「正しい情報で理解を」感染リスクをアプリで“見える化” 名古屋市立大准教授らが開発
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 28日、東京都が確認した新型コロナウイルスの新たな感染者は3177人だった。3000人を超えるのは初めてで、27日の2848人を上回り、過去最多を記録した。全国でも同日午後7時の時点で9065人の新規感染者が確認され、これまで最多だった1月8日の7957人を大きく上回った。感染者の増加に歯止めがかからない中、新型コロナに感染する危険度を“見える化”したスマートフォンアプリに今、注目が集まっている。

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 名古屋市立大学の間辺利江准教授らの研究グループはアプリ「EIDリサーチ・リソース ライブラリー」を開発(※現在Android版のみ)。今月21日から試作アプリによる実証実験を開始した。

 アプリでは、新型コロナの感染者が集中している地域を危険度ごとに色分けして表示。感染リスクが一目で分かるだけでなく、スマートフォンの位置情報と連動し、感染が集中している地域に近づくとアラートが鳴る仕組みになっている。アプリをダウンロードしたユーザーに、感染リスクにつながる行動を回避させる狙いがあるという。また、年齢や性別、地域ごとの感染状況も表示され、それぞれの解析結果を受けた専門家のコメントも閲覧可能だ。

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、開発に携わった名古屋市立大学・間辺としえ准教授を取材。アプリの仕様について、間辺准教授は「スマホと一緒に移動すると、自分が『(感染リスクが)集中した地域から外れましたよ』や『集中している地域に入りましたよ』というのを、アプリがお知らせしてくれます。感染リスクが高い地域に入ったときに、アプリ上で『もう一回マスクをきちんとつけましょう』とリマインドもしてくれます。自分がどのような行動をしたらいいか、それに従って行動をとってもらえればと思います」と語る。

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 SARSや新型インフルエンザなど、海外で感染症の研究をしてきた間辺准教授。昨年11月に現在の研究グループとともにアプリの開発を開始した。表示される情報は自治体が公表しているデータを使用している。

 間辺准教授によると、感染者が集中している地域の分析は、感染症の原因を調べる大きな手がかりになるという。

「正しい情報を提供して、それを正しく理解してもらう。納得した上で、自分で決めた対策行動をとってもらう。それが大切だと思い、このアプリを開発するに至りました。スマートフォンで見ている情報に、専門家が『今こういう状態でこういう風になっていますよ』といった説明を入れて、正しい情報で自分の行動に結び付けてもらいたい」

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 アプリ開発の中で、間辺准教授が最もこだわった部分は、より細かな感染状況の表示だ。

「感染症は県境関係なく、市区町村がくっついていると、隣の県であっても、同じように感染者が集中しています。最初は都道府県だけのデータを出していましたが、県が違うとうまく情報が表示できなかったんです。県が違っていても、隣の市なら影響があるに決まっているのに。県をまたいでも統計的な解析をして、表示させることにすごく苦労しました」

 今の課題はアプリを使うことができない人への情報提供や、若い世代への普及など、その時々に合わせた情報の出し方だという。

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「問題は、情報をどのように出していくか。ワクチンを打ったとしても、どれだけの人が感染しているか、その時々に合わせた情報を加えて、アプリの使用者を拡大したい。同時に定着してもらいたいと思っています。普段、アプリを使い慣れてない方々に対しても、地域包括ケアシステムなど、高齢者の健康管理をやっている機関と共同でアナログチックに、情報を届ける活動をしています」

 間辺准教授は、新型コロナのみならず「ゆくゆくはさまざまな感染症でこのアプリを使えるようにしたい」と話す。

「このアプリがCOVID-19以外の新興感染症のパンデミックにも備えられるものになっていかなきゃいけないと思っています。感染症に頑強な社会づくりに貢献するアプリにしたいですね」

 実証実験を始めたAndroid版に加え、今後はiPhone版のリリースも予定しているという。 (『ABEMAヒルズ』より)

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