新型コロナウイルスの感染者が再び増加しているフランスで21日から、美術館や遊園地など文化・娯楽施設に入る際、ワクチンの接種完了や陰性を証明する、いわゆる“ワクチンパスポート”の提示が原則義務化された。持っていなければ入場が拒否される。
フランス政府は、カフェなどでもパスの提示を義務化し、確認を怠った店には罰金を科す方針だが、国民からの反発などはないのだろうか。ANNパリ支局の金指光宏支局長が現地から伝える。
フランスの1日の感染者数は、6月末から7月初旬にかけて2000人前後まで大きく減っていたが、7月下旬にかけて2万人を超えるなど急増している。政府はワクチン接種推進を徹底する方針で、1回目のワクチン接種を終えた人の割合は人口の58%ほどだという。
ワクチンパスポート提示義務化に対するフランスの人々の反応について、金指支局長は「ワクチンを打った人にとってはメリットが大きいと思うが、ワクチンを打ちたくないという人も少なからずいて、ワクチンパスポートに対しての反対運動も激しく起きている。“自分の体に何を入れるか、何を接種するのかというのは基本的な自由”と考える人もいて、そういった人々からは反発の声がある。17日にはフランス全土でデモがあり、11万人が参加して『自由を抑圧するな』という反対の声を強くあげた」と話す。
また、世論は完全に二分されているといい、「ワクチン接種義務化に賛成という人は6割いるが、逆に4割は反対など。先日のワクチン反対デモに関しても、通常デモといえば左の人・右の人と分かれることが多いが、この時は左の人も右の人も、そして科学者、一般の主婦も含めていろんな人が集まってデモをしていた。まさに、いろんな層で意見が分かれていることになる」とした。
ワクチンパスポートを所有している金指支局長は「正直言うと、非常に便利だ」と話す一方、その差を感じることもあるという。「先日も外に出て取材をする機会があったが、そこでもパスポートの提示を求められた。まだ2回接種をしていなかった同僚は検査場で検査を受けたが、私はその間何もせず待っているというかたちで、この差が大きくなりすぎている気がする。フランスはこれまでPCR検査、抗原検査は外国人も含めて無料だったが、政府がこれを有料化するという話も出ている。じゃあ、施設に入るために毎回お金を払って検査をするのか。ワクチン接種は無料なので、費用という面でも差が出てくるのではないか」と懸念を示した。
(ABEMA/『倍速ニュース』より)