民間が自主的にルール開発も? デルタ株専用ワクチンは作れる? 行き先見えない新型コロナ“出口戦略” 専門家が危機感
番組をみる »

 ついに始まった東京五輪・パラリンピック。東京を中心に10万人近い選手、大会関係者、メディア関係者などが集結する中、依然として東京都の新規感染者は1日1000人を超え続けている。

【映像】尾身会長「マスク外せない…」日本の今のワクチン接種状況(10分ごろ~)

 Twitterアカウント「手を洗う救急医Taka」としても知られる、新型コロナワクチン公共情報タスクフォース(CoV-Navi)副代表で医師・木下喬弘氏は「緊急事態宣言の実効性がものすごく落ちている」と危機感を示す。

「緊急事態宣言中でも、人流が減っていない。今、東京都の1日の新規感染者数が1000人を超えているが、この数字に世論があまり反応していない状況だ。昨年12月31日に、初めて東京の感染者数が1000人を超えた。そこでようやく『ちょっとヤバい』という空気感が出て、2週間後ぐらいに感染数が減っていった。それを考えるともう新規感染者が1000人というレベルでは、感覚が麻痺していて、3000人を超えたところで『ヤバい』という空気が出始めるのではないか。そこから感染者数が下がり始める流れを考えると、本当に1日5000人感染、6000人感染までいくと思う」

民間が自主的にルール開発も? デルタ株専用ワクチンは作れる? 行き先見えない新型コロナ“出口戦略” 専門家が危機感
民間が自主的にルール開発も? デルタ株専用ワクチンは作れる? 行き先見えない新型コロナ“出口戦略” 専門家が危機感

 イギリスでは、新たな変異ウイルスに対応するべく、9月から高齢者や医療従事者などを対象に3回目のワクチン接種も始まる予定だ。今後、日本でも3回目のワクチン接種が必要になってくるのだろうか。木下氏は「最初1年ぐらいは『3回目は要らない』と思っていた」と述べる。

民間が自主的にルール開発も? デルタ株専用ワクチンは作れる? 行き先見えない新型コロナ“出口戦略” 専門家が危機感

「僕が要らないと思っていたのは、根拠があった。(ワクチンの)抗体価の推移を見ていると減衰はしていくが、半年でもかなり高い数値を保っていて、1年ぐらいはけっこう防御力が残るという結果が出ていた。しかし、かなり強い伝染力を持つデルタ株が出てきた。しかも、免疫逃避と言って、ワクチンも効きにくくなっていくことがわかった。イギリスでは、デルタ株に対しても90%近い有効性が示されているが、イスラエルでは、64%だった」

「この差は何かというと、イスラエルは早くからワクチンを打ち始めているので、抗体価が下がってきている。少し期間が経ってくるとデルタ株に対する有効性はこれぐらいになってしまう。そうすると、いずれ3回目のワクチン接種が必要になる可能性も出てくる」

 ここでネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「3回目のブースター(ワクチン)はデルタ株用になるのか?」と質問。木下氏は「それは正直読めない」といい、「そもそもベータ株用のワクチンを作ろうと、治験までやっていた。しかし、今ベータ株は流行っていない。開発してすぐに打つのであれば、デルタ株用のワクチンいいという話になっている」と明かした。

民間が自主的にルール開発も? デルタ株専用ワクチンは作れる? 行き先見えない新型コロナ“出口戦略” 専門家が危機感
民間が自主的にルール開発も? デルタ株専用ワクチンは作れる? 行き先見えない新型コロナ“出口戦略” 専門家が危機感

 さらに、木下氏の回答を聞いたひろゆき氏は「秋にデルタ株用のワクチンができても、すでに別の変異株が流行っている可能性もあるということか?」と確認。木下氏は「その可能性もある」とした上で、新型コロナウイルスの感染を増強する抗体(ADE)に言及する。

「今、デルタ株用のワクチンを出そうする動きもあるが、それは慎重になるべきだと思う。これまでと少し違うワクチンなので、例えば、ADEといって、抗体依存性(感染)増強の現象が否定できない。これはワクチンを打つことで中和作用のない出来の悪い抗体ができてしまって、余計にコロナを重症化させてしまうというもの。デング熱で起きたような副反応が出てくる可能性はゼロではない」

「焦って治験を中途半端にしてゴーサインを出してしまうと、手痛いしっぺ返しを食らう。そのあたりのバランスはかなり難しい。やはり一定の治験をやったあとに出したほうがいい。そうすると時間がかかり、その間にまた違う変異株が出てくることも起こり得る状況だ」

■ 日本でも「ワクチンパスポート」受付申請が開始 企業の使い道は?

民間が自主的にルール開発も? デルタ株専用ワクチンは作れる? 行き先見えない新型コロナ“出口戦略” 専門家が危機感

 海外に目を向けると、イギリスではマスク着用義務や飲食店の人数制限など、多くの規制がすでに撤廃されている。日本でも、26日からワクチンパスポートの申請受付が開始されたが、企業がどのように使うか、方針は決まっていない。

 木下氏は「日本ではワクチン反対派がいる。国としては指導しにくいだろう。そうは言っても経済を再開しないとヤバいので、個々の企業や団体、飲食店、イベント開催者などから『ワクチンを接種した証明があったら入っていいよ』と、民間が自主的に独自ルールを出す可能性が一番高いと思う」とコメント。

 木下氏の見解を聞いたひろゆき氏は「ワクチン接種をしたかどうか民間が確認する手段は、政府じゃないと作れないのではないか」と疑問を浮かべる。

「フランスの場合、ワクチンパスポートは国が提供したアプリで、指定のQRコードをスマートフォンで読み込めた人が『ワクチンを打った人』もしくは『48時間以内に陰性証明をもらった人』だ。これが、レストランなどで『食事をしてもいいよ』という証明になる。国が主導しない限り、そういった形のチェックはできないと思う」

 ワクチン接種が進む中、議論され始めた新型コロナの出口戦略。感染の再拡大を抑え経済を回復させるためにも、正しい知識を広め、国民に方針を示す必要がありそうだ。 (『ABEMA Prime』より)

【映像】行き先見えない新型コロナ“出口戦略”に専門家が危機感
【映像】行き先見えない新型コロナ“出口戦略”に専門家が危機感