざけてた人でした(笑)。

伊藤:でもそれが良かった。撮影現場を和ませてくれましたね。

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――そんな撮影現場の中で、特に印象に残っているエピソードは?

伊藤:板橋さんと花鈴役のマッピー(甲田まひる)の組み合わせが面白くて、ずっと笑っていました。なんていうか、この映画以外では混じり合わないであろう2人が、制服姿で掛け合いしてる姿はなんともいえない空気感で。板橋さんがマッピーの発言全てに丁寧にツッコミをしていたんですけど、優しいから全員に対してもそういう対応で。そんな姿を見ていて「疲れないかな~?」と思っていました(笑)。

金子:とにかく楽しかったんです。ここまでがっつり同年代の人と芝居して、こんなに短い期間で仲良くなることなんてなかなかなかったので、良かったです。昨日も、駿谷さんとテレビ電話したよ。

伊藤:仲良し…!(笑)

金子:未だに、仲良しなんだよね。

――この現場で金子さんと板橋さんの距離が縮まったということですか?

金子:そうですね。外で飲んだりするのは今はなかなか難しいので、テレビ電話をしています。しょうもない話しかしないんですけどね。現場でもずっと駿谷さんと話ししていました。

伊藤:ずっと喋ってて、ずっとうるさいんですよ(笑)。でもそのお陰で明るい雰囲気になってました。私は駒田役の小日向星一くんが今回3度目の共演なんですけど、同い年で既に共演してたからこその安心感もあって、よく喋っていました。

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――一つの作品をみんなで作り上げるという意味で、乃木坂46で活動していた伊藤さんは共感出来る部分があったのではないかと思います。

伊藤:そうですね。

――当時を思い出す様なことはありましたか?

伊藤:それはなかったです。一方で私は乃木坂時代から個人で好きなものを追い続けていたり、自分の中にある“やりたいこと”を、実現するためにクリエイターさんに声を掛けて個展を開催していたりしていたので、ハダシの熱量みたいなものにはすごく共感しました。

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――では最後に作品を楽しみにしている人にメッセージをお願いします。

金子:学生時代から好きなことに熱中している人ってすごく素敵だなと思います。この作品では、学校の中であまり目立っていないような生徒にフォーカスがあたっていると思うんです。でも、それってすごく素晴らしいことだと思いますし、ぜひ、そういう人に観てもらいたいです。そんな人の背中を押すような作品にこの映画がなればいいなと思いますね。

伊藤:劇中に出てくるキャラクターの、初期衝動が詰まった作品になっていると思います。みんなで集まって作る初めての作品って、多少粗かったとしてもやっぱり2回目では出せないようなエネルギーがあると思う。それってすごく尊いものだし、自分もこの作品をみんなで集まって作っていく作業は、もう2度と味わえないと思いながら演じていました。そういう気持ちを、私より上の世代の人に思い出して欲しいなって思います。それと、同世代や私より下の世代の方には、“好きになることは無駄にはならない”ということを伝えたいです。熱中すればするほど、それが自分の価値・財産になっていくんだということをこの映画を通じて感じてもらえたらうれしいです。

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取材・文:中山洋平

撮影:藤木裕之

配給:ハピネットファントム・スタジオ

(c)2021「サマーフィルムにのって」製作委員会

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