家庭部門で66%のCO2排出量削減を求める計画に「再エネで飯を食っているが、最低の計画だ」「与党議員だが、これはちょっと無理じゃないの?と思う」
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26日に政府が公表した「地球温暖化対策計画」の原案。温室効果ガス削減目標の達成に向けた具体案が示され、10月の国連会議にも提出される方針だが、家庭部門で66%、オフィスなどの業務その他部門で50%の削減が必要とするなど、その内容に対して「どうやって削減しろっていうんだ」「太陽光にしたら目標達成できるとは到底思えない」などの疑問の声も上がっている。

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家庭部門で66%のCO2排出量削減を求める計画に「再エネで飯を食っているが、最低の計画だ」「与党議員だが、これはちょっと無理じゃないの?と思う」

日本のCO2削減目標をめぐっては4月、菅総理が気候変動サミットで「我が国は2030年度において温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに50%の高みに向け挑戦を続けていく」と、世界に向けて発信。それまでの削減目標26%を大幅に上回る46%という数字に驚きが広がった。

そして公表された今回の原案。菅総理を支える自民党「ガネーシャの会」メンバーでもあり、自著『自民党発!「原発のない国へ」宣言』の中で「次の世代にも私はありがとうと言ってもらえるような、そんな選択をしたいと強く思う」と訴える秋本真利衆議院議員を交えて議論した。

■“これはちょっと無理じゃないの?”と言わざるを得ない

家庭部門で66%のCO2排出量削減を求める計画に「再エネで飯を食っているが、最低の計画だ」「与党議員だが、これはちょっと無理じゃないの?と思う」

今回の原案では、「国民各界各層における意識の変革と行動変容」が必要だと訴えている。しかし省エネ家電なども普及する中、66%も削減するほどの家庭での努力や工夫は可能なのだろうか。

家庭部門で66%のCO2排出量削減を求める計画に「再エネで飯を食っているが、最低の計画だ」「与党議員だが、これはちょっと無理じゃないの?と思う」

秋本:エアコンを消すとか、冷蔵庫の電源を抜くというようなことでは絶対に無理だ。ただ、日本の断熱性能は世界からかなり遅れていて、3分の2が“無断熱”と呼ばれる状況。サッシのスタンダードはアルミだが、世界のスタンダードは樹脂。窓ガラスも、やっと2枚というのが出てきたが、家の中が18度以下になってはダメなEUでは、3枚が当たり前。そこをなんとかしようという議論がある。

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あるいは300平米以下の建物を建てるときに国の基準を満たしているかどうかは“努力義務”だったが、4月から省エネ法が変わり、今度は”義務規定”になった。“省エネ基準を満たしてないとダメだよね”ということにしようという動きもあり、次の国会か、次の次の国会くらいで動いてくると思う。ただ、政府系の金融公庫などがどこまで補助できるかという問題もあるし、既築の住宅が6000万戸ある一方、新築は毎年100万戸あるかどうかだし、そのうち環境性能を突き詰めて建てているのは1割程度と言われている。そうなると新築をいくら政策的に誘導しても、既築の建物は解決されない。ここは難しい。

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堀潤氏(ジャーナリスト):家庭のCO2削減や電力の見直しのためにはスマートメーターのような可視化・一元管理のための仕組みが不可欠だと言われ続けてきたのに、ほとんど進んでいない。スマートシティのような計画も、やっぱり進んでいない。やるべきことは示されてきたわけで、なぜそれが実行されないのか。

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秋本:本当に仰る通りだ。内閣も含めてショーケース的なところがあって、どこか“ちょっと水素やっている”“ちょっとスマメ(スマートメーター)でスマートシティやっている”くらいで、横展開ができないでいる。私は自民党の部局の事務局長もやっているので、他の部局の事務局長などとも連携しながら、全国的に、横断的に展開するために考えていかなければならないと思っている。

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私は与党議員だが、それでも“実現できますか?達成できますか?”と聞かれれば、“家庭部門の66%というのも含めて、これはちょっと無理じゃないの?”と言わざるを得ないし、ちょっと発言しにくい。その理由は、背景にある電源構成の前提が原子力発電は2030年に20~22%となっているからで、それはちょっと無理だろうと思っているからだ。ただ、省エネをやらなくていいという話ではないので、できることについてはしっかりコツコツと積み上げていく必要がある。

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宇佐美典也氏(元経産官僚):今回の計画の最大の特徴は、どの政権もやらなかったエネルギーの将来需要予測を大幅に下げている点にある。非化石化を進めるためのアプローチとして電化率(エネルギーにおける電力の率)を25~30%に上げている以上、電力需要は増えると考えるのが普通なのに、逆に12~13%減るという前提に立ってしまっている。これを踏まえて“我々赤字体質だし、政府もこう言っているので発電所をどんどん削減する”と電力会社が判断して、他方で需要の減少が前提どおりに進まなかったとしたら、電力の安定供給ができなくなってしまう恐れが出てくる。

