「水準の低い人が発言している」「ペリーが来た幕末のような鎖国的な雰囲気がある」猪瀬直樹氏、コロナ対策やバッハ会長をめぐるメディアの“空気”を批判
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 17日のABEMANewsBAR橋下』に作家で元東京都知事の猪瀬直樹氏が生出演。橋下徹氏と新型コロナウイルス対策、さらに東京オリンピック・パラリンピックの開催の是非をめぐって議論した。大会招致に関わった猪瀬氏は「賛成の声が9割を超えた時期もあった」「国際公約の議論がバッハさんの悪口にすり替わっている」として、国民の“空気”や、その背後にあるメディアの責任を厳しく追及した。

・【映像】橋下徹×猪瀬直樹がオリンピック開催をめぐり対談

■「新橋のおじさんと同じことを言っていてもしょうがない」

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 スタジオに持参した資料を示しつつ「日本の死亡者数は減少してきている」と指摘する猪瀬氏が「お医者さんや感染症の専門家は“ゼロリスク”を主張するのが仕事なんだし、“無観客の方が良い”って言うに決まってる。いろいろなデータはあるけれど、その方が新規感染者数は増えないんだから。そこに対して判断していくのが菅総理や西村大臣たち政治家の仕事だ。交通事故のリスクなどとの比較も含め、経済学者など様々な研究者と議論すべきだ」と、専門家と政治の関係に切り込むと、橋下氏も「“安心安全”といっても幅が非常に広いわけで、どのレベルまで求めるかは政治家が決めるしかない」と賛同。

 その上で「築地市場の豊洲移転のときもメディアが大騒ぎして“安全安心”を青天井に求めていった結果、地下水を飲み水の安全基準まで満たさないとダメだ、というところまで行ってしまった。批判覚悟の上で、政治が“そこまではしない、下水の基準までにする”などということを決めないといけなかった」とメディアの責任に言及した。

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 すると猪瀬氏は「作家としてはっきり言うが、テレビでは割と水準の低い人が発言している。橋下さんは大阪府知事や大阪市長として決断をしてきた現場の経験から考え方を披瀝しているが、“コメンテーター”については、“お前、何の経験、根拠があって言っているのか。勉強して、ちゃんとデータに基づいて言っているのか”と思う。新橋のおじさんと同じことを言っていてもしょうがない」と情報・報道番組のあり方を批判。

 橋下氏は「それを言いだしたら僕もそうだし(笑)。言っていることが正しいかどうかは分からない」とした上で、「問題なのは、各番組が交わらないこと。例えば僕とは真逆の意見を言っている朝の情報番組があって、向こうは“橋下徹が”とは言わないものの、“重症者数を見ろと言う奴は間違っている”と言い、いまだに“新規感染者数が一番重要だ、全員PCR検査すべきだ、重症者数なんかに着目するな”と主張している。猪瀬さんの資料の通り、“イギリスではワクチンが普及しているから新規感染者数が増えても重症者数は付いてこない、日本もワクチンが普及すればそうなるだろう”という意見がおかしいと思うならぶつけてくれればいいのに、それらが並行して出ていくのでおかしくなる。煽るというよりは、意見をぶつけ合わないことがメディアの問題だと思う」と応じた。

■ペリーが来た幕末のような鎖国的な雰囲気がある

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 さらに猪瀬氏は「特にテレビが“森喜朗体制”になってからの7年間、批判をしなくなった。やっぱりそれは自分たちが競技の中継という“おすそ分け”をもらうからだろう。その間に膿が溜まっていたところに、このコロナ禍が来た。もちろんリーダーシップを発揮できなかった政治の問題もあるが、一方でメディアに見識がなく、フラストレーションで不安感情が高まっているところに火を着ければ視聴率が稼げる、と無意識にやってきたのではないか」との見方を示す。

 「観客の問題についても、“入れて欲しい”という意見もなりあるが、テレビや新聞が“無観客”を煽っちゃっている。バッハさんのことについてもそうだ。ごく普通の人なんだよ。それなのに地上波テレビやSNSが悪玉のように煽りたてている。ペリーが来た幕末に、尊皇攘夷派が“紅毛碧眼の…”とか言っていたのを見るようだ。やっぱり日本人って、鎖国的な雰囲気がある。バッハさんが“犠牲を”と発言したという報道についても、日本国民のことじゃなくて、“組織委員会、オリンピック・ファミリーは犠牲を厭わずやらなきゃいけない”と言ったのを、共同通信が『五輪のため「犠牲を」バッハ会長 反発必至』という見出しで報じてしまった。そして、それを地上波テレビも伝えた」。

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 一方、橋下氏は「感染者数で見ても重症者数で見ても、確かに欧米から見れば日本の状況は大した事ではない。それなのになんでこんなに騒いでんの?というのがバッハさんの素直な心境だろう。ただ、バッハさんもコーツさんも情報提供を受けていないのかなと思う。論理的に正しいことだけじゃなくて、例えば飲食店など、休業させられて死活問題になっている業者がいる。医療従事者も大変な状況にある。今は平時の状態ではないわけで、日本はそういう状況にある。そういう情報を受けて、それを踏まえたうえで発言してほしかった。そういう感情への配慮が欠けていると思う。広島に行ったのだって色々な意味があるとは思うが、そこもどう映るのかって考えないと。あそこまで警護に守られないといけないのか…」と、バッハ会長側にも問題があるのではないかとの立場を示した。

 しかし猪瀬氏は「居酒屋さんに対する手当てはバッハさんの問題じゃなくて、組織委員会の問題、国内の政治の問題だからね。オリンピックというのは第一次世界大戦と第二次世界大戦の間を除いて、テロや戦争が起きる中で続いてきた。今でもシリアの難民キャンプは酷い状況だし、アフガニスタンではタリバンが攻勢をかけてきている。ここ2、3年で静かになったが、僕が招致活動の時に一番心配していたのがISによるテロの問題だが、それがコロナに変わったということだ。4年に1回やり抜くんだということで続いてきたのがオリンピックだし、広島に行くのも、バッハさんとしては当たり前のこと」と反論。

 続けて「“五輪中止”という声もあるが、本当に中止したら国際社会の笑いもの。これも、はっきり言ってメディアが煽らなければ、国民感情はそうは動かない。中止するのが正しいみたいな感情で動いているが、それは『昭和16年夏の敗戦』で書いたように危ないことだし、現実にはあり得ないことを言っている。イギリスの感染状況とは全く違うわけだし、国際標準から見たら開催できるはずだ。それなのに“やれない”と言ってしまえば、“おまえらは能力がない”と言われるだけだ」と持論を展開した。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

橋下徹×猪瀬直樹
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