リラックスした空間で、ストレスを感じないテレワークを。レトロな古民家が多く残る鎌倉で、官民共同の新しい取り組みが始まった。
土間に囲炉裏があるこの住宅は、もともと陶芸家が使っていたという住宅。実はここ、リモートワークなどで使用できるコワーキングスペースとして開放されている。
アールディレクション代表取締役の岩浜サラさんは「都内のストレスフルな環境にずっといると、心が病んだり体が病んできたりという中で、自然の多いところに行って定期的にリフレッシュしていくっていうことが、人生をより良く生きていくために大事な要素だと思う」と話す。
もともと静かに自分と向き合うために作られたというこの場所。鎌倉市がコロナ禍で観光客激減の危機に直面する中、ある取り組みによって利用しやすくなった。
鎌倉旅館組合の井上靖章組合長は「街中は観光客が戻ってきている感じはあるが、泊まりとなると滞在時間も長くなるので、なかなか宿泊にはまだ結びついていない。幸い廃業した施設はまだないが、これが継続するとそれも考えなくてはいけないのかなと」と危機感をあらわにする。
宿泊施設や飲食店の窮状を打開できないか。鎌倉市はテレワークを推進するNTTコミュニケーションズと共同で、ワーキングスペースのマッチングアプリ「Dropin」を活用した取り組みを始めた。事業者は、客が来ず使われない宿泊施設などをテレワークのスペースとして提供し、利用料を得ることができる。
そして今回の取り組みでは20%の手数料を無料にした。これによりコロナで打撃を受けた事業者も容易に参入できる。
田邊課長は「コロナ禍において影響が出ている宿泊とかカラオケとか、飲食店もテレワークの環境を整えることができれば、業態の変更を試すきっかけにもなるかなと思い、そういった支援にも繋がると考えた」
この取り組みが始まったのは先月。「ThinkSpace鎌倉」を運営する岩濱さんは、この場所をDropinに登録した。岩浜さんは2018年から鎌倉市全体のテレワーク推進に取り組んでいる。
「鎌倉全体のテレワークが盛り上がったらいいなと、こういうアプリができることを期待していたので、『やっとできたな』『いよいよできた』とコロナが明けた後は、ワーケーションの需要がものすごく増えるのではないかと予想している。リモートワークが当たり前になった状況でコミュニケーションが希薄になって、様々な問題が少しづつ表層化されている。コロナが明けてワクチンが行き渡って、人の交流ができるようになったら、リアルな場の大事さというのがさらにフォーカスされると感じている」
(ABEMA/『ABEMA Morning』より)