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あとは、再エネ比率が高まっているし再エネ業界にとってはいいじゃないか、と思われるかもしれないが、再エネ、特に太陽光はどの事業者も太陽が照っている時に同じタイミングで発電をするので、その時間帯は供給が過剰になって価格が安くなるし、出力制御になれば売ることすらできないという状況が出てくる。すると太陽光発電をやっている事業者の収入が激減して困ることになる。つまり国民としては電力の安定供給が危うくなるし、再エネ事業者としては安定的な収入が危うくなるということで誰にとっても良いことがない。

なぜこんなことになったといえば、“46%減”という目標に合わせて無理やり需要を削る計画を立てたからだ。今までも電力需要の推移から見て、これからの9年間で13%も減るはずがない。電力の使う比率を上げるのに需要を下げるなんて無理だ。こんな計画を立てて何の意味があるのか。私は電力の小売業界と取引する仕事をしているので、いわば再エネ事業で食ってる立場だ。それでも業者としてそして、一国民として、この計画は最低だと言わざるを得ない。

秋本:達成が厳しい数字であることは間違いない。しかしやらなくていいということではないし、化石燃料の火力からは当然CO2が出てしまうので、何でカバーするかは真剣に考えなければいけない。

■原子力と火力は一定の比率が必要だという規制を導入しなければ危ない

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小泉進次郎環境大臣は「2030年までという時限を考えたら、間違いなく太陽光。いかに46%、50%の目標達成しようかという立場に置かれたら、誰もがその結論にいくと思う」と発言している。

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一方、経産省が先週発表した新たな「エネルギー基本計画」の素案では、温室効果ガスの8割を占めるエネルギー分野に関し、必要規模の原発を持続的に活用しながら、太陽光などの再生可能エネルギーを最大限拡大する、としている。また、自民党の「最新型原子力リプレース推進議員連盟」からは、日本の地理的条件は再生エネルギーには必ずしも適しておらず、再エネだけでは無理という意見も上がっているという。

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カンニング竹山:僕は個人的に福島第一原発を見に行ったりもしているし、“原発推進派だ”と言われることもあるけれど、決してそうではない。原発は無いなら無いほうがいい、ただこの国にはエネルギー資源がない。本当に太陽光だけで行けるのか、そして太陽光パネルをどこに作るのか、そういうことが知りたいというだけだ。

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秋本:例えば環境省によれば、日本の再エネの賦存量(どのくらい再エネで発電できるか)について商業ベースで見て総需要量の2倍ぐらいあるとしている。宇佐美さんが心配されていた需要量についても、経産省の外郭団体が試算しているが、2050年で最大で1.5倍ということだ。つまり再エネだけで賄えることができるというのは間違いない。

そして小泉大臣の“太陽光発電しか選択肢がない”というのは、事業着手してから稼働するまでの年限が、やはり太陽光は短いからだ。それ以外で最も有力なの風力は一般的に7、8年ぐらいかかると言われている。そうなると、現時点では太陽光でやるしかない、ということになる。ただ、それは今のルールの中の話なので、例えば1年でも2年でも前倒しできるような法改正、制度改正等をしていくことによって、風力の導入量を増やせる可能性もゼロではない。

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一方で、原発リプレース議連の稲田朋美会長以下、議員さんたちに聞きたいのは、2030年、40年、50年時点で、kWhあたりいくらぐらいで計算しているのか、ということだ。同期の議員数人に聞いてみたが、そこまでの数字は持っておらず、なんとなく精神論で必要だろうという話になっているようだ。地理的要件についても、“国土が狭いから”と言う方は多いが、それでは再エネを導入している欧州や米国の電気料金に追いつかない。ここはあらゆる努力を突き詰める必要があると思う。例えばペロブスカイトといって、紙みたいに薄いのに、現行のものとほとんど変わらない性能が出る太陽光パネルも出てきた。今後こうした性能はさらに高まるし、ビルの壁面だとかあらゆる所に設置できるようになるかもしれない。

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宇佐美:太陽光は常に発電しているわけではない以上、代わりに何が発電するのかを考えなければいけない。それが火力であることは、おそらく当面は変わらない。そうなると、再エネという意味からも、火力に水素をもっと使っていくことが必要になる。これは国際的にすごく重要で、例えばLNG(液化天然ガス)を大量に輸出しているオーストラリアでも、未来永劫それで商売ができるとは思っていないので、日本と一緒にLNGを水素燃料化していく取り組みを進めている。やはり火力と太陽光はセットで考えなければいけないし、再エネの枠組みの中に火力を加えていくことが重要になってくると思う。

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そしてもう一つ考えなければいけないのは、慣性力という概念だ。太陽光パネルは直流で発電して一定の周波数の交流に変換するものだが、原子力や火力、水力発電で用いられている交流の同期発電機の場合、原理的に周波数の乱れによって系統全体が停止して停電に至らないようごく短期的な電力の調整を行うことができ、電力の安定供給に貢献している。これが太陽光だけになってしまうと、今の技術では調整ができなくなるので、停電の回数、範囲が広がってしまう懸念がある。その意味でも、太陽光発電にも擬似的に慣性力を持たせるような規制を早急に導入してほしい。それがないと危ない。

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秋本:宇佐美さんはプロフェッショナルなので分かって言っていると思うが、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)を中心に、太陽光でもデジタル的に慣性力を持たせようという調査研究が行われていて、かなり精度の高いところまで来ている。実用段階まではもうほぼ来ていると言っても間違いないと思う。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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