23日に開幕を控えている東京オリンピック。今回、LGBTQを公にしている選手の出場は157人で、2016年のリオ五輪と比べて約2倍となっている。
こうした状況の変化について、新規事業&イノベーションのコンサルタントとして活躍する建築家で、トランスジェンダーを公表して活動しているサリー楓氏は「ここ数年でようやくカミングアウトしやすいような状況になっている。『LGBTQ』という言葉を説明なしに使えるような状況になってきたのは、カミングアウトされる方が増えてきた状況を表しているのではないか」と話す。
今回、重量挙げのニュージーランド代表のローレル・ハバード選手が、トランスジェンダー選手として初の五輪出場を果たす。ハバード選手は、20代は男子として活躍し、今回は女子87キロ超級で出場する。
この点についてサリー楓氏は、「男性ホルモンが強いとスポーツに有利になると言われているが、生まれながらにどういう体を持ったかとか、どういう体格を持ったかによって、勝ち負けが大きく左右されると思う。男性時代につけた骨格だとか筋肉をある程度利用できることになるので、結果としてスポーツには有利に働くことになると思う」との見解。
一方で、東京オリンピックで初導入の制度に賛否の声もあがっている。男性ホルモンの一種であるテストステロン値で基準を設け、一部種目の参加資格を制限しているが、ナミビアの陸上選手女子400メートルの金メダル候補2人が、心も体も女性であるにも関わらず、血中のテストステロン値が基準を超えたため出場できなくなった。
サリー楓氏は、「どういう人種で生まれたか、どういう体格の遺伝を受けたかによって、スポーツに有利か不利になるかが決まることもあるだろう。男性女性で分けているのも、競技によっては男性のほうが高い結果を残せる傾向にあるからだと思うが、非常に難しい問題だと思う。テストステロン値で切ってしまうと、もともと女性として活躍していた選手でも今回のように出場できなくなることも起こってくるので、どういうふうに多様性と平等さの担保を議論していくのかが、このオリンピックで議論がようやく始まるのかなと考えている」との見方を示した。
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