開会式は“全員ノーマスク”に? 半年後に迫る北京オリンピックに向けた中国の外交戦略、そして新型コロナウイルス対策は

 開催まであと半年あまりの北京冬季オリンピックに“待った”の声がかかっている。米上院の超党派議員らが中国政府によるウイグル族弾圧などの人権問題を念頭に、IOC=国際オリンピック委員会に対し「中国が虐待を終わらせない場合は延期し開催地を変更するようIOC会長に要請する」と訴えているのだ。

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開会式は“全員ノーマスク”に? 半年後に迫る北京オリンピックに向けた中国の外交戦略、そして新型コロナウイルス対策は

 米国議会からは今年5月にも「中国で行われているジェノサイド(大量虐殺)を踏まえると、各国の首脳が中国に向かうことは実に疑問だ」(ペロシ下院議長)と外交的ボイコットを呼びかける声が上がっているほか、EUの欧州議会も今月8日、香港問題も含め人権侵害の状況が改善しない限り、政府代表や外交官の招待を辞退するようEUや加盟国に求める決議を採択している。

■「硬軟織り交ぜた色々な手段を考えていると思う」

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 26日の『ABEMA Prime』に出演した現代ビジネス編集次長でジャーナリストの近藤大介氏は「習近平主席とバッハ会長は2度も電話会談をして、“これから中国では5億人が冬のスポーツに入っていくんだ、そうすれば世界も盛り上がるし、関連ビジネスや企業も儲かる”ということで惹きつけた。この中国のパワー、さらには東京大会の開催について中国が真っ先に支持を表明したことからしても、日本がボイコットするのは現実的に難しいと思う。

 北京では2008年に夏季大会をやったばかりなのに、なぜまたやるのかという声もあるが、北京が故郷の習主席としては、あの時はまだ国家副主席で、主役ではなかった。また、来年秋に開かれる共産党大会で、異例となる3期目を継続したい。そのためにも、“世界が習政権を応援しているんだ”というところを見せつけたいということだ。そしてデジタル人民元を使ってもらって、これはすごいということを世界にアピールするための準備している」と話す。

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 そんな中、アメリカのシャーマン国務副長官と中国の王毅外相が会談、安全保障や首脳会談の実現、そして人権問題について話し合ったという。しかし会談を前に王毅外相は「もしもアメリカが今も平和的態度で他国と共存することを学ばないなら、中国には国際社会とともに米国に対し、しっかりと教え直す責任がある」と強気の姿勢も見せている。

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 「北京大会を成功させるためには、一方で強気に出ながら、一方では懐柔策も考えていると思う。王毅外相がシャーマン国務副長官と会ったのも、秋に予定されているバイデン大統領と習主席の首脳会談の準備のためだ。ここでアメリカの怒りを少しでも和らげ、人権問題に関してもなんとか押さえ込みたいという気持ちがあるということだ。

 また、東京大会の開会式の日、習主席は2泊3日でチベットを訪問し、中国共産党がいかにチベットを心地よくおさめているか。チベットの人たちがいかに中国共産党を歓迎しているかということをアピールした。ウイグルについても2014年4月以来の訪問をするかもしれないし、記者団を大体的に入れることもあり得ると思う」(近藤氏)。

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 ANN中国総局長の千々岩森生氏も「皆さんもご存知の通り、中国は人権問題について言われるのを本当に嫌がり、激烈な反発を示す。オリンピックについても、この問題でメンツを潰されるようなことになるのは是が非でも避けたい。そのためにも硬軟織り交ぜた色々な手段を考えていると思う。実際、西側メディアを入れる準備など、水面下での調整が少しずつ始まっているようだ。一方、これは私の肌感覚だが、日本企業も含め、人権問題があるからといって、腹をくくって中国でのビジネスを半分諦めてでも…という経営判断をするのはなかなか難しいと思う」との見方を示した。

■北京大会の開会式は“全員ノーマスク”か?

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 人権問題と並んで焦点になりそうなのが新型コロナウイルスの感染防止対策だ。しかし千々岩氏によれば、直近の感染拡大状況は「もっとPCR検査をすればより多くの感染が判明するだろうが、日々、中国全土でだいたい数十人、多い時で100人を超える程度だ」と話す。

 「これはワクチンの効果というよりも、隔離の効果だと思う。クラスターが出てきても、爆発する前に徹底して抑え込む。日本とはやり方が違うので、皆さんがこっちに来ると、うわっと思うだろう。私も年末年始に一時帰国したが、中国に戻るときは大連で21日間、隔離の部屋から一歩も出られなかった。スポーツ競技に関しても、こちらはサッカーリーグが華やかだが、北京のチームでも北京では試合ができず、1、2カ所に集め、そこだけでやっている状況だ。観客数も制限している。

開会式は“全員ノーマスク”に? 半年後に迫る北京オリンピックに向けた中国の外交戦略、そして新型コロナウイルス対策は

 北京大会について現時点では明確な方針は出ていないが、外から感染者が入ってくることに対しては日本の何十倍も恐れているので、選手だろうが、役員だろうが、観客だろうが、21日間の隔離はしたいはず。しかしそれでは選手にとっては大ダメージだろうし、国際的にも批判を浴びかねないので、非常に悩んでいるところだろう。そこは中国とは違うソフトな押さえ込み方をしている東京オリンピックも参考にしようとしていると思う。

 皆さんもご覧になったと思うが、今月1日に行われた中国共産党100周年式典、集まった7万人は来る時も帰る時もマスクをしていたが、式の間は全員が“ノーマスク”だった。私も現場にいたが、面白いことに普段は“マスクをしろ”と言われるのに、この日は始まる30分前に“マスクを取れ”と言われた。もちろんワクチン接種済でないと会場には入れなかったが、この“ノーマスク”の様子をテレビに映すことで、世界にアピールしたいのだなと思った。おそらく半年後の北京大会の開会式でも、同じ光景が見られると思う」。

開会式は“全員ノーマスク”に? 半年後に迫る北京オリンピックに向けた中国の外交戦略、そして新型コロナウイルス対策は

 近藤氏も「千々岩さんがおっしゃったように、今も徹底した隔離を行い、北京には外国人を入れない。だからシャーマン国務副長官と王毅外相の会談も天津で行われた。こうした対応は、北京大会まで続けると思う。また、中国は東京オリンピックに777人もの代表団を送り込んでいる。もちろん過半数は選手だが、東京の検疫、コロナ対策を調査している部隊も入っている。東京大会のできているところ、足りないところをチェックして、北京に活かそうとしている。やはり濃厚接触者などに対する扱いはまだ決定していないと思うが、いかに抑え込むかということと、いかにスムーズに運営するのかという二律背反の中で、ワクチンパスポートみたいなものを作るとか、中国独自のカメラを使った検温とか、東京大会以上に科学的な方法を取ると思う」との見方を示した。

 お笑い芸人のカンニング竹山は「人権はものすごく大切だし、ウイグルの問題などが解決しないことには、“平和の祭典”をやっていいのかなと疑問。ただ東京オリンピックを見ていると、そこに向けて一生懸命やってきている選手や関係者もいることがわかるから…モヤモヤしますね」とコメント、ジャーナリストの堀潤氏は「スポンサードできないという企業が出てきても、おそらく中国企業がメインスポンサーとして出てくるのかもしれない」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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